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2026.01.07

目の前のことから逃げ出したくなった時、背中を押し続けてくれる作品(漫画『かくかくしかじか』)

紹介者の医師は「かくかくしかじか」を読んで、継続することの大切さを再認識したそうです。夢や目標を追いかける中で逃げ出したくなった人、大切な人にちゃんと感謝を伝えられなかったという後悔を持つ人、ユーモアの裏に隠された人間の生々しい感情の機微を味わいたい人にお勧めだといいます。

著者:東村アキコ 出版社:集英社

内容

これまで決して描かれなかった、東村アキコの半生がいよいよベールを脱ぐ…!少女まんが家を目指していたあの頃を、強烈なキャラとエピソードで描き出す、笑えて泣けるコミックエッセイ、いよいよ始動!(集英社 ココハナのホームページから引用)

プロフィール画像

紹介者:EY

診療科:内科、訪問診療

医学部卒業年:2020年

この作品と出会った時期

2020年、初期研修医の頃。新型コロナウイルス感染症のまん延によって自宅で過ごす機会が多くなった時に、たくさん買った漫画の一つです。

どんな影響を受けた?

継続することの大切さを再認識させてくれました。

作者の東村アキコさんの自伝的な漫画です。主人公で高校3年生の林明子は美大への進学を目指して絵画教室に通い始めます。そこで、人生に大きな影響を与えることとなるスパルタ講師・日高健三(モデルは画家の故・日岡健三氏)と出会います。本作は、日高との交流と、漫画家として成功するまでの明子の葛藤が描かれています。

作品を通して痛感するのは、竹刀を振りかざし「描けよ!」と伝える日高の言葉の重みです。大切なのは才能ではなく、どんな時でも絵を描く手を「止めないこと」だといいます。『東京タラレバ娘』(講談社)や『海月姫』(同)など多数のヒット作を生み出している東村さんは、類いまれな才能を持っているのだと思います。しかし、我々が想像できないような苦労があって、そんな時、日岡氏の言葉を胸に描くことを止めずに人一倍努力を続けてきたのでしょう。

現実で日岡氏がそうであったように、漫画の中で日高は亡くなります。「とにかく手を動かして描き続けることが日高先生への最良の弔いになる」。明子の泥臭く力強いメッセージが、目の前のことから逃げ出したくなった時、私の背中を押し続けてくれます。

どんな人にお薦め?

まずは、夢や目標を追いかける中で、逃げ出したくなった人へ。何かを必死で続けることは、たとえ夢や目標がかなわなかったとしても、生きていく上で必ず自分の糧になることを伝えてくれる作品です。

それから、(もう会うことのできない)大切な人にちゃんと感謝を伝えられなかったという後悔を持つ人へ。本作では著者の後悔と、それを昇華させていく過程が描かれています。それは、読者の心に整理できないままずっと残り続けている「未完了」の感情に優しく寄り添い、前に進む力を与えてくれます。

そして、ユーモアの裏に隠された、人間の生々しい感情の機微を味わいたい人へ。東村さんの漫画はギャグとシリアスの振り幅が大きいことが特徴です。笑いながらも最後は涙が止まらない、「人生の教科書」と呼べる作品です。

その他

私は元々、東村さんの作品が大好きです。この作品は、宮崎県出身の東村さんと同郷の私にとってなじみ深い風景が出てくることもあり、東村さんの作品の中で最も好きな漫画です。

岩本あかりプロフィール画像
イラスト

岩本あかり

東京を中心に、イラストレーター・UIデザイナーとして活動。 シンプルな線に、軽快な色面。 どこにでもありそうな景色に、ひとつまみのユーモアを。 見た人がクスッと楽しくなる絵を描く。

HP: https://akariiwamoto.com

Instagram: https://www.instagram.com/akari.iwamoto