ちなみに、東京駅の八角形の天井にある装飾には八つの干支が彫られています。「残りの四つはどこに?」という謎が長年あったのですが、2013年に、武雄温泉の改修工事で楼門の中で発見されたという話もあります。
武雄温泉には、戦国大名で初代仙台藩主の伊達政宗(1567~1636年)、幕末に長崎に滞在したドイツ人医師シーボルト(1796〜1866年)、幕末の思想家・吉田松陰(1830~59年)、さらには江戸時代の剣豪・宮本武蔵などが入浴したと伝えられています。私がよく入る旅館の温泉には宮本武蔵(1584~1645年)が使ったといわれる井戸が残っています。
医学とは関係ありませんが、豆知識としてちょっと披露しておきました。
地方の医療の現実
武雄市には以前、小児科の医療機関が3軒ありましたが、1軒が閉院し、2軒になっていました。そこに私がクリニックを開院したので、また3軒に戻りました。
一次医療の現場において、私はまだまだ初心者です。日々「これでいいのか」と自問しながら、恐る恐る診療を行っています。
武雄市には小児科を持つ二次医療施設がなく、入院や精査を依頼できるのは、15km離れた嬉野医療センター(嬉野市)、25km先の佐賀県医療センター好生館(佐賀市) 、そして30km先の佐賀大学医学部付属病院(佐賀市)など、遠方の施設になってしまいます。
特に夜間は厳しく、21時以降に入院や検査が必要な症状が出た場合は、佐賀大学医学部付属病院と好生館しか診てくれるところがありません。
救急搬送も同様です。小児科ではけいれんが比較的多く、重積(けいれん発作が30分以上持続、または発作を繰り返す状態)の場合、搬送時間が長いほど状態が悪化することが容易に想像できます。夜中に発症すれば、搬送先の病院まで30~40分かかってしまいます。
福岡市で夜間・休日の急患センターが常時開いている環境から移ってきた私にとって、これは最大の驚きであり、今も悩まされている現実です。
このテーマについては、改めて取り上げたいと思います。
禅と地域医療のつながり
さて、最後に今回のtake home messageです。
茶の湯は禅仏教と深い関わりがあり、床の間に掛かる軸には禅語が書かれ、茶道具の銘にも禅語に由来するものが多く存在します。そこで、数多くある禅語の中から、臨済宗の開祖・臨済義玄(りんざいぎげん)禅師の言葉を送りたいと思います。
「随所作主 立処皆真」(ずいしょにしゅとなれば、りっしょみなしんなり)
「どんな場所でも、自分が主となって行動すれば、その場所こそが真実の場となる」という意味だそうです。
私なりの解釈ですが、これはまさに地域医療に臨む姿勢そのものです。これまでに「
地方からの便り」のコラムを書かれてきた他の先生たちの文章を読んでみると、この精神をもって診療されていることが伝わってきます。