2024.12.18
薬指が人差し指より長い人は酒飲みってマジ?▽結局マスクで感染症はどれだけ防げるのか▽運動後は、冷たい風呂より温かい風呂が効果的!▽毎日コーヒーを飲むと、ある腸内細菌が8倍に 健康に効果か
世界の医学誌や科学誌に掲載された論文、大手メディアや医療メディアが配信している医療・医学ニュースから「見逃し厳禁」の数本を選び、ランキング形式で毎週紹介します。トップ2は医療ニュース編集部の記者のコラム付き。なお、『What You Missed』は日本語版しか存在しません。今回は12月5日~11日にマイナビDOCTORの『サクッと1分!世界の医療ニュース』に掲載した記事の中から最も注目の集まったニュース4本を紹介します。
まとめ:医療ニュース編集部

2024-12-06
あなたの薬指と人差し指はどちらのほうが長いですか? 薬指の方が長い人は酒飲みの傾向があるそうです。英国とポーランドの研究チームが、科学誌American Journal of Human Biologyに論文を発表しました。
チームは大学生258人(男性89人、女性169人)を対象に薬指と人差し指の長さの比率を計測し、アルコール摂取量との関係を調査しました。その結果、薬指の方が長い人は、アルコール摂取量が多いことが分かったそうです。こうした関連性は、女性より男性に強く見られたといいます。
なお、胎児期に男性ホルモンの一種である「テストステロン」を多く浴びると薬指が長くなり、女性ホルモンの一種である「エストロゲン」を多く浴びると人差し指が長くなるといわれています。また、アルコール依存症患者は薬指の方が長いことが知られているそうです。チームは、胎児期に浴びる性ホルモンが、出生後の飲酒習慣に影響を及ぼす可能性が示されたとしています。
思わずまじまじと自分の指を見てしまったのは私だけではないと思います。「ストレスはビールで発散!」がモットーの私は案の定、長いのは薬指の方でした。
先日、友人と忘年会を行いました。参加者は私を含めて4人で、全員が成人女性です。宴もたけなわとなった頃、ふとこの研究を思い出し、友人たちの指を見せてもらいました。果たして結果は……?
「お酒大好き! 誰もが認める酒豪」の友人Aは予想通り薬指の方が圧倒的に長く、「お酒は1杯で十分。すぐに顔が赤くなっちゃう」友人Bは人差し指の方が長かったです。そして、「飲もうと思えば飲めるけど、お酒が大好きっていうほどではない」友人Cは若干薬指の方が長いという結果でした。私が行ったごく小規模な調査でも、「薬指の方が長い人は酒飲みの傾向がある」ということが実証されました。
忘年会や新年会のシーズンが到来! 皆さんも酒席の小ネタとして、独自の調査を行ってみてはいかがでしょうか。【阿部あすか】
JAMA Network Open:Testing and Masking Policies and Hospital-Onset Respiratory Viral Infections

