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精神科医 益田の言いたい放題! 第1回「東京で働くということ」

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精神科医 益田の言いたい放題! 第1回「東京で働くということ」_サムネ画像

王様のブランチ的生活に憧れて

地方出身の僕は、幼少期から「東京」に対して強い憧れを抱いてきました。小中学生の頃は、都会ではやっているモノやコトを紹介してくれるTBS系のテレビ番組『王様のブランチ』を見ながら、「いいなぁ~」と華やかな東京生活に思いをはせていたものです。そこまで牧歌的ではないと思いますが、今の地方在住の若手医師でも、東京に憧れを持っている人は少なくないでしょう。

今回は、地方から東京に移り住んだ僕の体験から、若手の皆さんの参考になる情報を提供したいと思います。

東京の魅力、相対的には薄れている?

地方で暮らしていた頃は、おしゃれなカフェや有名チェーン店、珍しい本やCDを扱う店、多彩なイベント、マニアックな映画を上映するミニシアターなど、地方にはないものに恋焦がれていました。加えて東京では、医師免許さえあれば専門性にかかわらず、高収入の仕事が見つかるといううわさを耳にしており、最低限の労働での充実した趣味生活を夢想したものです。

もちろん、インターネットが発達した今日では、東京の魅力は相対的に薄れたように思います。地方にいても、欲しいものはほとんど何だって簡単に手に入り、アクセスできる情報量は変わりません。そもそもテレビを見ない人が増え、私のようにマスメディアが作り出した欲望にまんまと引っかかるようなことも減っているのでしょう。SNSのキラキラした投稿に引っかかる人もいるのでしょうが……。

とはいっても、東京はさまざまな面で便利であり、刺激的であり、チャンスに恵まれているのは事実です。そんなことは改めて説明する必要もないかと思います。僕はYouTubeチャンネルを運営しているため、いろいろな人から仕事を気軽に頼んでもらえていると思っていますが、東京に住んでいることも大きく関係していると考えています。実際に会って何かをするというときに、都合がいいですから。

教育と仕事の機会

地方では人口減少が進んでおり、子育てにおいても東京の方が、選択肢が多いかもしれません。例えば、優れた学校や塾が多いのは事実でしょう。また、仕事も東京の方が多様で、特に、専門性を磨くための環境が整っています。自分の医師としてのキャリアのためというよりも、子どもの教育、パートナーのキャリアのことを考えて、東京を選択する人も多いと思います。

「医師=お金持ち」の考えを捨てましょう

働く上で東京の病院は人気が高いため、診療科目によっては専門性を磨いたり維持したりしつつ、条件に見合った給料をもらえる職場を探すのが難しい場合があります。アルバイトを見つけるのは簡単でも、希望の条件で腰を落ち着けて働ける職場を見つけるためには、競争が前提で、しっかりとしたリサーチと準備が必要です。

また東京は家賃や物価が高く、医師の給料だけだと「お金持ち」という感覚にはならないと思います。それでも念のため、「医師=お金持ち」という思い込みから、お金を使いすぎたり、だまされたりしないように注意が必要です(自戒を込めて)。

地方で働くことへの責任感

東京への憧れを抱く一方で、地方で働くことへの責任を感じる医師も少なくありません。医師不足が深刻な地方の状況を考慮すると、育ててもらった医学部や医局がある土地を離れることを、無責任と感じるかもしれません。

また実際に離れるとなると、あなたを批判する人にも遭遇するでしょう。これはまあ、仕方がないです。批判したい気持ちを抑える胆力が相手に足りないのは仕方がないし、何より、地方を後にすることを批判されても仕方がないだけの理由があることも事実です。

憧れの『王様のブランチ』のはずが、唯一の楽しみは近所のラーメン屋でランチ

僕は、さまざまな葛藤を乗り越え、晴れて憧れの東京で生活していますが、自宅とクリニックの往復の毎日です。ネットショッピングが主な買い物手段となり、おしゃれなカフェに行くこともありません。近所のラーメン屋に通うのが唯一の楽しみで、これなら東京でなくてもよかったのでは……と狭い賃貸の一室でよく考えます。夫婦でもたびたびこのことを話題にしますが、まあ今更引っ越しできないよね、という結論でいつも締められます。

というわけで、僕の東京暮らしの理想と現実が、若手の皆さんの参考になれば幸いです。

益田裕介プロフィール画像

益田裕介(ますだ・ゆうすけ)

1984年生まれ。岡山らへん出身。精神保健指定医、精神科専門医・指導医。防衛医科大学校卒業、陸上自衛隊勤務後、民間病院を経て、2018年4月より東京都内の早稲田大学横で個人開業医をしている。19年12月からYouTubeもやっている変な人。酒が好きすぎて、心身を壊しそうだったので20年6月から断酒中。そのことを自慢に思っている。週6~7勤務も疲れてきたので、勤務日を減らしたいけれど、貧乏性なので減らせない。こんなに頑張って働いているお父さんなのに、8歳になる娘からは「変態おじさん」なるあだ名を拝命しました。

月曜のマミンカプロフィール画像
イラスト

月曜のマミンカ

神奈川県川崎市在住のイラストレーター、絵本作家、グラフィックデザイナー。 2022年、絵本「カモンダメダメモンスター」を出版後、こどもと楽しめるワークショップを不定期で開催。 4匹の保護猫とヒーロー好きな息子、自由奔放な娘の子育てに奮闘中。

HP: https://mondaymom.official.ec/

Instagram: https://www.instagram.com/mondaymaminka/