icon-sns-youtube icon-sns-facebook icon-sns-twitter icon-sns-instagram icon-sns-line icon-sns-tiktok icon-sns-etc
SEARCH

精神科医 益田の言いたい放題! 第8回「バーンアウトを回避するために」

  • X

バーンアウトしやすい医師の仕事 まずは自分を見つめて

医師がバーンアウト(燃え尽き症候群)を回避するためには、日頃からセルフケアを意識的に行うことが大切です。医師の仕事には心身の酷使がつきまとうため、バーンアウトでうつになったり、自殺してしまったりしやすいことはよく知られていると思います。今回は、それを防ぐためのセルフケアの代表的な手法である「認知行動療法(CBT)」を紹介します。

セルフケアの第一段階として、まずはセルフモニタリング(自己観察)を習慣化することが重要です。CBTでは、自分の気持ちや思考パターンを定期的に振り返ることで、ストレスや疲労のサインを早期に捉えることが推奨されています。毎日数分でもいいので、自分の感情、体調、疲れ具合を書き出して記録する習慣を持つと、その変化に気づきやすくなります。

書き出すだけでなく、座禅を組み、瞑想(めいそう)するのもよいでしょう。目を閉じ、深く呼吸に集中する中で、自然と浮かび上がる考えを、追いかけ過ぎず、ただ眺めていく。その過程で頭の中が自然と整理されるのです。近年、これは「マインドフルネス」という名称で注目されています。

時には「仕方がない」という諦めも重要

セルフモニタリングで分かったことに応じて、適切な行動を取りましょう。疲れているなら、休息を取る必要があります。視野が狭くなっているなら、気分転換を日常に取り入れましょう。CBTの一つに、「行動の活性化」というものがあります。これは、自分が楽しめる活動やリラックスできる時間を意識的にスケジュールに組み込むことをいい、気分を改善する効果が知られています。

また、セルフモニタリングを続けることで、自分自身の「考え方の癖」を発見することができます。「完璧にしないといけない」「自分がやらなければ患者が困る」と考える癖がある人は注意が必要です。過度な責任感や完璧主義はバーンアウトを引き起こす大きな要因となります。自分を含めた「人」に対して「仕方がないな」とある種の諦観を持つことも、疲れないためには必要だと悟りましょう。

いまやCBTは、うつ病の治療および予防のためのスタンダードな技法となりました。患者だけでなく、医師や医学生もこれを身に付けることで、自分の心身の健康の維持に役立ててもらいたいと思っています。CBTは特別な物ではなく、誰にでもできるものです。肩肘張らずに、ぜひ日常的に取り入れてみてください。

益田裕介プロフィール画像

益田裕介(ますだ・ゆうすけ)

1984年生まれ。岡山らへん出身。精神保健指定医、精神科専門医・指導医。防衛医科大学校卒業、陸上自衛隊勤務後、民間病院を経て、2018年4月より東京都内の早稲田大学横で個人開業医をしている。19年12月からYouTubeもやっている変な人。酒が好きすぎて、心身を壊しそうだったので20年6月から断酒中。そのことを自慢に思っている。週6~7勤務も疲れてきたので、勤務日を減らしたいけれど、貧乏性なので減らせない。こんなに頑張って働いているお父さんなのに、8歳になる娘からは「変態おじさん」なるあだ名を拝命しました。

月曜のマミンカプロフィール画像
イラスト

月曜のマミンカ

神奈川県川崎市在住のイラストレーター、絵本作家、グラフィックデザイナー。 2022年、絵本「カモンダメダメモンスター」を出版後、こどもと楽しめるワークショップを不定期で開催。 4匹の保護猫とヒーロー好きな息子、自由奔放な娘の子育てに奮闘中。

HP: https://mondaymom.official.ec/

Instagram: https://www.instagram.com/mondaymaminka/