2025.07.31
「愛している」を伝える人は「愛されている」と感じる傾向あり▽いつもより46分多く寝ると心に余裕が生まれる▽幸せに生きるために重視すべき価値観は「快楽主義」!?▽幸福度を高めるなら一日の自由時間は2~5時間がベスト!
世界の医学誌や科学誌に掲載された論文、大手メディアや医療メディアが配信している医療・医学ニュースの中から「見逃し厳禁」のものを選び、医療ニュース編集部の記者のコラムを付けて毎週お届けします。今回は6月25日~7月23日にマイナビDOCTORの『サクッと1分!世界の医療ニュース』に掲載した記事の中から「幸福度を高める方法」についてのニュースを取り上げ、過去の関連記事3本を紹介します。なお、『What You Missed』は日本語版しか存在しません。
まとめ:医療ニュース編集部
PLOS One:How much we express love predicts how much we feel loved in daily life

2025-07-10
日常的に小さな愛情表現をすることで、自分自身も充実感や幸福感を得られる可能性があるそうです。米国の研究チームが、19~65歳の成人52人を対象に実施した研究成果を、科学誌PLOS Oneに発表しました。
研究では、参加者に対し、愛情に関するアンケートを1日6回、4週間にわたってスマートフォンで送信。参加者は「今、どのくらい愛されていると感じているか」と「前回の調査以降、どのくらい愛情表現をしたか」について0~100のスケールで評価しました。
分析の結果、他者に対する愛情表現が増えるほど、自分が愛されていると強く感じる傾向があることが明らかになりました。一方で、愛されているという気持ちが増しても、愛情表現の頻度は増加しませんでした。
また、愛されているという感覚は、時間が経過しても持続しやすいことも判明しました。さらに、持続的に「愛されている」と感じている人ほど、自分の人生を豊かであると評価する傾向が強いことも確認されました。
チームは、日常的に愛情を表現することで、自身も愛されていると感じるようになり、結果的に人生全体の幸福につながる可能性があると結論づけています。
日本では「愛している」という言葉を日常的に使う人は少ないと思います。私も照れくさくて、家族にすら口にしたことはほとんどありません。
そんな私が「愛している」を人生で最も使ったのは、大学生の頃にニュージーランドでホームステイをしていた期間です。ホストファミリーや現地でできた友人が、日常の中で自然に”I love You”と伝えてくれるのです。初めは戸惑いましたが、ある日、勇気を出して自分でも使ってみました。すると、なんだか心が温かくなり、すごく気分が明るくなった感覚がありました。それから、ホームステイ中は”I love You”を頻繁に使うようになりました。
米国の研究チームによる研究では、他者に対する愛情表現が増えることで、自分が愛されているという感覚が強まり、人生の充実感や幸福感が高まる傾向があるという結果が出たそうです。
振り返ってみると、この研究成果は私の経験とも一致しています。愛情を伝えることで相手の笑顔が見られるのがうれしかったのはもちろん、私自身の心も満たされるような感覚がありました。そして、ホームステイ中は、日々の充実感も自己肯定感も、格別に高い時期だった気がするのです。
今ではまた、「愛している」を使う機会が減ってしまいました。ですが、今回の研究結果が示す愛情表現の効果と、あの頃の経験を思い出し、もう一度、勇気を出して言葉にしてみようと思います。【許田葉月】
Journal of Positive Psychology:Gratitude, flourishing and prosocial behaviors following experimental sleep restriction and sleep extension

2024-11-08
睡眠不足は精神の健康に悪影響を与えることが知られています。では睡眠時間が増えると、精神面に良い影響が出るのでしょうか。米国の研究チームが、若年成人90人を対象に実施した調査の結果を学術誌Journal of Positive Psychologyに発表しました。
チームは参加者を「遅寝」「早寝」「通常」の三つのグループに分け、1週間にわたって調査を実施したといいます。その結果、いつもより一晩に46分多く寝た人は、困難に直面した時に回復する力、感謝の気持ち、持続的な幸福感が高まったそうです。一方で、睡眠時間が37分少なくなると、こうした精神的な幸福度が下がることが明らかになったといいます。
また、睡眠時間が増えると、個人的な幸福度が高まるだけでなく、社会に恩恵をもたらす行動が増えることも分かったそうです。平均年齢55歳の成人2837人を対象とした別の調査(医学誌Sleep Medicine掲載の論文)では、1日に7~9時間の良い睡眠を取っている人は、寄付に協力する可能性が7~45%高いことが示されたとのことです。
Science Daily:All work and no play will really make a dull life

2023-09-19
楽しみより仕事での成功を優先していると、幸せになれないようです。
英国の研究チームが、インド、トルコ、英国で計180人を調査。参加者は9日間日記をつけ、さまざまな価値観に従って行動した際の自身への影響を記録したそうです。国籍に関係なく、生きる最大の目的を快楽とする「快楽主義」や自分独自の道を行く「自主独往(どくおう)」に従って行動すると、幸福感が増したといいます。
「成功」や「適合・準拠」は幸福感に影響を与えなかったとのこと。Science Dailyの記事です。
EurekAlert!:Too much free time may be almost as bad as too little

2021-09-30
自由な時間が増えれば増えるほど、人の幸福度は高まるのでしょうか。
米国の研究チームが同国で21,736 人分のデータを分析。幸福度は、1日の自由時間が2時間程度までは高まるのですが、そこからは横ばいになり、5時間を超えると低下することが分かったそうです。
別の6000人以上を対象にしたオンライン調査では、自由時間が多い環境でテレビを見るなどの非生産的な活動をすると、幸福度が下がる傾向にあったとのこと。EurekAlert!の記事です。
藤野基文:記者・編集者。2004年から全国紙の記者として勤務し、主に医療・科学分野を担当した。18年にマイナビに移ってからは、グループ会社エクスメディオ社が運営するオンライン臨床支援サービス『ヒポクラ×マイナビ』の編集長を務め、現在は『マイナビRESIDENT』や『マイナビDOCTOR』などの各種コンテンツを制作している。
金子省吾:記者・編集者。2017年から地方紙に勤務し、主に社会部の記者として事件・事故や司法、市政、スポーツ、気象、地域活性化の取り組みなどを取材した。20年にマイナビに移って医療の取材をはじめ、グループ会社が運営するオンライン臨床支援サービス『ヒポクラ×マイナビ』編集部で医療ニュース作成に携わった。現在は『マイナビRESIDENT』や『マイナビDOCTOR』などの各種コンテンツを制作している。
許田葉月:記者・編集者。2021年からウェブメディアに勤務し、文学や音楽などのトレンド、社会課題などを取材した。23年にマイナビに転職して医療の取材を開始。『マイナビRESIDENT』や『マイナビDOCTOR』で各種コンテンツの制作を担当している。
阿部あすか:翻訳家、ライター。東京外国語大学(英語専攻)を卒業後、大手法律事務所の米国人弁護士などの秘書、英会話学校の講師、専門紙の英語版編集者として勤務した。2019年から編集部の一員として医療ニュースの記事を執筆している。