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2026.01.30

スマホ・SNS時代を生きる子どもたちのメンタルヘルス、どう守る?

禁止?無制限? 子どもの幸福度を決めるSNSとの付き合い方▽コロナ禍で子どものSNS利用が3倍以上に急増 スポーツや読書は激減▽12歳以下のスマホ使用はメンタルヘルス悪化と関連 希死念慮強まる傾向に▽うつ症状のある人は「悪意のある創造性」が高まりやすい

世界の医学誌や科学誌に掲載された論文、大手メディアや医療メディアが配信している医療・医学ニュースの中から「見逃し厳禁」のものを選び、医療ニュース編集部の記者のコラムを付けて毎週お届けします。今回は12月25日~1月22日に『サクッと1分!世界の医療ニュース』に掲載した記事の中から「デジタル環境が、子どもや若者の心の健康・思考・社会性に与える影響」についてのニュースを取り上げ、過去の関連記事3本を紹介します。なお、『What You Missed』は日本語版しか存在しません。【まとめ:医療ニュース編集部】
2026.01.21
子どもがソーシャルメディアを使うとき、メンタルヘルスにとって「ちょうどいい利用時間」があるようです。オーストラリアの研究チームが、国内の4~12年生(日本の小学4年生~高校3年生に相当)の10万991人を3年間にわたって追跡し、ソーシャルメディアの利用状況と心の健康の関係を調べ、その結果を医学誌JAMA Pediatricsに発表しました。

研究では、子どもたちが平日午後3~6時にどれくらいソーシャルメディアを使っているかを基に、 使わない(0時間/週)、適度に使う(12.5時間未満/週)、使い過ぎ(12.5時間以上/週)の三つのグループに分けて分析。幸福感・楽観性・心配・悲しみなど子どもの心の状態を示す8項目についてもデータを集め、関連を調べました。

分析の結果、「使わない」と「使い過ぎ」のグループは、いずれも幸福度が低くなる傾向が見られました。ソーシャルメディアの過度な使用がストレスにつながる一方で、全く使わない場合は友人との交流の機会を逃すことにつながり、それが別のストレス要因になることが指摘されています。

さらに、性別や年齢による違いも明らかになりました。女子の場合、4~6年生ではソーシャルメディアを使わない子の方が幸福度は高くなる傾向がありました。一方で、7~12年生は、適度に使うことで幸福度が向上しました。使いすぎは、学年を問わず幸福度に悪影響が見られました。

男子の場合は、4~6年生では、使っても使わなくても幸福度に大きな差は認められませんでした。しかし、7~12年生で使わない子は、幸福度の低下が見られました。

研究チームは、ソーシャルメディアは「完全に禁止してしまう」のも「放っておいて使い過ぎになる」のも、どちらも子どもにとって好ましくない可能性があるとまとめています。

記者から

ソーシャルメディア(SNS)を使うことが当たり前になった今感じているのは、小学生から高校生ぐらいの子どもたちは友達とのコミュニケーションで苦労が多いだろうな……ということです。学校から帰ってからも、スマホなどを使って、友達とのやり取りは途切れないでしょう。気持ちが休まる時間がないのでは?と思う一方で、連絡を取らなければ、場合によっては仲間外れにされてしまうこともあるかもしれません。

今から10年ほど前、私が中学生の頃に同級生の間でSNSが普及し始めたことを覚えています。当時、生徒間でSNS絡みのもめ事は多く、学校側では面倒を見切れず、教員たちも手を焼いていました。私は、主に使っていたのがアプリを入れられない携帯電話(ガラケー)だったことから、クラスのLINE(ライン)グループに入っていませんでした。孤独感を覚えつつも、LINEが発端の幼稚なもめ事があるたびに、入らなくて正解だと思っていました。

オーストラリアの研究チームは、子どものSNS利用を「完全に禁止する」のも「放っておいて使い過ぎる」のも、どちらも子どもにとって好ましくない可能性があるとまとめています。SNSの過度な使用がストレスにつながる一方で、全く使わない場合は友人との交流の機会を逃すことにつながり、それが別のストレス要因になるというのです。

私には小学6年生のいとこがいます。同級生はスマホを持っている子が大半(今時……!)だそうですが、家庭の教育方針で、彼がスマホを持てるのは高校生になってからだとか。残念そうな彼の姿を見ていると、少し気の毒に感じました。いつか自分の子どもができたとき、SNSとの関わり方をどうするべきか、答えが出ずに考え続けています。

ちなみに私が初めてスマホを持ったのは中学2年生。叔母からお古のスマホ端末をもらったのです。キャリア契約はしていなかったのでWi-Fiをつながないと使えず、家の中限定での使用でした。それでも、学校から帰ってはSNSを長時間使い、まとめサイトを見ての毎日。「このまま20歳になったらどうしよう」。そんな不安を抱えていたあの頃の私へ。25歳になってもたいして変わっていないよ……。【足羽美香】

JAMA Network Open:Postpandemic After-School Activities Among Youths in Australia
2025.11.28
新型コロナウイルスのパンデミック以降、子どもたちの日常生活にソーシャルメディアが深く浸透し、健全な発達に重要な役割を果たすスポーツや読書などを楽しむ時間が減少しているようです。オーストラリアの研究チームが、医学誌JAMA Network Openに論文を発表しました。