2024-12-09
新型コロナウイルス感染症の流行時に、感染対策として多くの医療機関で行われたマスクの着用は本当に効果があったのでしょうか。米国の研究チームが、2020年11月~24年3月に10カ所の医療機関に入院した患者64万1483人のデータを分析した結果を医学誌JAMA Network Openに発表しました。
チームは、入院から4日以内に新型コロナ、インフルエンザ、RSウイルスのいずれかの陽性が確認された場合を「市中感染」、5日目以降に陽性が確認された場合を「院内感染」と定義しました。
市中感染に対する院内感染の比率(週平均)を調べたところ、マスクの着用と入院患者に対する新型コロナのPCR検査といった感染対策をしていた時期は、新型コロナのオミクロン株流行前が2.9%、オミクロン株流行中が7.6%だったそうです。
しかし、23年5月に二つの感染対策が段階的に廃止されて以降、この比率は15.5%に上昇し、24年1月に医療従事者のマスク着用措置が復活すると8.0%に再び低下したといいます。チームはマスクの着用などの対策が院内感染の予防に有効である可能性が示されたとしています。
先日、東京都内の駅のホームで、乗り換えの電車を待っていた時のこと。「日本人は、なんでこんなにマスクが好きなんだ。全く意味がないことを知らないのか。無知なやつばっかりだな」という大きな声が聞こえました。見ると、酒に酔った感じの高齢の男性が、誰かが落としたとみられるマスクを何度も蹴とばしています。
周囲には私を含め、マスクをしている人が複数いました。みんな知らんぷりです。なので、マスク着用者を代表して、この男性を論破してやろうと心に決め、冷ややかな目を向け続けました。結局、男性は全く気づいてくれず、私の乗る電車が来てしまいました。
マスクを嫌う人というのが一定数いますよね。なぜか、マスクをしている人をばかにしたり敵意を向けたりする人もいます。何がそんなに気に入らないのでしょうか。感染症にかかりたくないからマスクをしているだけです。日に焼けたくないから日傘を差したり、虫に刺されたくないから虫よけ剤を塗ったりするのと同じです。マスクに批判的な立場をあからさまに示す人を目にするたびに、「放っておいてくれないかな」と心から思います。
もちろん、マスクは魔除けではありませんから、ただ着けているだけでは効果はありません。ただし、マスクによって何を防ぎたいのかを考えて行動に気を付けると、とても有効です。私は主に、病原体が付着した手で鼻を触ってしまうことを防ぐためにマスクをしています。なので、マスクに触れるときは、必ず手洗いまたは手指の消毒をするよう心掛けています。実際にマスクを着けるようになって(もちろん、行動にも気を付けるようになって)から、感染症にかかる回数が大きく減りました。
と、偉そうなことを言いましたが、最近、風邪を引いてしまいました。少し気を抜いていて、マスクをせずに外出したり、マスクの着脱の時に手洗いや消毒をしなかったりしたためだと思います。つまり、正しくマスクを着けることが感染症予防に有効だということが、このことからも分かるわけです。
マスク嫌いの人も、一度試してみてください。1カ月したら、“同志”に冷ややかな視線を向けている自分に気づくと思いますよ。【藤野基文】
米NBC News:Cold plunge or a hot bath: Which has more benefits?

2024-12-05
立命館大学の研究チームが、激しい運動後の男性を調査しました。すると氷風呂より、温かい風呂に入った後の方が高くジャンプできたそうです。温かさで血流が増加し、激しい運動で損傷した筋肉が修復・増強されるといいます。

2024-12-05
毎日コーヒーを飲むと特定の腸内細菌が豊富になり、健康によい効果をもたらすかもしれません。1日3杯以上飲む人は、ほとんど飲まない人に比べて、ある腸内細菌の量が8倍にも上ることが分かったそうです。チームはこの細菌が、さまざまな健康上のメリットをもたらすとみています。
藤野基文:記者・編集者。2004年から全国紙の記者として勤務し、主に医療・科学分野を担当した。18年にマイナビに移ってからは、グループ会社エクスメディオ社が運営するオンライン臨床支援サービス『ヒポクラ×マイナビ』の編集長を務め、現在は『マイナビRESIDENT』や『マイナビDOCTOR』などの各種コンテンツを制作している。
金子省吾:記者・編集者。2017年から地方紙に勤務し、主に社会部の記者として事件・事故や司法、市政、スポーツ、気象、地域活性化の取り組みなどを取材した。20年にマイナビに移って医療の取材をはじめ、グループ会社が運営するオンライン臨床支援サービス『ヒポクラ×マイナビ』編集部で医療ニュース作成に携わった。現在は『マイナビRESIDENT』や『マイナビDOCTOR』などの各種コンテンツを制作している。
許田葉月:記者・編集者。2021年からウェブメディアに勤務し、文学や音楽などのトレンド、社会課題などを取材した。23年にマイナビに転職して医療の取材を開始。『マイナビRESIDENT』や『マイナビDOCTOR』で各種コンテンツの制作を担当している。
阿部あすか:翻訳家、ライター。東京外国語大学(英語専攻)を卒業後、大手法律事務所の米国人弁護士などの秘書、英会話学校の講師、専門紙の英語版編集者として勤務した。2019年から編集部の一員として医療ニュースの記事を執筆している。