2025.10.27
内容
医学者のヒポクラテスたらんと、京都の大学医科に入学した6人の学生たち。荻野愛作は恋人の妊娠と中絶をきっかけに生死を扱う医者という職業について考え始め、ガリ勉タイプのみどり、妻子持ちの加藤など、個性豊かな面々と医学とは何かを日々模索し続ける。(動画配信サービス「U-NEXT」から引用)
紹介者:u-doc88こと大嶺卓司
診療科:泌尿器科
医学部卒業年:1989年
所属:腎・泌尿器科おおねクリニック 院長
大学5回(年)生だった1987年、大学祭の実行委員として、映画部門の上映作品の選定を行っているときに出会いました。
「ヒポクラテスたち」は1980年に制作されました。私の母校である京都府立医科大学(作中では「洛北医科大学」として登場)が舞台で、監督は卒業生の大森一樹さん(故人)です。
大森さんは、在学中から映画監督として活動していました。医師になるか映画監督になるか迷ったといいます。結局、卒業後に医師免許を取得した上で映画監督の道に進みました。医療に関するもののほか、ゴジラシリーズや「わが心の銀河鉄道 宮沢賢治物語」(日本アカデミー賞の複数部門で優勝賞受賞)など数多くの作品を残しています。
作品で描かれているのは、臨床実習での医学生の悩みや奮闘です。当時は医学部の6回生(6年生。関西では「〇回生」と呼びます)で、臨床実習(いわゆるポリクリ)を経験しました。各科の特徴を知り、外科手術やお産、救急医療などを見学しました。そして皆、人の生と死に密接に関わる医者として、卒業後どの科に入局するのかを悩みながら決めていったのです。
私はこの映画を見て、残りの1年間、国家試験合格に向けて仲間と共に勉強し、進路を相談し、将来を決めなければいけないという岐路に立たされていることを実感させられたのを覚えています。
皆さんは2年間の初期研修中に、進路として希望する診療科のメリット、デメリット、労働環境、経済的な面について十分に検討していることでしょう。
その中で、進路に迷いを持ち、医師になろうと思った起点を振り返りたいと思う人もいると思います。そういう人に、観てほしいと思います。
また、映画の冒頭で「ヒポクラテスの誓い」が流れます。患者の利益優先、守秘義務など医師の職業倫理の原点となる内容です。この誓いを改めて確認することも、大切だと思います。
「ヒポクラテスたち」の関連作品(第2作)として映画「幕末ヒポクラテス」が制作され、2026年初夏に公開される予定です。京都府立医科大学創立150周年の記念事業として作られました。
当初、大森一樹さんを監督に迎える予定でしたが、2022年に白血病で亡くなったため、大森監督の助監督を務めていた緒方明さんがメガホンを取りました。
京都府立医科大学の源流である京都療病院が舞台で、当時流行していたさまざまな感染症に立ち向かい、人間愛で乗り越える姿を描いています。
余談ですが、プロジェクトマネージャーとして名を連ねる京都府立医科大学泌尿器科学の浮村理教授は私の一つ上の先輩で、とても良く知っている方です。個人的に強い縁を感じるこの映画を、ぜひとも多くの人に見てもらいたいと思っています。
岩本あかり
東京を中心に、イラストレーター・UIデザイナーとして活動。 シンプルな線に、軽快な色面。 どこにでもありそうな景色に、ひとつまみのユーモアを。 見た人がクスッと楽しくなる絵を描く。
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