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Naked 初期研修医 × 専攻医 クロストーク 形成外科(上)

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形成外科の専攻医ミル(ハンドルネーム)と初期研修医カケル(同)の対談をお届けする。

ミル医師は、からりとした人柄が感じられる女性だ。どんな質問に対しても飾ったり含みを持たせたりせず、率直な意見を聞かせてくれた。カケル医師は、おもねらない印象の男性。医学生の頃から既に形成外科を進路の一つとして考えていたといい、ミル医師が形成外科医を目指した理由や形成外科医に必要な能力、診療科の雰囲気や魅力に関することを、自分自身の選択の答え合わせをするように聞いていた。

形成外科医になった理由。目指す理由。

初期研修医カケル

ミル先生は、なぜ形成外科を選んだのですか?

専攻医ミル

初期研修の頃に回っていて一番楽しかったのが外科だったんです。ただ、私が初期研修を受けた病院は消化器外科と整形外科しかなくて、そこで働いている先生たちの様子を見ていたら、けっこう大変そうだったんですよね。

初期研修医カケル

それでマイナー外科を選んだのですね。

専攻医ミル

そうです。それと、私は昔から手先が器用で細かい作業が好きだったので、そういうのを生かせる診療科がいいなと思ったのも理由の一つです。カケル先生は形成外科に進みたいと考えているんですよね。それは、どうしてですか?

初期研修医カケル

一つは、やはり手先が器用な方なので、元々内科系よりは外科系を考えていました。大学生の時のポリクリ(臨床実習)で整形外科の手外科(てげか:手の疾患や障害の治療を専門にする診療科)を回った時に手術を見て、面白そうだと思ったんです。それで、整形外科か形成外科かでずっと迷っていて。いろいろな人に「形成外科っぽいね」と言われるので、そうなのかなと。

専攻医ミル

どういうところが形成外科っぽいと思われたんですかね。

初期研修医カケル

性格的にも細かいところがありますし、物事への向き合い方も形成外科に向いているように見えるのだと思います。

形成外科医は顔の手術が好きな人が多い

専攻医ミル

カケル先生はポリクリの段階で手外科に興味を持ったとのことですが、初期研修の病院を選ぶ段階から、診療科はほぼ決めていたんですか?

初期研修医カケル

ほぼ決めていたと言い切れるほどではないんですけど。整形外科と違って形成外科はマイナーなので、初期研修のうちに経験できる病院が少ないですよね。だから、形成外科を軸にして初期研修先は選びました。

専攻医ミル

けっこう珍しいですね。私の周りは、初期研修で回っているうちに形成外科が面白そうだということで進路を決める人が多かったですし、もちろん私も初期研修医になる時には全く決めていませんでした。それで、カケル先生は手外科に興味があると。

初期研修医カケル

はい。手外科は形成外科の中でもかなりのマイノリティーですよね。実は今勤めている病院も手外科で有名なんです。

専攻医ミル

へぇ。カケル先生は、かなり珍しいタイプですね。形成外科医は顔の手術が好きな人が多いですから、手はなかなか……。正直言うと、私もそんなに好きではないです(笑)。

手先が器用でないとやっていくのが難しい

初期研修医カケル

形成外科を目指す医師にとって、何か必須の条件はありますか?

専攻医ミル

手先が器用であることは必須ですね。どのレベルを目指すかにもよるんですけど。カケル先生は、これは大丈夫そうですね。

初期研修医カケル

はい。そこは大丈夫だと思います。

専攻医ミル

小さい頃から物作りが好きだったとか?

初期研修医カケル

祖母の影響で折り紙はやっていましたが、特別なことはありません(笑)。ただ、細かい作業は好きでしたし、バランスを取るのが得意なのか、絵画や習字は得意で、よく小学校内の賞をもらっていました。

専攻医ミル

そうですか。それはすごいですね。

初期研修医カケル

外科系の先生が、手先が器用であることは重要ではなく、どれだけ努力して訓練をするかだと言っているのを聞くことがありますが、形成外科はそうはいかない診療科といえるのでしょうか。

専攻医ミル

顕微鏡を使ってやる手術もありますからね。例えば血管より細いリンパ管をつなぐ手術は本当に手先が器用じゃないと難しい。再建(失われた機能や外見を取り戻すための手術)の分野でも、一番重要な動脈と動脈をつなぐ血管吻合(ふんごう)は、髪の毛より細い針を使います。訓練ではある程度までしかできるようになりませんからね。

初期研修医カケル

逆に、こういう人は形成外科には向いていないというのはありますか?

専攻医ミル

やはり、小さい手術が好きじゃないと、形成外科医としてやっていくのは難しいかもしれません。とにかく手術がメインですから。

初期研修医カケル

良かった。その辺は僕は大丈夫そうです。

形成外科医はマイペースなアーティスト?

初期研修医カケル

形成外科の診療科の雰囲気というのは、どんな感じですか?

専攻医ミル

アーティストですね(笑)。あまり、みんなでご飯に行ったりすることはなくて、各々がマイペースで個人個人でやるみたいな。

初期研修医カケル

ああ、そういう感じなんですか。僕が勤めている病院の形成外科は、割とみんなでご飯に行くことがあります。ミル先生は大学病院にお勤めですか?

専攻医ミル

はい。大学病院です。

初期研修医カケル

僕は市中病院なので、そういう違いもあるのかもしれません。確かに、中には「孤高」って感じの先生もいますが、それは人によるのでしょうね。

魅力は、見た目を変えることで心を前向きにすること

初期研修医カケル

ミル先生は形成外科のどんなところに、やりがいがあると感じていますか?

専攻医ミル

そうですね。形成外科は見た目に関わる手術が多いので、患者さんの見た目を変えることで心まで前向きにできるところが面白いと思います。

初期研修医カケル

なるほど。好きな手術で患者さんの役に立てるのはいいですね。

専攻医ミル

好きな手術があれば、それを極めて職人みたいな感じで患者さんに還元する。そういうところが魅力の診療科です。

tica ishibashiプロフィール画像
イラスト

tica ishibashi

イラストレーター、ファッションクリエイター。
アパレル商社のデザイナー職を経てフリーランスに。見た瞬間に「ずきゅん」と一目ぼれするような胸に響くクリエーションをモットーに、ファッションに特化したクリエイティブワークを展開する。イラストレーション、ファッションデザイン、アートディレクションと幅広く活動。広告グラフィックやブランドイメージビジュアルなどのさまざまなファッションイラストの制作と、アパレル企画や衣装などのファッションデザインを手がけている。2023年度JIAイラストレーターオブザイヤー最優秀商品イラスト賞受賞。

ホームページ:https://tica.cc

インスタグラム:https://www.instagram.com/tica_ishibashi/