ご存じの方もいると思いますが、僕、益田裕介はYouTuberでもあります(2024年10月時点でのチャンネル登録者数は62.7万人)。これは、僕の最大の特徴だと思うので、今回はこの件についてお話ししようと思います。おそらく若手の皆さんの中にも、YouTuberになって情報発信をしたいと考えている人がいるでしょう。YouTuberの良いところ、悪いところを教えます。
YouTuberであることのメリットはやはり、有名人気分を味わえること。テレビ局に行ったり、雑誌の取材を受けたり、他の有名人らと会ってお話ししたりできるのは、なかなか貴重な体験です。そこに価値を見出せないという人もいるかもしれません。でも、知的好奇心が豊かで、何事からも学ぼうという姿勢があるのならば、無価値や無意味であることなんて、ないと思います。
また、YouTuberを副業として、臨床以外に収入を得られることもメリットの一つです。収入は1再生あたり0.3円と微々たるものです。でも、続けているとそれなりの金額になります。外部スタッフや編集代などの諸経費はかかりますが、僕の場合は赤字にはなっていません。もちろん、普通に臨床医としてアルバイトをしたり、開業してしっかり働いたり、別の会社を作って働いたりする方がコストパフォーマンス(費用対効果)は断然良いですよ。
正直な話、コンテンツ産業は基本的にもうかりません。ただし、医師であるという専門家としての特権を生かすと、YouTuberもそれなりにもうかるのかなあ……という印象です。
一方で、YouTuberに向いていない人もいます。誹謗(ひぼう)中傷や周囲からの視線を気にする人は、きついと思います。そういうことをあまり気にしない僕でも、やり続けていく中でボディブローのように効いてきているのを感じます。
それと、YouTuberをやってみたいと思っている人は、考え続けること、見られ続けること、自分の人生をさらけ出し続けることは覚悟しなくてはなりません。「テレビに呼ばれなくなったから、そのまま廃業しました」みたいな一昔前のタレントのようなモデルは今はなく、自分がやり続ける意思があれば、引退がない職業ですからね。
また、撮影や編集の時間だけでなく、アイデアや企画を考える時間も必要なので、本当に24時間そのことばかりやっているような気持ちになると思います。これもなかなかきついですよ。休まらない(笑い)。
それに時々、同業者から馬鹿にされたり、非難されたりすることもあります。それは、すごく寂しいものです。医師同士であれば、論文などの研究成果や、医局内での評価、ビジネスの成功などが、たぶんマウントの指標になります。
YouTubeにコンテンツを出すなんて「インパクトファクター」マイナスいくつの学術誌に論文を発表するようなもんだという感じで見る人が、中にはいるのです。
いろいろとデメリットがあるのに、どうして続けているのか?
周囲の人が喜んでくれるからです。患者さんから喜ばれるのはもちろん、実家の家族や妻、地元の友達など、医師以外の人から喜んでもらえているのは、本当に良かったと思います。
どうでしょう。YouTuberに興味のある若手の皆さん。やれそうな気がしますか?
益田裕介(ますだ・ゆうすけ)
1984年生まれ。岡山らへん出身。精神保健指定医、精神科専門医・指導医。防衛医科大学校卒業、陸上自衛隊勤務後、民間病院を経て、2018年4月より東京都内の早稲田大学横で個人開業医をしている。19年12月からYouTubeもやっている変な人。酒が好きすぎて、心身を壊しそうだったので20年6月から断酒中。そのことを自慢に思っている。週6~7勤務も疲れてきたので、勤務日を減らしたいけれど、貧乏性なので減らせない。こんなに頑張って働いているお父さんなのに、8歳になる娘からは「変態おじさん」なるあだ名を拝命しました。
月曜のマミンカ
神奈川県川崎市在住のイラストレーター、絵本作家、グラフィックデザイナー。 2022年、絵本「カモンダメダメモンスター」を出版後、こどもと楽しめるワークショップを不定期で開催。 4匹の保護猫とヒーロー好きな息子、自由奔放な娘の子育てに奮闘中。
HP: https://mondaymom.official.ec/
Instagram: https://www.instagram.com/mondaymaminka/