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精神科医 益田の言いたい放題! 第4回「誹謗中傷とどう向き合う?」

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精神科医・益田の誹謗中傷の代表例を一挙ご紹介

YouTuberをしていると、誹謗(ひぼう)中傷を受けることがあります。僕が遭遇する誹謗中傷の代表例は以下の通りです。

(1)動画なんか撮っていないで診療だけしていろ。金もうけだ=行為に対する抗議、否定

(2)〇〇先生の方が優れた専門家だし、話もうまい=専門性に対する否定

(3)優しくない、上から目線、傲慢(ごうまん)だ=人格に対する否定

(4)殺害予告の類い=ノーコメント

最初のうちは、結構こたえました。悪口のパターンも次第にアレンジが利いていき、自分が気にしていること、気にしていなかったのに気になるようになってしまったことなど、さまざまな傷をえぐりました。コンテンツ制作に真摯(しんし)に取り組んだことがある人なら分かると思います。そのコンテンツが自らと向き合い、よりコアの部分に到達した成果であればあるほど、誹謗中傷は苦しいものです。

精神科医の仕事は診療だけじゃない

冷静に考えてみると、(1)は的を外れています。

精神科医の仕事は診療だけでなく、研究や教育、社会に対する啓蒙(けいもう)活動も含まれるので、それをせずに診療だけしろというのは、精神科医の仕事への理解が足りません。

「金もうけ」に関していうと、われわれが属している資本主義社会においては、「お金」という「呪物」を使って大きなうねりを作り出し、より大きな成果を生むことが物事を攻略する鍵となります。僕がYouTubeを用いて、この複雑怪奇な現象を引き起こそうとする姿が彼らの目には、文字通り「呪術」のようにしか見えていないのかもしれません。

残念ながら、同業者から同じような非難をされることもあります。このような理解不足に遭遇すると、何とも言えない悲しい気持ちになります。

医学にだって限界はある

(2)(3)について考えます。僕の専門性や人格を否定する人たちは、「精神科医たるもの万能でなければならない」と思っているのかもしれません。科学や医学は万能なものであり、病気は必ず治療できるものである、と。つまり、それが達成できないのは医師の腕が悪いからだと思っているわけです。

医学の限界を認めたがらない人が一定数いるのは理解できます。確かに、たった一つの命ですから、限界があっては困るわけです。しかし、どうしたって限界は存在しますし、それを伝えることも医師の立派な仕事の一つでしょう。

死が持つ意味の豊かさや尊さを考える仕事

米国の精神科医エリザベス・キューブラー・ロスが示した「死の受容過程(死にゆく人の心理の変化を5段階で捉えた過程)」は、医学の道を歩み始めた時に最初に学ぶことですが、医師である僕らはそこに何度も立ち返り、考え直します。そのたびに「死=限界」であり、全ての事象には「死」が内在することを再認識します。そして、全ての人間の最後には本当の死があることも。

死が持つ意味の豊かさや尊さを、僕ら医師は考え続けなければなりません。心の探究を生業とする精神科医YouTuberは日々、「死(限界)」と誹謗中傷と向き合い、考え続けています。

益田裕介プロフィール画像

益田裕介(ますだ・ゆうすけ)

1984年生まれ。岡山らへん出身。精神保健指定医、精神科専門医・指導医。防衛医科大学校卒業、陸上自衛隊勤務後、民間病院を経て、2018年4月より東京都内の早稲田大学横で個人開業医をしている。19年12月からYouTubeもやっている変な人。酒が好きすぎて、心身を壊しそうだったので20年6月から断酒中。そのことを自慢に思っている。週6~7勤務も疲れてきたので、勤務日を減らしたいけれど、貧乏性なので減らせない。こんなに頑張って働いているお父さんなのに、8歳になる娘からは「変態おじさん」なるあだ名を拝命しました。

月曜のマミンカプロフィール画像
イラスト

月曜のマミンカ

神奈川県川崎市在住のイラストレーター、絵本作家、グラフィックデザイナー。 2022年、絵本「カモンダメダメモンスター」を出版後、こどもと楽しめるワークショップを不定期で開催。 4匹の保護猫とヒーロー好きな息子、自由奔放な娘の子育てに奮闘中。

HP: https://mondaymom.official.ec/

Instagram: https://www.instagram.com/mondaymaminka/