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2026.01.15

どんな環境でも、自分次第で人生を楽しいものにできる(『暇と退屈の倫理学』)

腎臓内科医のおちば医師が薦めるのは『暇と退屈の倫理学』。転職先は「やることが少ない」「特に面白みがない」と思ってしまう環境だったというおちば医師。ですが、本書を読んでからはそれは間違いであることに気づいたといいます。

著者:國分 功一郎 出版社:新潮社

内容

「暇」とは何か。人間はいつから「退屈」しているのだろうか。答えに辿り着けない人生の問いと対峙するとき、哲学は大きな助けとなる。著者の導きでスピノザ、ルソー、ニーチェ、ハイデッガーなど先人たちの叡智を読み解けば、知の樹海で思索する喜びを発見するだろう――現代の消費社会において気晴らしと退屈が抱える問題点を鋭く指摘したベストセラー、あとがきを加えて待望の文庫化。(新潮社のホームページから引用)

プロフィール画像

紹介者:おちば

診療科:腎臓内科

医学部卒業年:2017年

お薦めの理由

「忙しく働くことは、充実感であふれている」。ずっと、こんなことを感じていました。急性期病院の腎臓内科のスタッフとして重症患者を管理していた私は、緊張や疲れはあっても、忙しく過ごす日々に充実感を覚えていました。

でも、ある時、働き方のギアを下げようと思い立ち、慢性期寄りの病院に転職しました。そして、多数の慢性維持透析患者を診る管理者として働くようになりました。患者の重症度が下がり、時間に余裕ができたのですが、なんと私はその「退屈さ」に戸惑いを感じてしまったのです。

そんなときに出会ったのが、この一冊です。退屈との向き合い方について、哲学や歴史を通じて思考を深めていくというユニークな内容です。

時間に余裕があることは一見良いことのようですが、そこに退屈を感じると「日々が充実していない。楽しくない」と思うようになります。しかし、その退屈は自分自身が作り出しているのだと、本書は教えてくれます。日々を楽しむためには、それ相応の訓練・学びが必要なのです。

転職先の医療機関は、「軽症が多いから、やることが少ない」「特に面白みがない」と思ってしまうような環境でした。しかし、それは間違いであることに気づかされました。そこで、日々の行動を見直してみました。

例えば、糖尿病の合併症を調べるために心電図検査を行う際でも、「このPVC(心室期外収縮)はどこから出ているんだろう? 過去に虚血エピソードがあるのだろうか?」「この軽い『QT延長』は低カルシウム血症が原因か、それとも薬剤が原因か」など一つ一つ丁寧に見ていくようにしたのです。そして、そういった疑問を解決するために勉強していくことで、これまで見えていなかったことが見えるようになり、日々のスクリーニング検査に対する姿勢が大きく変わりました。

その他、心理学を学んで患者の食事生活指導に生かしたり、医療事務的な知識を学んで透析室の経営改善について考えたり。専門の枠を超えて積極的に学んでいくことで、急性期病院のスタッフの一員として働いていた時には得られなかった面白さを知ることができました。

どんな環境でも、自分の姿勢を変えることで人生を楽しいものにできる――。そのことを本書を読んで知ってもらいたいと思います。

岩本あかりプロフィール画像
イラスト

岩本あかり

東京を中心に、イラストレーター・UIデザイナーとして活動。 シンプルな線に、軽快な色面。 どこにでもありそうな景色に、ひとつまみのユーモアを。 見た人がクスッと楽しくなる絵を描く。

HP: https://akariiwamoto.com

Instagram: https://www.instagram.com/akari.iwamoto