Naked 初期研修医 × 専攻医　クロストーク 麻酔科（下）

一般的に麻酔科はQOLは高いといわれています。確かに、主治医制を敷いている他の診療科と比べたら高いと思います。ただ、緊急手術が入ったときにオンコールという形を取っている病院はあります。

僕の所は、病院から一歩外に出たらコールはなく、当直の麻酔科医がなんとかしてくれるんです。ただ、手術件数がすごく多くて居残りもあるので、一般的な麻酔科医と比べると忙しく、帰りもかなり遅いですね。

そうですね。病院にいる時は頑張って働いて、休むときはしっかり休む。

僕は独身です。

う～ん……専攻医の間に結婚する人が多いですかね。

働いている環境とか、人によると思いますけど、麻酔科はオンオフがはっきりしている診療科なので、円満な関係を維持しやすいといえるのかもしれません。

良い家庭を維持している上級の先生が多いように思います。ただ僕の病院は、定時の終業時間の時点で始まっていない手術が2～3件あるということが普通なんですよ。だから、小さい子どもがいる場合、毎日寝かしつけができるかというと、それは不可能です。家庭円満な麻酔科医は、パートナーとうまく調整しているのか、頭が上がらないだけなのかは分かりません（笑）。

集中治療に力を入れている大学が、専門研修が終わった麻酔科医に数カ月間の研修を行っている例もありますし、僕の知っている麻酔科医は、救急へ進んでドクターヘリに乗っています。

元々は小児科医で、今は麻酔科医として働いている人がいます。その人は小児科も麻酔科も両方専門医を持っています。

手術麻酔だけだと難しいと思います。手術あっての麻酔なので、開業はすごく難しいですね。いわゆるフリーランスで、バイトを渡り歩くという感じが現実的だと思います。それ以外は、最期を苦痛なく過ごしてもらう緩和ケアで開業ができるかもしれません。

そういう鎮痛剤の知識で患者さんをサポートする。訪問診療の形での開業は十分考えられると思います。もう一つはペインクリニックの開業は選択肢になります。麻酔からの派生分野として、緩和ケアとペインクリニックでの開業は十分考えられますね。

全身麻酔については、極めて安全性が高くなってきているといわれているんです。100％に近いくらい安全だと。なので、全身麻酔に関しては訴訟はあまりありません。一番多いのはペインの領域です。神経損傷でしびれが残存したとか、そういうことでの訴訟が多くあると聞いています。

子どもに全身麻酔をかけるときは、すごく気を使います。訴訟リスクを考えてというよりは、術中の心停止が最も多いのは新生児ですし、心臓の循環も大人と違いますからね。

もちろん。何でも聞いてください。

麻酔科医がもてるかどうか！？　それは、もう、その人のキャラクターによりますね（笑）。

まあ、オペ室は帽子をかぶってマスクを着けているので目元しか見えないじゃないですか。だから僕は「仮面舞踏会」だと思っているんですよ。ということで、オペ室にいる麻酔科医は、普通の状況よりはもてるかもしれません（笑）。