米食品医薬品局(FDA)は8月5日、mRNA(メッセンジャーRNA)技術を用いたインフルエンザワクチン「mFLUSIVA」を50歳以上の成人向けに承認しました。FDAがmRNA技術を用いたインフルエンザワクチンを承認するのは初めてです。
mRNA技術は、体内の細胞にタンパク質を作るための人工的な設計図(mRNA)を送り込み、そのタンパク質に対する免疫反応を誘導するのが特徴です。新型コロナウイルスのパンデミックでは、mRNAワクチンが感染症対策で広く使用されたことが知られています。
インフルエンザワクチンは、毎年流行が予想されるウイルス株に合わせて更新する必要があります。従来のワクチンは開発から供給までに長い時間を要しますが、mRNAワクチンは比較的短期間で設計・製造できます。そのため、流行株との適合性向上や、変異株や新たなパンデミックへの迅速な対応が期待されています。
今回の承認の根拠となった臨床試験では、50歳以上の成人4万人超を対象にmFLUSIVAと既存の標準用量インフルエンザワクチンを比較。その結果、mFLUSIVAは既存ワクチンに比べて、予防効果が約27%高いことが示されました。
この結果に基づき、FDAは50~64歳に対するmFLUSIVAの使用を完全承認しました。一方、65歳以上については約3千人を対象とした別の臨床試験で、高齢者向けの高用量インフルエンザワクチンよりも強い免疫応答を誘導したことが確認されたため、迅速承認が適用されたといいます。
開発元の米製薬大手
モデルナによると、mFLUSIVAによる重大な安全性上の懸念は確認されませんでした。一方で、注射部位の痛み、発熱、頭痛、倦怠(けんたい)感、筋肉痛や関節痛、吐き気・嘔吐(おうと)などの一時的な副反応が報告されました。これらの反応の発生頻度は、比較対象となった既存ワクチンよりやや高い傾向が見られたといいます。
モデルナは、mFLUSIVAを2026~27年のインフルエンザシーズンに向けて米国内で供給する方針を示しています。
mFLUSIVAをめぐっては、FDAは当初、モデルナの承認申請の審査を見送る方針を示していましたが、その後方針を転換して審査を進めた経緯があります。そのため、承認申請をめぐるFDAの対応が変更されたことでも注目を集めています。