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2026.02.06

「病は気から」は本当? 「不安」を減らすことで守れる健康がある!

高齢者手術の回復は“不安の数”にかかっている?▽病気に対する不安が強すぎると死亡率・自殺率が高い傾向▽不安や不眠だと風邪をひきやすくなる 免疫細胞が減少▽うつ・不安とがん発症は関連なしか 30万人調査で従来説否定

世界の医学誌や科学誌に掲載された論文、大手メディアや医療メディアが配信している医療・医学ニュースの中から「見逃し厳禁」のものを選び、医療ニュース編集部の記者のコラムを付けて毎週お届けします。今回は1月1日~1月29日に『サクッと1分!世界の医療ニュース』に掲載した記事の中から「不安と医療」についてのニュースを取り上げ、過去の関連記事3本を紹介します。なお、『What You Missed』は日本語版しか存在しません。【まとめ:医療ニュース編集部】
2026.01.14
手術前の小さな心配事の積み重ねが、高齢者の術後回復に悪影響を及ぼす可能性があるようです。米国の研究チームが、脳や心臓を除く大手術を予定している65歳以上の高齢者約130人を対象に実施した研究成果を、医学誌Anesthesiologyに発表しました。

研究では、心理的・精神的苦痛を評価するスクリーニングツールを使用しました。患者は全体的な苦痛の強度を0(苦痛なし)から10(極度の苦痛)で評価し、具体的なストレス要因について、提示された選択肢の中から選びました。

解析対象の129人のうち42.2%が、強度4以上の高い苦痛を報告したそうです。これは、進行がんを患う患者で観察されるレベルに匹敵します。

ストレス要因には、睡眠や食欲の変化、医療チームとのコミュニケーション、家族に関わる負担などが多く、疲労・痛み、身体機能の低下も挙げられました。

分析の結果、苦痛の強度ではなく、ストレス要因の数が、術後の痛みの強さや入院期間の長さに強く関連していることが明らかになりました。さらに、ストレス要因が一つ増えるごとに、せん妄を経験するリスクが19%上昇しました。

研究チームは「手術前に簡単なストレス評価を行うことで、患者の不安に寄り添い、短時間の会話や介入で結果改善につなげられる可能性がある」としています。

記者から

「握手をしたり、肩に触れたりするようにしています」。大学病院に勤める1年目の初期研修医を取材した際、彼が患者と接するときに心がけていることを教えてくれました。患者の不安を和らげ、ほんの少しでも元気づけたい――。その思いから行っていることで、初期研修の一環で勤務した診療所の医師に教わったそうです。私は今までに、医師からそんなことをしてもらった覚えがないので、少し驚くと同時に、感心しました。

特に高齢の患者ほど孤独を感じやすいため、温かみを伝えることが必要だとも話していました。その通りだと思いました。医師の手で直接触れられ励ましの言葉をもらうことは、もしかすると薬に勝るとも劣らない効果があるのではないでしょうか。

そんなことを考えていた矢先に、この研究結果を知ったので、納得感がありました。信頼でき、親身になってくれる医師がいることは、手術そのものやその前後の入院生活に伴うさまざまなストレスを減らすと思います。前向きな気持ちで過ごすことができれば、術後の回復も早まるでしょう。

初期研修医はこうも言っていました。「地域住民との距離が近い診療所では自然とできていたんですが、どうも大きな病院だとそれが難しくて……。必ずしもいつもできているわけではありません」。初診や外来、入院の患者数が多く、より重篤な患者にも対応する2次、3次救急の病院では、「地域密着」感の強い診療所のようにはいかないようです。

また、先輩医師に付き添ってもらうことが多い中で自分のやり方を出すというのは「半人前の自分にとって出過ぎた行為ではないか……」という気持ちもあるのではないかと思います。

だだ、彼の口から聞いた「患者の不安を少しでも軽くしたい。元気づけたい」という思いは極めてピュアで、握手をしたり肩に触れたりすることは、経験や知識を積み上げていく段階の彼にとって、今できるアウトプットとしてふさわしいと感じました。【金子省吾】

AP通信:In hypochondria paradox, Swedish study finds a higher death rate in those who fear serious illness
2023.12.22
ささいな体の不調に対して、自分が重篤な病気にかかっているのではないかと異常に心配する「病気不安症(心気症)」の皮肉なパラドックスが明らかになったようです。

