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Naked 初期研修医 × 専攻医 クロストーク 耳鼻咽喉科(下)

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耳鼻咽喉科の専攻医リズ(ハンドルネーム)と初期研修医ミミ(同)の対談の最終話をお届けする。

今回は、ミミ医師が初期研修医のうちにやるべきことや振る舞い方を細かく聞いた。また、耳鼻咽喉科の専攻医の勉強方法についてリズ医師が書籍名を挙げて説明。最後にリズ医師が耳鼻咽喉科の「素晴らしさ」を熱く語った。

耳鼻咽喉科に進みたい初期研修医が回るべき診療科は?

初期研修医ミミ

耳鼻咽喉科の専門研修に進むということを決めていた場合、初期研修医の時にどのような科を回っておくと役に立ちますか?

専攻医リズ

病院によっては、耳鼻咽喉科の先生が救急を診なければいけないこともあると思うんですよ。だから私は外科系の救急をある程度診られるようにしようと思って、整形外科、皮膚科、眼科とかを回りました。

初期研修医ミミ

実際に回ってみて、いかがでしたか?

専攻医リズ

回っている間に、「救急でこんな患者さんが来たらどう対応するか」というのを上の先生にいろいろと質問して学んでおいたことは役に立っていますね。

初期研修医ミミ

耳鼻咽喉科に直接関係するような診療科はありますか?

専攻医リズ

形成外科ですね。初期研修2年目の最後の3月に形成外科を回って、縫合を実際にやらせてもらうなどして、すごくためになりました。もちろん、外科を回ればそういう経験はさせてもらえるとは思いますが、耳鼻咽喉科は再建などで形成外科の先生にお世話になることが多いんですよ。

初期研修医ミミ

形成外科は回っておいた方がいいんですね。

専攻医リズ

そうですね。形成外科は一番お勧めです。

初期研修医ミミ

他に回っておくべき科はありますか?

専攻医リズ

内科系をもっと回っておいても良かったかなと思っています。耳鼻咽喉科で入院しているけど、内科の疾患の合併症を持った患者さんもいるので。

初期研修医が身に付けるべき外科的スキル、内科的知識

初期研修医ミミ

初期研修医の時にこういうことを勉強しておいた方がいいというのはありますか? 外科的スキルとか、内科的なこととか。

専攻医リズ

まず外科的なスキルでいうと、ミミ先生は糸結びのやり方を教えてもらう機会はありましたか?

初期研修医ミミ

はい。私の病院は糸結びとか縫合とかを勉強する機会があります。

専攻医リズ

そうしたら、それを「時間をかけてゆっくりできる」ではなくて、どんどん速くミスなくできるように練習を重ねることが必要だと思います。後は、実際に手術に入ったときに、最初は第2助手として筋鈎(きんこう:外科手術で術野を広げるために使う器械)持ちとかをやりますよね。そういう時に上の先生のやり方を見て少しずつ慣れていくしかないですね。

初期研修医ミミ

内科的なことは、どうでしょう。

専攻医リズ

一般的な禁忌はやらないようにするとか、国家試験レベルの、医師として最低限知っておくべきことが分かっていれば、そんなに困ることはないと思います。私はそんなに勉強が得意ではないので(笑)。困ったときは周りの先生に教えてもらいながらやっています。

先輩にいろいろ教えてもらいたい時はどうする?

初期研修医ミミ

ところで、上の先生にいろいろなことをやらせてもらうためには、初期研修医としてはどういう振る舞いをしたらいいんですかね。

専攻医リズ

おお、なかなか難しい質問ですね(笑)。

初期研修医ミミ

リズ先生に聞くべき質問か分からないんですけど(笑)。

専攻医リズ

ありがたいことに、私の医局はこちらが「待ちの姿勢」でいてもどんどんやらせてくれる環境なんです。だからすっきりとした答えにはならないかもしれませんが……。

初期研修医ミミ

いいえ。全然、問題ないです。

専攻医リズ

例えば手術の場合だったら、「積極的にやらせてほしい」ということは、まずちゃんと伝えておく必要があります。ただ「やらせて」というだけではよくないので、手術の手順をしっかり勉強したり調べたりした上で、その熱意を伝えるのがいいと思います。

初期研修医ミミ

確かに。ちゃんと努力している人に対してであれば、積極的に指導したくなりますよね。

耳鼻咽喉科の専攻医の勉強法

初期研修医ミミ

耳鼻咽喉科に進んだ後、専攻医の皆さんはどうやって勉強をしているのですか?

