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病理医ヤンデルの言いたい放題! 第6回「メタ社のSNSにも言えることです」

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今回は「メタ認知」についてのお話です。

ご存知ですか、メタ認知。自分の言ったこと、やったこと、あるいは自分がその時に何を感じてどのように考えていたのかを、「他人の目にはどう映るのか、捉え直すこと」だそうです。

自己啓発本、カァーッ! に出てきますよね。失礼、ちょっと痰(たん)が絡んでしまいました。不快な単語を口にしたので、つい。口にしてない、タイピングしただけか。

ともあれ、メタ認知が大事だ、みたいな話は、一時期めちゃくちゃ流行(はや)ったし、今でもビジネス系セミナー、カァーッ! とかで取り上げられているわけです。

でも、メタ認知ってそんなに簡単なことじゃないと思うんですよ。

「自分を客観視できるようになりなさい」なんて、それができたら苦労しません。例えば、講演会などで自分のしゃべっているところをビデオに撮ってもらって、後で見たら、それは自分を「客観的に見る」ことになるのでしょうか? 「ネクタイ曲がってるな」とか「やたらと声高いな」とか「目がキョドッてるな」とか。なるほど、他人から見るとこんなふうに見えるのか……と思うわけです。

ちょっと待ってください。

他人は、そこまで自分のことを真剣に見ていません。自分からしたら「自分」は最も興味のあるコンテンツでしょうが、そこまで熱視線を送れるのは世界で一人だけなのです。

だから「“客観的に”自分を見てみました」という宣言ほど、うさんくさいことはないと思います。

そもそも、メタ認知が大事だってことを平気で人に話している講師(?)を見ると、「なんかちょっと瞳孔開いてて怖い」と、私なんぞは思います。その講師、私に「瞳孔開いているなあ」と思われていることを、客観視できていないと思います。その時点で、メタ認知が足りてないですよね。

「自分が他人の目にどう映るのか」は誰もが気になることで、気にするのは不自然ではないですし、悪でもありません。

でも、「それを気にしている自分」をまずは自覚したほうがいいでしょう。その上で、「私は他人にどう見られたがっているのか」ということを考えるべきです。

私も、メタ認知できるようになりたいと思うことがありますが、それは「他人の目にどう映るのかを知りたい」という知識欲からではなく、「他人の目によく映っていてほしい」という欲望からです。

この際ですからはっきり言いますと、私たちは、「よく見られたがっている人」を敏感に察知する能力を持っています。

ピンとくるのです。他人を主観的に見ている時のことを思い出してください。「こいつ、よく見られたがりだなーセンサー」が鋭く発動しているはず。「あっ(察し)」となるアレです。「よく見られたがっているであろう他人」を見た経験は、あなたにもたくさんあるのではないですか。

では、最後に質問です。「こいつ、よく見られたがってるんだろうけど、でも、実際にいいヤツじゃん」と感じるのは、どんな人でしょうか。

それは、メタ認知とか言いながら自分のことばかり見ている人ではなくて、「本来そこまで見なくてもいいはずの他人のことを、あたかも自分のことのように気にかけている人」ではないかな、と思います。自分を厳しく見るより、他人を優しく見る方が、本当はずっと難しい。


ヤンデルプロフィール画像

病理医ヤンデル:本名 市原 真(いちはら・しん)

1978年、札幌市生まれ。2003年、北海道大学医学部卒。医学博士、病理専門医。出張先を明かすとストーカーに出待ちされてしまうので各種の学会や研究会、イベントなどへの出席は極力明かさないようにしている。出先をSNSに書かなくなって以降は、私のいわゆるインプレッションが下がったようで民間の医療情報啓発イベントなどに一切呼ばれなくなり「私のフォロワー数が目当てだったのね」とハンカチの角をかんでいる。

月曜のマミンカプロフィール画像
イラスト

月曜のマミンカ

神奈川県川崎市在住のイラストレーター、絵本作家、グラフィックデザイナー。 2022年、絵本「カモンダメダメモンスター」を出版後、こどもと楽しめるワークショップを不定期で開催。 4匹の保護猫とヒーロー好きな息子、自由奔放な娘の子育てに奮闘中。

HP: https://mondaymom.official.ec/

Instagram: https://www.instagram.com/mondaymaminka/

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