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2023.12.21

夫を専業主夫にするにはどうしたらいいですか?【Case9・後半】

夫が専業主夫になってから6年がたつ湊しおり医師が、「夫を専業主夫にするには?」という問いにずばり答えます。この連載も、今回が最終回! 明日からの毎日を、もっとハッピーに過ごすためのメッセージが詰まっています。

皆さんこんにちは。マイホーム購入計画に、家族の入院に、それからなんとファッション誌デビュー(「大黒柱妻」がテーマのインタビュー記事で)にと、初めての体験が目白押しの38歳が終わり、無事に39歳になりました。30代の日々は本当に楽しく、年々ハッピーを更新している気がしています。39歳の1年は40代を迎える準備をしつつ、さらに「自分ファースト」で、幸せをアップデートして過ごしたいなと思っている今日この頃です。さて、今回は「夫を専業主夫にするには——」の後編をお届けします。

文:湊しおり<藤田医科大学 総合診療プログラム(藤田総診)>

白状します 専業主夫育成メソッドは…ありません!

専業主夫は「やれ」と言われてできるものではありません。大黒柱妻も同様です。うまく機能するかどうかは「向き不向きによる」の一言に尽きると思っています。我が家の場合、「主婦になれない妻」にはたまたま世間一般より収入があり、「仕事でストレスをためがちな夫」には稼ぐことへの執着がなかったため、今の生活形態に落ち着いたのです。 この生活を始めた当初は、お互いの活動(私からすると夫の家事のクオリティ、夫からすると私の後先考えない行動の数々)にイライラすることもありました。しかし、それでも私にとっては家事を毎日自分で行う苦痛よりもメリットの方が大きく、夫にとっては外で働くことよりストレスが小さいからと、目をつぶり続けてきた結果、何となく丸く収まった感があります。ただ、妊娠や出産、育児が関わってくる場合などは、夫婦おのおのの性質だけを考慮すればいい話ではないので、目をつぶれないことも多々あると思います。

夫婦によって、それぞれの性格や置かれた状況は違います。ですから、夫にこういう「教育」を施して、こうして外堀を埋めたら、お宅のパートナーもあっという間に専業主夫に! なんてことは私には言えませんし、こういう男性を選べば専業主夫になりますよ! なんて話もありません。

柔軟な人にも根深く残る日本的な価値観

しかしながら、夫が専業主夫になって早6年の私が、「家事、育児は夫に任せて私はバリバリ働きたいんです」という女性や、「奥さんに養われたいです~」という男性と会話をして気づいたことがあります。悪しき日本文化の刷り込みは、思った以上に根が深いようです。

まず大前提として、日本で生まれ育っていると、知らず知らずのうちに、「稼ぐのは男性、家事や育児は女性」という価値観や、「男性の学歴や収入が自分より上でないと尊敬できない」「女性は料理がうまくて、家計の管理もしっかりできないといけない」とか、「女性は男性のキャリアを優先すべき」というような考えを刷り込まれているものです。それが本当に無意識下に染みついているなと思ったことが何度かありました。

我が家のように、旧来の男女の役割が入れ替わった生活を始めると、思いもよらないポイントでイラッとしたり、モヤッとしたりするんです。例えば、家計を一つにして間もない頃、二人で外食に行った時には、夫に支払いをしてほしいと思っていました。出どころは同じなのだから、どちらが支払いをしても実質的には同じことなのに、です。それでも、何の根拠もなく、会計時には男性が財布を出すべきだし、支払いをする姿が格好良いとさえ思っていました(夫が使っているのは私の「家族カード」なので本当にポーズだけの問題です)。それから、私が事務的な書類の記入が苦手だと気付いたのも結婚した後で、今となっては夫にほぼ代筆してもらっているのですが、苦手だと気付いた当初は「私は女性なのにきちんとしていない……」と不必要に落ち込んでいました。役割分担をしていく中で、ささいな日常のあちこちで自分の中の凝り固まった価値観にハッと気づかされました。

「専業主夫と大黒柱妻」という家族の形を取っている私は、固定観念になんて縛られていないと思っていましたが、全然そんなことはなくて、根深く染みついた価値観はしぶとく残っているものです。そのことをあらかじめ知っておいた方が、「新体制」がスタートしたときに、前時代的な考えを否定しつつも部分的にそれが染みついた、「ダブルスタンダードな価値観」を持った自分に悩むことが少ないと思います(「女医、主夫と暮らす<下>」参照)。 また、私たちは自分の育った家庭の影響を多かれ少なかれ受けて大人になっています。ですから、自分にしろパートナーにしろ、「父親が稼ぎ、母親が専業主婦の家庭に育ったし、そんな家庭が大好き!」という場合には、そうでない家庭に育った場合よりも、既存の価値観からの脱却には困難を要するでしょう。

専業主夫に「する」のではなく、専業主夫に「なる」

ここまで偉そうに書いてきましたが、夫と暮らし始めた時も、夫が主夫になった時も、実はこのコラムで挙げたようなことは何も考えていませんでした(笑)。単純に私の場合は、私の見る目が抜群だった上に、運と相性が良かったのだと思います。ですので、基本的には、慎重になりすぎて頭でっかちになる必要はないと思っています。

ただ、専業主夫家庭を目指してぎくしゃくした夫婦も知っていますし、残念ながら破局したカップルも知っています。なので、夫を専業主夫に「する」のは難しいけど、向いている人を適切に促せば、「なる」かもね、くらいに考えておくのが無難かなと思っています。

実は、この連載「もっと、あしたハッピーになぁれ!!」は今回が最終回です。といっても、私のコラムがこれで終了というわけではございません。リニューアルして戻ってきます。これまで読んでくださった皆さん、ありがとうございました! またお会いしましょう。

ではでは、明日からの毎日が、もっとハッピーなものになりますように。

PROFILE

湊 しおり(みなと・しおり)

藤田医科大学 総合診療プログラム(藤田総診)医師。
1984年生まれ。広島大学出身。整形外科専門医、抗加齢医学会専門医。
気が多く、衝動性が強いため、壁にぶつかることも多々。いつも思いのままに、勢いで何とかしている。素敵な人と出会う運だけは日本一良いとの自負がある。自分を持て余しつつ、専業主夫の夫とペット(犬4匹、猫2匹)に支えられながら、「何とか生きています」。

栗生 ゑゐこ(くりう・えいこ)

栗生えいこさんのプロフィールイラスト

イラストレーター。
茨城県つくば市出身。筑波大学比較文化学類・桑沢デザイン研究所デザイン専攻科(プロダクトデザイン科)卒業。
2009年よりフリーランスのイラストレーターとして活動し、書籍・WEB・広告などを中心にイラストを提供している。著書に『赤子しぐさ』『きみはいつも想定外-おさなご日記-』など。

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