専攻医リズ

画像の本はよく使います。カンファレンスで、構造のことやCTの所見を述べることがあるので、事前準備で調べる必要があるんですよね。私が使っているのは『頭頸部画像解剖ナビゲーション』(Gakken<旧学研メディカル秀潤社>)という本です。CTの画像などについて、疾患ごとに解剖のことも詳しく書かれていて重宝しています。

初期研修医ミミ

メモしちゃいました(笑)。他にもお薦めの本はありますか?

専攻医リズ

『今日の耳鼻咽喉科・頭頸部外科治療指針』(医学書院)という外来の本があって、同期もみんな持っていますね。こういうのを読んだ上で診療に挑むと、少しは心が楽になると思います。後は手術の手順を説明した本は、手術がどのように進むのかを頭に入れておいた方がいいので、買っておくといいと思います。ただ、そういう本はすごく高いんですけどね。

初期研修医ミミ

書籍名を挙げてくださって、ありがとうございます。参考になります。

専攻医リズ

ただ、大学によって薦める本が違うかもしれません。今挙げたのは耳鼻咽喉科に入ってから使えばいいと思うので、その時に直属の上の先生にも聞いてみてください。

耳鼻咽喉科のススメ

初期研修医ミミ

リズ先生が「耳鼻咽喉科に進んで良かったな」と思うのは、どんな時ですか?

専攻医リズ

初期研修医の頃は患者さんと接するといっても、しっかり診療に関わることはないので、ちょっとお話しするぐらいですよね。今は病棟の入院患者さんも主治医として診ていて、毎日診察に行って、お薬を出したり、化学療法のお薬を調整したり。もちろん上の先生と相談しながらですけど。そうやって患者さんと深く関わることができるのがうれしいです。

初期研修医ミミ

リズ先生は専門を選ぶ時に、「患者さんと関わる」ことを重視したとおっしゃっていましたよね。

専攻医リズ

そうなんです。それで、患者さんが退院する時に、すごい笑顔で「ありがとうございました」って言ってくれると、すごくうれしいですね。退院後も外来に来た時に「先生」って声をかけてくれることもあって。

初期研修医ミミ

素敵ですね。では、逆につらいことはありますか?

専攻医リズ

最近、オンコールの当番も回ってくるようになったんです。今はまだ、そんなに緊急の患者さんで呼ばれることないのですが、すごい鼻の出血があるとか、のどが腫れてしまったとか、そういうのでたくさん呼ばれるようになると、私の性格上、ストレスになるだろうなとは思います。

初期研修医ミミ

なるほど。すごくよく分かりました。リズ先生のお話を聞いて、耳鼻咽喉科の志望度が上がりました。

専攻医リズ

耳鼻咽喉科は選択肢の多い分野なので、自分のやりたいことが漠然としか考えられていない人でも、どこかでやりたいことが見つかると思うんです。内科も外科も、小児から高齢者まで診られる素敵な診療科なので、迷っている人は、ぜひ考えてもらいたいと思います。

tica ishibashiプロフィール画像
イラスト

tica ishibashi

イラストレーター、ファッションクリエイター。
アパレル商社のデザイナー職を経てフリーランスに。見た瞬間に「ずきゅん」と一目ぼれするような胸に響くクリエーションをモットーに、ファッションに特化したクリエイティブワークを展開する。イラストレーション、ファッションデザイン、アートディレクションと幅広く活動。広告グラフィックやブランドイメージビジュアルなどのさまざまなファッションイラストの制作と、アパレル企画や衣装などのファッションデザインを手がけている。2023年度JIAイラストレーターオブザイヤー最優秀商品イラスト賞受賞。

ホームページ:https://tica.cc

インスタグラム:https://www.instagram.com/tica_ishibashi/