2026.02.06
高齢者手術の回復は“不安の数”にかかっている?▽病気に対する不安が強すぎると死亡率・自殺率が高い傾向▽不安や不眠だと風邪をひきやすくなる 免疫細胞が減少▽うつ・不安とがん発症は関連なしか 30万人調査で従来説否定
「握手をしたり、肩に触れたりするようにしています」。大学病院に勤める1年目の初期研修医を取材した際、彼が患者と接するときに心がけていることを教えてくれました。患者の不安を和らげ、ほんの少しでも元気づけたい――。その思いから行っていることで、初期研修の一環で勤務した診療所の医師に教わったそうです。私は今までに、医師からそんなことをしてもらった覚えがないので、少し驚くと同時に、感心しました。
特に高齢の患者ほど孤独を感じやすいため、温かみを伝えることが必要だとも話していました。その通りだと思いました。医師の手で直接触れられ励ましの言葉をもらうことは、もしかすると薬に勝るとも劣らない効果があるのではないでしょうか。
そんなことを考えていた矢先に、この研究結果を知ったので、納得感がありました。信頼でき、親身になってくれる医師がいることは、手術そのものやその前後の入院生活に伴うさまざまなストレスを減らすと思います。前向きな気持ちで過ごすことができれば、術後の回復も早まるでしょう。
初期研修医はこうも言っていました。「地域住民との距離が近い診療所では自然とできていたんですが、どうも大きな病院だとそれが難しくて……。必ずしもいつもできているわけではありません」。初診や外来、入院の患者数が多く、より重篤な患者にも対応する2次、3次救急の病院では、「地域密着」感の強い診療所のようにはいかないようです。
また、先輩医師に付き添ってもらうことが多い中で自分のやり方を出すというのは「半人前の自分にとって出過ぎた行為ではないか……」という気持ちもあるのではないかと思います。
だだ、彼の口から聞いた「患者の不安を少しでも軽くしたい。元気づけたい」という思いは極めてピュアで、握手をしたり肩に触れたりすることは、経験や知識を積み上げていく段階の彼にとって、今できるアウトプットとしてふさわしいと感じました。【金子省吾】