耳鼻咽喉科の専攻医リズ(ハンドルネーム)と初期研修医ミミ(同)の対談をお届けする。
リズ医師は何を話してもネガティブな印象を一切与えない。誰からも好かれる性格の女性という印象だ。耳鼻咽喉科医の仕事を心から愛し、楽しんでいることがうかがえた。初期研修医のミミ医師は、マイペースなようで実はすごくしっかりした女性なのだろう。事前に耳鼻咽喉科を志望する同期からも質問事項を集めたといい、万全の準備のおかげで対談は非常にスムーズに進んだ。耳鼻咽喉科を進路の一つして考えており、かなり志望度は高いようだ。
耳鼻咽喉科はどのような雰囲気の診療科なのか、専門研修先はどうやって選べばいいのか、どのような年齢層の患者を診ることが多いのか――などが話題に上がった。
初期研修医ミミ
診療科の雰囲気にはそれぞれ特徴があると思うんですけど、耳鼻咽喉科ってどんな感じなんですか?
専攻医リズ
私がこの診療科を選んだ理由の一つが、実は医局の雰囲気なんです。医学部に入学した時は、特定の科に進みたいというのはなかったんですよね。実習が始まってから悩み始めて。それで、大学5年生の時にポリクリ(臨床実習)で耳鼻咽喉科を回ったら、先生方がすごく優しくて、しかも指導熱心で。それから耳鼻咽喉科を進路の一つとして意識するようになったんです。
初期研修医ミミ
私が勤務しているのは大学病院ではないんですけど、出身大学の耳鼻咽喉科の医局の雰囲気もすごく良かったんですよ。
専攻医リズ
やっぱり! 私、耳鼻咽喉科の先生に悪い人はいないんじゃないかと思うんです(笑)。今まで会った先生方は本当にみんな優しくて。
初期研修医ミミ
診療科や専門研修を受ける病院を決めた時もそれは決め手になったのでしょうか。
専攻医リズ
はい。一番意識したのが周りの環境です。仕事にかける時間は長いので、人間関係がストレスになるのは「しんどいな」というのがありましたからね。
初期研修医ミミ
リズ先生は、初期研修を受けた病院と同じ病院で専門研修を受けているのですか?
専攻医リズ
そうです。
初期研修医ミミ
実際に入局してみて、いかがですか?
専攻医リズ
上の先生だけでなく、同期にも恵まれて、すごく良い環境で仕事をしています。同期は私を含め3人で、支え合い助け合いながらやっています。
初期研修医ミミ
ああ、いいですねぇ。自分の中で耳鼻科に進みたいという気持ちが強くなりました。
初期研修医ミミ
出身大学の耳鼻咽喉科の医局の雰囲気がすごく良かったので、耳鼻咽喉科に進むのであれば、そこで専門研修を受けることも考えています。でも、他の所を見ずにこのまま突き進んでしまっていいのか悩んでいます。
専攻医リズ
けっこう大学によって特色があると思うんです。耳が強い、鼻が強い、頭頸部が強いといったものが。だから、本当は耳を専門にしたいのに、頭頸部が強いからそればかりやることになるということが起こり得ます。ミミ先生の出身大学は、自分の希望と強みがマッチしていますか?
初期研修医ミミ
私は小児の診療に興味があるので、その関係で耳科に興味があるんです。それと手術もしたいんです。また、遺伝性難聴の治療が原因遺伝子を特定することでうまくいくということを教わって、そういう分野にも関心があります。出身大学はそういうことが割とできると思います。
専攻医リズ
なるほど、なるほど。それなら全然悪くない選択肢だと思います。ただ、症例数なんかはインターネットでも調べられるので、そういうのを見て、気になる病院があれば見学に行ってみるのもいいですよね。
初期研修医ミミ
その他に専門研修の病院選びで気を付けるべきことはありますか?
専攻医リズ
入局者数ですね。専攻医になってすぐの時なんかは、どうしても夜遅くまで残って仕事をしなくちゃいけないこともあるんですよ。なかなか一人きりだと、つらいものがありますからね。
初期研修医ミミ
ああ、仲間がいるのは大事ですね。
専攻医リズ
私だったら、入局者があまりいないところだと、他にしようかなと思っちゃいます。ミミ先生の出身大学の耳鼻咽喉科は、入局者は毎年複数いますか?
初期研修医ミミ
はい。上の人もいるようですし、同期にも何人か出身大学の耳鼻咽喉科の医局に進みたいと言っている人がいます。
専攻医リズ
うんうん。いいかもしれませんね。
初期研修医ミミ
リズ先生は耳鼻咽喉科以外に進路として迷った診療科はあるんですか?
専攻医リズ
私はちゃんと子育てなんかもしたいと思っているんです。それで、キャリアと家庭のことを考えて、麻酔科と放射線科も一時期「ありかな」と思ったんですよ。ただ、人と関わりたいというのがあったので、放射線科は違うし、麻酔科もしっかり関わるところではないし、ということでやめました。後は腎臓内科もちょっといいなと思った時期はありましたね。
初期研修医ミミ
腎臓内科はどうしてやめたんですか?
専攻医リズ
研修で行った病院の腎臓内科はいろいろな手技もしていて、最初は楽しそうだなと思ったんですけど……。電解質の補正とか、これはもう一回勉強し直して、けっこうな学力が必要になる分野だなというのがあって。
初期研修医ミミ
私も電解質の補正が苦手で、聞いていて強くうなずいちゃいました(笑)
専攻医リズ
ですよねぇ!(笑)。
初期研修医ミミ
私は小児科に進むことも選択肢に入っているんです。でも、手術をしたいので小児科は違うかなと思っています。耳鼻咽喉科に進んだら、小児の診療にたくさん時間を取ることができますか?
専攻医リズ
私は今、専攻医1年目で、現段階で小さい子どもの扁桃(へんとう)を取る手術をやっています。割合として、2~3割は小児のことに関わっていると思います。ただ、小児に多い耳の手術はすごく細かい作業があるので、ある程度年数がたってからじゃないと難しいんです。幅広く耳鼻科のことをできるようになって、専門医を取って耳に絞ったら、小児を中心とした診療をしていくというのは実現できると思います。
初期研修医ミミ
すごく魅力的ですね。
専攻医リズ
小児も診たい、手術もしたい、ということであれば、耳鼻咽喉科はお勧めです。ぜひぜひ(笑)。
tica ishibashi
イラストレーター、ファッションクリエイター。
アパレル商社のデザイナー職を経てフリーランスに。見た瞬間に「ずきゅん」と一目ぼれするような胸に響くクリエーションをモットーに、ファッションに特化したクリエイティブワークを展開する。イラストレーション、ファッションデザイン、アートディレクションと幅広く活動。広告グラフィックやブランドイメージビジュアルなどのさまざまなファッションイラストの制作と、アパレル企画や衣装などのファッションデザインを手がけている。2023年度JIAイラストレーターオブザイヤー最優秀商品イラスト賞受賞。
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