2023.07.05
「結婚は認めない」。そんなふうに家族から言われたら、あなたはどうしますか? 実際に、結婚を家族に反対されて悩んでいるという女性医師から質問が届きました。自身も両親から結婚を猛反対されたことがある湊しおり医師が、その質問にお答えします!
はじめまして。私は救急医をしているM(女性)と申します。私は結婚を前提にお付き合いしている男性がいますが、家柄や職業の違いから、家族皆から結婚を反対されています。毎日家族を説得していますが、疲れてきました。先生が入籍をするに当たって家族から反対はありましたか? もし反対されたのであれば、どのような対応をされたか教えていただけないでしょうか?
※この連載では、皆さまからの質問やお悩みを募集しています。こちらから投稿が可能です
ついに、ついに質問が頂けました(感激)! M先生は、連載「あした、ハッピーになぁれ!」の番外編「女医、専業主夫と暮らす」を読んで質問を送ってくださったのでしょうか。どうもありがとうございます。そして、本当にお疲れさまです。親しい人とのいざこざは心身ともに疲弊しますよね。ここでは、家族が反対する具体的な理由などの込み入った話もできませんので、飲みに行きましょう! Facebookなどで検索の上、ご連絡いただけますと幸いです。お待ちしております!
ではでは、明日からの毎日が、もっとハッピーなものになりますように。
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と、いうように直接会ってお話しするのが一番なのですが、同じように悩んでいる方が他にもきっといらっしゃると思いますので、私個人の体験や意見、そして結婚から約7年たった今のことなどを交えて、お伝えしようと思います。
文:湊しおり<藤田医科大学 総合診療プログラム(藤田総診)>
この質問を頂くまですっかり忘れていたのですが、そういえば私も入籍前は家族と一悶着(ひともんちゃく)あったのでした。今や夫は、私だけでなく両親にとっても必要な存在となっていて、事あるごとに感謝されているのを目撃するので忘却のかなたでしたが、M先生のおかげで思い出すことができました。メールの履歴を恐る恐る見返してみると、結婚についての両親とのやりとりが残っていました。まあまあバトルしていましたね(笑い)。
内容は「格差婚」の是非とでもいったらよいのでしょうか。私の両親は、医学部の同級生同士です。学生時代から交際して、結婚して、子どもも医者になりましたという、この界隈では割とあるあるな設定です。
両親からのメールを要約すると、「私と彼では生まれ育った環境や常識が違いすぎるから、理解するのに手間暇がかかって大変だろう」という、シンガー・ソングライターの山崎まさよしさんの代表曲「セロリ」を差し出がましくしたような内容です。
最終学歴がいわゆる「Fラン」の私大であることや喫煙歴があったことなど、「で?」としか返答ができないようなことを引き合いに出し「釣り合わない」というのです。そして、当時私はへき地で働くことを決めていたので、それに伴って彼が仕事を辞めて養われる立場になることについて、金銭を自力で稼ぐことの重要性から始まり、くどくどくどくど……。メールを読み返すだけで、げんなりしてきました。

そのメールが来たのが、恐らく彼を初めて両親に会わせた直後と思われます。やり取りは私が送ったメールで途絶えており、少なくとも私の中では片が付いていたのでしょう。文面は「親は順当に逝けば、最終的に私が幸せかどうかを見届けることはできないし、私を幸せにすることもできません。私自身を幸せにできるのは私だけなので、私は私が幸せになれると思う道を自分で選びます」という宣言めいたものでした。
彼と共に再び両親に会ったのはそれから9カ月後。食事をし、帰り際に「近々、入籍するわ」と伝えました。翌日には、友人1人ずつに婚姻届の保証人欄に署名をしてもらいました。「はんこ持って居酒屋集合!」と言われた夫の友人は、借金の保証人にさせられると思ったそうです(笑い)。
それから7年たった今では、家族ともども、ありとあらゆることに関して夫におんぶに抱っこに肩車という感じなので、きっとうちの両親もあんなに無礼千万なメールをしていたことは忘れたいのではないかと思います。
また、例えば私が医学部の同級生なり、病院の同僚なりを結婚相手として連れて帰ったとしても、「重箱の隅をつつく」ように何かしら難癖をつけられたんじゃないかなと思います。単に学歴や収入は分かりやすいターゲットなだけで、それこそ顔とか性格とか、心配なポイントを探して挙げてきたのではないかなと思うのです。子どもの前に架かる石橋をたたいてたたいて、結局心配で新しく橋を作っちゃう、というのが私の中の親像ですからね。