研究チームは、2019から22年にかけて、南オーストラリア州に住む11~14歳の子ども1万4350人を対象に、放課後の過ごし方を調査しました。

その結果、ソーシャルメディアを日常的に利用する子どもの割合は、パンデミック前の19年の26%からパンデミック後の22年には85%に急増したことが分かりました。一方で、スポーツや読書、芸術などの活動をする子どもの割合は大きく低下しています。

娯楽目的で読書をしない子どもは11%から53%に、芸術関連の活動に参加しない子どもは26%から70%に、音楽関連の活動に参加しない子どもは70%から85%にそれぞれ増加しました。ソーシャルメディアを使ったことがない子どもの割合は31%から3%に減っています。

男子の読書離れが特に顕著で、女子はソーシャルメディアの利用頻度が高い傾向も明らかになりました。テレビ鑑賞や家事の手伝い、ゲームにかける時間はパンデミック中に増加したものの、22年には元の水準に戻りました。

なお、オーストラリアでは、16歳未満の子どものソーシャルメディア利用を制限する法律が2025年12月10日から施行される予定とのことです。
Journal of Human Development and Capabilities:Protecting the Developing Mind in a Digital Age: A Global Policy Imperative
2025.07.30
子どもが早い時期からスマートフォンを使い始めると、若年成人期における精神的健康(メンタルヘルス)に悪影響を及ぼす可能性があることが明らかになりました。米国の研究チームが、科学誌Journal of Human Development and Capabilitiesに論文を発表しました。

チームは、世界の18~24歳の若者10万人以上のデータを分析しました。その結果、12歳以下でスマホを持ち始めた人は、自殺念慮(自殺を考える傾向)、攻撃性、現実逃避、感情調節の困難、自己肯定感の低下といったメンタルヘルス上の問題を報告する傾向が強いことが判明しました。

精神的な健康状態の指標である「Mind Health Quotient(MHQ)」は、スマホを持ち始めた年齢が低いほどスコアが低くなり、5歳で所有した場合はスコアが極めて低くなることも示されました。

こうしたメンタルヘルスの不調の背景には、ソーシャルメディアの早期利用、インターネット上のいじめ、睡眠の乱れ、家族関係の希薄化といった要因があることも分かりました。これらの傾向は、文化や言語に関係なく、世界のすべての地域で一貫して見られました。

チームは各国の政策担当者に対し、スマホやソーシャルメディアの利用に関する年齢制限の導入、デジタルリテラシーとメンタルヘルスに関する教育の義務化、企業による説明責任の強化などの対策を講じる必要性を訴えています。
PsyPost:Depressive symptoms tied to malevolent creativity in new study
2023.05.24
他人をいじめたり、挑発的なメッセージをSNSに投稿したり、創造力を負の方向に使う「悪意のある創造性」。

オーストリアの研究チームが、259人を対象に調査を実施し、潜在性うつ症状(軽度のうつ)と悪意のある創造性に関連性があることが明らかになったといいます。

うつの程度を示すスコアが高い人ほど、悪意のある創造性を発揮することが多かったとのことです。うつ病と悪意のある創造性は、一方が他方を助長する関係にある可能性があるそうです。

PsyPostの記事です。

PROFILE

医療ニュース編集部
足羽美香:記者・編集者。2025年4月に新卒でマイナビに入社。WEBマーケティングやWEBディレクション、コンテンツSEOなどの研修を受けた後、25年9月から医療ニュース編集部に所属し、『マイナビRESIDENT』『マイナビDOCTOR』『オーベン×ネーベン』の各種コンテンツの制作を担当している。

藤野基文:記者・編集者。2004年から全国紙の記者として勤務し、主に医療・科学分野を担当した。18年にマイナビに移ってからは、グループ会社エクスメディオ社が運営するオンライン臨床支援サービス『ヒポクラ×マイナビ』の編集長を務め、現在は『マイナビRESIDENT』や『マイナビDOCTOR』などの各種コンテンツを制作している。

金子省吾:記者・編集者。2017年から地方紙に勤務し、主に社会部の記者として事件・事故や司法、市政、スポーツ、気象、地域活性化の取り組みなどを取材した。20年にマイナビに移って医療の取材をはじめ、グループ会社が運営するオンライン臨床支援サービス『ヒポクラ×マイナビ』編集部で医療ニュース作成に携わった。現在は『マイナビRESIDENT』や『マイナビDOCTOR』などの各種コンテンツを制作している。

許田葉月:記者・編集者。2021年からウェブメディアに勤務し、文学や音楽などのトレンド、社会課題などを取材した。23年にマイナビに転職して医療の取材を開始。『マイナビRESIDENT』や『マイナビDOCTOR』で各種コンテンツの制作を担当している。

阿部あすか:翻訳家、ライター。東京外国語大学(英語専攻)を卒業後、大手法律事務所の米国人弁護士などの秘書、英会話学校の講師、専門紙の英語版編集者として勤務した。2019年から編集部の一員として医療ニュースの記事を執筆している。