2026.03.16
皮膚科の専攻医、初期研修医のぶっちゃけトークです。最近のトレンド「直美」についても話しています。
皮膚科の専攻医モモカ(ハンドルネーム)と初期研修医タイチ(同)の対談の続編お届けする。
近年、初期研修後すぐに美容医療に進む「直美」が話題になっている。この対談でも、直美についての話題が盛り上がりを見せた。というのも、タイチ医師は美容医療の道を見据え、皮膚科を志した経緯があるためだ。一方で、美容医療には興味がないというモモカ医師だが、周囲からは直美や美容医療に関するさまざまな話を聞くようで……。
専攻医モモカ
昨今は「直美」が話題になっていますよね。聞くところによると、どこの医局でも専攻医2年目くらいでバッと辞めて、美容クリニックに転職するという人は、学年に1人はいるそうです。すでに美容医療に行くと決めていて、皮膚科は腰掛けみたいな感じなのか、やっぱり違うと思って美容に行くのか、実態は分からないですが。
初期研修医タイチ
実は僕も学生の頃から美容に興味があって、直美の選択肢を考えたこともあります。でも、ご時世的に直美より、まずは保険診療を経験した方がいいのかなと思って皮膚科に進むと決めました。皮膚科から将来的に美容に行く人は多いですか?
専攻医モモカ
もちろん美容に行く人もいますよ。ただ、皮膚科は専門研修の期間が長い方で、5年あります。専門医を取ったら医局を出てしまう人がけっこう多く、専門医を取った中堅以上の医師はどこの病院も不足しているという話もよく聞きます。
専攻医モモカ
タイチ先生はどうして美容に興味があるんですか?
初期研修医タイチ
大学2年生くらいの時にひげの脱毛をしたんです。その時に美容の医師と話して、医者ってこういう働き方もあるんだと思いました。
専攻医モモカ
実際に仕事の様子を見たわけですね。それからどうして皮膚科に興味を?
初期研修医タイチ
大学4年生の頃、大学病院の皮膚科実習に1カ月間行きました。その時、皮膚科の業務が、内科と外科の両面を兼ね備えていると思いました。手技ができて内科的な業務もできることに魅力を感じたんです。
専攻医モモカ
なるほど、まずは美容に興味があって皮膚科に進むことにしたんですね。
初期研修医タイチ
初期研修後に美容に行くか、皮膚科に行くかはけっこう迷いましたが、とりあえず皮膚科で頑張って、できるなら将来は美容に進みたいと思っています。自由診療の美容と保険診療の皮膚科の“ダブルボード”で開業できたら……と、何となくビジョンを持っています。
専攻医モモカ
タイチ先生のように美容に興味を持つ若手は増えていると思います。先輩からは、将来美容に行くにしても自分の診療に責任を持って治さないといけないから、保険診療を経験しておいた方がいいと聞きます。実際、美容皮膚科の施術でトラブルがあったときは、保険診療の皮膚科を受診する患者さんが多いようなので。
初期研修医タイチ
形成外科から美容医療のルートもあると思います。どちらがいいんでしょう。
専攻医モモカ
オペの上手さに関しては、圧倒的に形成外科だと思います。ただ、大学病院の形成外科なんかは10時間以上オペをすることもあるので、形成外科の専門医を取るために美容に行きたいと思っている人が、10時間超えのオペをモチベーション高くできるのか?というのは、はたから見ていて思います。
初期研修医タイチ
形成はオペの種類がすさまじいですからね。その中の一部に美容っぽい眼瞼下垂(がんけんかすい)のオペがあるというような、そういうイメージです。なので、美容に進む上であまり必要のないオペもあって、それに何時間もかかるというのは、たしかに選択肢から形成が外れた理由の一つです。
専攻医モモカ
大学の医局の話を聞くと、形成外科は美容に行くために全員辞める年もあって、けっこう困っているみたいです。皮膚科も形成外科も美容とはほど遠い、足の壊疽(えそ)なども診るので、美容に行くことを決めている人からしたら「なんでこれを診ているんだろう」みたいな感じにはなってしまうかもしれないですね。
初期研修医タイチ
モモカ先生は専門医を取った後のキャリアはどう考えていますか? もしくは、専門医を取らないという選択肢もあると思うんですけど。
専攻医モモカ
専門医は、ある程度ちゃんとやりましたという証明になるので取りたいとは思っていますが、その後どうするかというのはあまり決めていません。
初期研修医タイチ
証明。そうですよね。
専攻医モモカ
元々、感染症科志望で、割と今も感染症に興味があって、非結核抗酸菌症とか、ヒトパピローマウイルス(HPV)とかが好きなんです。でも、アトピーやバイオ(生物学的製剤)がトレンドの時代なので、自分のすごく興味があることと皮膚科のトレンドがマッチしていないのは悩みです。まずは、専門医を取ることを目標にやっています。
初期研修医タイチ
皮膚科は専門医を取るのが難しいと聞いているので、取れなかったらどうしよう……と不安があります。とにかく5年間は頑張ろうと覚悟していますが。
専攻医モモカ
5年というのは他のだいたいの科より長いですし、学会発表や論文などの条件が厳しいといわれています。合格率も他の科より低くて、皮膚科学会が簡単に専門医を取らせないようにハードルを高くしているのをひしひしと感じます(笑)。
初期研修医タイチ
やっぱり大変なんですね……。
専攻医モモカ
ただ、専門医の有無でアルバイトの時給に差をつけているクリニックもあるくらいなので、取っていると割と武器にはなりますよ。
初期研修医タイチ
それは知らなかったですね。専門医を取ると、非常勤のやりやすさも変わってくるって感じですか。
専攻医モモカ
そうみたいですね。知り合いの先生が去年専門医を取って、それから医局を辞めてクリニックで働いています。転職先を探した時に、専門医の有無で年収が数百万変わる病院もあったみたいです。やっぱり持っておいた方がいいよと言われましたね。
初期研修医タイチ
なるほど……。今後の就職先として、美容に行くにしても頑張った証が一つあるだけで見られ方は変わると思うので、5年間こだわって頑張ります。
専攻医モモカ
真偽のほどは定かではありませんが、地方では逆に、専門医を取ると一人医長にされる場合があるので、それが嫌であえて取らないという人もいるみたいです。地方は皮膚科医が少ないからでしょうかね。
tica ishibashi
イラストレーター、ファッションクリエイター。
アパレル商社のデザイナー職を経てフリーランスに。見た瞬間に「ずきゅん」と一目ぼれするような胸に響くクリエーションをモットーに、ファッションに特化したクリエイティブワークを展開する。イラストレーション、ファッションデザイン、アートディレクションと幅広く活動。広告グラフィックやブランドイメージビジュアルなどのさまざまなファッションイラストの制作と、アパレル企画や衣装などのファッションデザインを手がけている。2023年度JIAイラストレーターオブザイヤー最優秀商品イラスト賞受賞。
ホームページ:https://tica.cc
インスタグラム:https://www.instagram.com/tica_ishibashi/