でも、残念ながら私は石橋だって木の橋だってたたかないし、誰も通らない道も嫌いじゃない。そして誰より自分を幸せにしたいと思っていて、そのために必要なものは自分で選びたいという主義の下に生きているのです。
そういえば、女優の藤原紀香さんがお笑い芸人の陣内智則さんと結婚した時も週刊誌などで「格差婚」といわれていましたが、「下方(下降)婚」ともいうらしいですね。(担当編集者によると政府や学会の報告書にも使われる言葉だそうですが)格差婚より悪意を感じませんか?
個人的には少しでも相手を「下方」だと思っているなら結婚なんてしない方がいいと思います。学歴、収入、容姿などでラベリングして「上か下か」なんて何の意味もありません。私は「Fラン私大」と結婚したのでも、「無職」と結婚したのでもなく、私が幸せでいるために必要な「夫」と結婚したと思っています。
それに、周囲の医師たちを見渡してみてください。確かに日本の平均から見たら、高収入な人たちの集まりでしょうけれど、「この人とずっと一緒にいるのは無理だわ~」と思うことのなんと多いことか……! 「上方/下方」なんかで測れない部分に魅力があるから、人は恋に落ちちゃうんですよ。

と、ここまでが私の経験談です。M先生のお悩みにアドバイスするならば、結婚に関する優先順位がどうなっているのかを明確にすれば、おのずと答えが見えてくるのではないかということと、他人を説得して考えを変えさせることは諦めた方がいいということの2点になります。
あえて優先順位を付けるなら、家族に納得してもらうことと、お付き合いされている方と一緒にいることのどちらが大事ですか? 家族に納得してもらうことが最優先なのであれば、これはもう結婚は難しい可能性すらあります(別れないにしても、こっそり交際を続けつつ、「敵」の出方を探り続ける感じでしょうか。でも、さすがにM先生もお相手も疲れそうですね)。よく考えてみれば、私たちより長く生きている他人の考え方を変えるなんていうのはかなりの無理難題なので、催眠術を習得するしかないかもしれません。
世の中には「親子なんだから分かり合える」というようなことを言う人がいますが、私は「そんなばかな」と思っています。家族は、一番長く一緒に過ごしている「他人」です。私についての情報量にアドバンテージがあるというだけで、全部を知っているなんて思われたら、たまったもんじゃありません。そんなに私は底の浅い人間じゃないのよ、と言いたくもなります。
思うように家族の同意が得られず、私がそうしたように恋人と一緒にいることを優先するのであれば、手段はいくらでもあります。例えば、入籍自体は家族の承諾は不要ですし、事実婚であってもいいし、ご自身のライフスタイルに一番合った形を選べばよいと思います。
家族との関わり方はかなり個人差がありますし、どこまで認めてもらいたいのかとか、普段からどのくらい家族と関わらなければならないかということで、取るべき選択は変わってきます。
私は自分の親兄弟をそれなりに大事にしているつもりですが、そもそも論として、家族は私が選んだわけじゃないので、合わないところがあって当然。ダメなものはダメで仕方がないのです。
一方で、医師という職業、夫、犬と猫だけは、私が選んだと思っています。自分が選んだものには責任を持つ義務があるし、今の自分の幸せは完全に私が選んだものでできていると思うので、とても満足しています。結果論ですが、今も家族とうまくやれているのは、夫のおかげである部分が大きいので、自分の見る目の確かさにほれぼれします。

余談ですが、私と同時期に結婚した女性の先輩医師は本当に由緒正しいお家柄で、やはり、パートナー(非医師、離婚歴あり)の条件については家族と一悶着あったようです。ただ、このご夫婦の場合はパートナーの方の社交性がものすごくて、単独で先輩方の法事などに乗り込み家族を懐柔したという逸話があります。ご参考までに。
話があちこち飛びましたが、そろそろ締めます。
M先生、ひとまずいったん休戦して、心身ともにリフレッシュしてください。そして、すっきりした頭と心で、ご自身にとって大切なものは何なのか、考えてみてください。
結果として、手放さなければいけないものが出てくるかもしれないし、グレーな感じに何となく落ち着くかもしれません。でも、誰かのための人生ではなく、M先生が主役のM先生のための人生です。ご自身が最高に輝けるシナリオにしていってください。
ではでは、明日からの毎日が、もっとハッピーなものになりますように。

藤田医科大学 総合診療プログラム(藤田総診)医師。
1984年生まれ。広島大学出身。整形外科専門医、抗加齢学会専門医。
気が多く、衝動性が強いため、壁にぶつかることも多々。いつも思いのままに、勢いで何とかしている。素敵な人と出会う運だけは日本一良いとの自負がある。自分を持て余しつつ、専業主夫の夫とペット(犬4匹、猫2匹)に支えられながら、「何とか生きています」。

イラストレーター。
茨城県つくば市出身。筑波大学比較文化学類・桑沢デザイン研究所デザイン専攻科(プロダクトデザイン科)卒業。
2009年よりフリーランスのイラストレーターとして活動し、書籍・WEB・広告などを中心にイラストを提供している。著書に『赤子しぐさ』など。
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