スウェーデンの研究チームが、1997~2020年のデータから、病気不安症を持つ4100人と対照群4万1000人を調査した結果です。1000人年(人年法)当たりの死亡率は、病気不安症群で8.5だったのに対し、対照群は5.5だったそうです。

また対照群に比べ、病気不安症群は死亡年齢の中央値が5歳若いだけでなく、自殺率も4倍だったといいます。AP通信の記事です。
Frontiers in Immunology:Insomnia and anxiety: exploring their hidden effect on natural killer cells among young female adults
2025.12.18
若い女性の間で有病率が高まっているという不安症や不眠は、免疫機能を低下させ、病気にかかりやすくすることが指摘されています。サウジアラビアの研究チームが、そのメカニズムの一端を解明したとして、医学誌Frontiers in Immunologyに論文を発表しました。

研究チームは、17~23歳の健康な女子学生60人を対象に、不安症状や不眠症状を評価するアンケートを実施しました。参加者の75%が不安症状を、53%が不眠症状をそれぞれ報告しました。

次に、参加者から採取した血液検体を用いて、ウイルスやがんと戦うリンパ球の一種「NK細胞(ナチュラルキラー細胞)」の数や割合を調べました。

NK細胞は組織や臓器にとどまるものもあれば、血中を循環するものもあります。また、細胞を攻撃する「CD16+CD56dim細胞」と、免疫調節に関与する「CD16+CD56high細胞」の二つのサブタイプがあり、どちらも循環型です。サブタイプの減少も免疫機能の低下につながります。

分析の結果、不眠症状のある人はNK細胞の総数が減少し、不安症状のある人は循環型のNK細胞の数が減少していることが明らかになりました。また、中等度以上の症状で顕著な減少が見られました。
Medical Xpress:Robust analysis challenges theory that depression and anxiety increase cancer risk
2023.08.08
うつや不安が、がん発症リスクに関連するという説は本当なのでしょうか。

オランダの研究チームが同国、英国、ノルウェー、カナダの成人30万人以上のデータを分析。26年の追跡調査で、「うつ」「不安」と「全がん」「乳がん」「前立腺がん」「大腸がん」「アルコール関連がん」の間に関連がないこと明らかになったそうです。

肺がんや喫煙関連がんはリスクが6%上昇するものの、これには、がん発症につながる不健康な行動が影響しているようです。Medical Xpressの記事です。

PROFILE

医療ニュース編集部
金子省吾:記者・編集者。2017年から地方紙に勤務し、主に社会部の記者として事件・事故や司法、市政、スポーツ、気象、地域活性化の取り組みなどを取材した。20年にマイナビに移って医療の取材をはじめ、グループ会社が運営するオンライン臨床支援サービス『ヒポクラ×マイナビ』編集部で医療ニュース作成に携わった。現在は『マイナビRESIDENT』や『マイナビDOCTOR』などの各種コンテンツを制作している。

藤野基文:記者・編集者。2004年から全国紙の記者として勤務し、主に医療・科学分野を担当した。18年にマイナビに移ってからは、グループ会社エクスメディオ社が運営するオンライン臨床支援サービス『ヒポクラ×マイナビ』の編集長を務め、現在は『マイナビRESIDENT』や『マイナビDOCTOR』などの各種コンテンツを制作している。

許田葉月:記者・編集者。2021年からウェブメディアに勤務し、文学や音楽などのトレンド、社会課題などを取材した。23年にマイナビに転職して医療の取材を開始。『マイナビRESIDENT』や『マイナビDOCTOR』で各種コンテンツの制作を担当している。

足羽美香:記者・編集者。2025年4月に新卒でマイナビに入社。WEBマーケティングやWEBディレクション、コンテンツSEOなどの研修を受けた後、25年9月から医療ニュース編集部に所属し、『マイナビRESIDENT』『マイナビDOCTOR』『オーベン×ネーベン』の各種コンテンツの制作を担当している。

阿部あすか:翻訳家、ライター。東京外国語大学(英語専攻)を卒業後、大手法律事務所の米国人弁護士などの秘書、英会話学校の講師、専門紙の英語版編集者として勤務した。2019年から編集部の一員として医療ニュースの記事を執筆している。