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2026.02.27

経血や尿によるHPV検査が子宮頸がん検診の負担を減らす!

経血使ったHPV検査で負担軽減 精度は従来検査と同等▽子宮頸がん検診が変わる英国▽HPV、男子のワクチン接種で根絶可能と数理モデルが予測▽尿検査で子宮頸がんが見つかる!?

世界の医学誌や科学誌に掲載された論文、大手メディアや医療メディアが配信している医療・医学ニュースの中から「見逃し厳禁」のものを選び、医療ニュース編集部の記者のコラムを付けて毎週お届けします。今回は1月22日~2月19日に『サクッと1分!世界の医療ニュース』に掲載した記事の中から「HPV検査のいま」についてのニュースを取り上げ、過去の関連記事3本を紹介します。なお、『What You Missed』は日本語版しか存在しません。【まとめ:医療ニュース編集部】
2026.02.12
生理中の経血を使ったヒトパピローマウイルス(HPV)の検査が、従来の子宮頸部からの組織採取による検査とほぼ同等の精度を示すことが明らかになったそうです。中国の研究チームが大規模調査の結果を医学誌BMJに発表しました。

従来の検査は、医師が器具を使って子宮頸部の組織を直接採取する必要があり、痛みや不快感を伴うことが受診率低下の一因になっています。研究チームは、より負担の少ない検査方法の可能性を探るため、2021年9月から25年1月にかけて、規則的な月経周期を持つ20~54歳の女性3068人を対象に調査を実施しました。

調査は、湖北省の七つの地域で行われ、参加者は生理用ナプキンの吸収面に張り付けたミニパッド(コットンパッド)で採取した経血と、医師が採取した子宮頸部サンプルの両方を提供しました。

検査結果を比較すると、病気の人を検出する「感度」は、経血を使った検査が94.7%、従来の検査が92.1%でした。病気でない人を正しく陰性と判定する「特異度」は、経血検査が89.1%、従来検査が90.0%でした。

また、結果が陰性の人のうち本当に病気を持たない人の割合「陰性的中率」はどちらも99.9%でした。その逆の陽性的中率が経血検査が9.9%、従来検査が10.4%。中等度以上の子宮頸部異形成を持つ患者を1人検出するのに必要な精密検査数は、経血検査が10.1件、従来検査が9.6件でした。

研究チームは、ミニパッドで採取した経血を用いた検査は非侵襲的で自己採取が可能な方法であり、子宮頸がん検診を受けやすくする新たな選択肢になり得るとまとめている。

記者から

友人と子宮頸がん検診について話したことがあります。彼女は定期検診(細胞診)で軽度の異常を指摘されたことがあるのだそうです。経過観察となり、その後は自然に改善したとのことですが、身近な人の体験から、定期的な検診の大切さを改めて実感しました。

とはいえ、いざ自分のことになると足が重くなります。検診が精神的にも身体的にも負担だと、友人から聞いてしまったからです。子宮頸がん検診では、専用のブラシを使って子宮頸部(子宮の入口)から細胞を採取し、顕微鏡で調べます。痛みや違和感を訴える人もいるといいます。

その不快さが受診を遠ざける一因ともいわれているようです。実際に私も、「自分を守るために必要な検査だけれども、できることならやりたくない」と思ってしまいました。

子宮頸がんの主因はヒトパピローマウイルス(HPV)です。そのHPV検査について、中国の研究チームが医学誌BMJに発表した研究結果では、生理用ナプキンの吸収面に張ったミニパッド(コットンストリップ)で集めた経血からHPVを検出できるそうです。研究では、従来法と同等の精度だったといいます。

このような、女性が負担を感じにくく、簡単に受けられる検査が広がるなら、私もすぐに受けたいと思います。仕組みが整えば、私のように検診を先延ばしにしてしまう人の背中をそっと押せるはずです。【足羽美香】

BBC:Women can safely have fewer smears thanks to HPV test
2022.06.01
英国では、子宮頸がんのスクリーニング方法が変わりつつあるそうです。

イングランド、スコットランド、ウェールズでは、検査方法を従来の細胞診からHPVウイルスの存在を調べる「HPV検査」に変更。これまで3年に1度行われていた検診を5年に1度に減らした地域もあるといいます。

同国の研究チームが女性130万人のデータを分析したところ、5年に1度の検診でもHPV検査によって十分にがんを予防できることが分かったそうです。BBCの記事です。
Bulletin of Mathematical Biology:Mathematical Assessment of the Roles of Vaccination and Pap Screening on the Burden of HPV and Related Cancers in Korea
2025.12.26
若年男性のヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン接種率を高めることで、子宮頸がん、頭頸部がん、肛門がん、腟がん、陰茎がんなどのHPV関連がんを根絶できる可能性がある。米国の研究チームが、こんな研究成果を科学誌Bulletin of Mathematical Biologyに発表しました。

研究チームは数理モデルを用いて、現在女子のみを対象にHPVワクチン接種が実施されている韓国について、ワクチン接種の変化がHPV関連がんに与える影響を予測しました。

その結果、男子の65%が接種すれば、女性のワクチン接種率が現状の88%のままでも集団免疫が成立し、約70年でHPV関連がんを根絶できる可能性が示されました。

さらに、女子の接種率が80%に低下しても、男子の80%がワクチンを接種すれば、HPV関連がんの根絶を達成できるといいます。一方で、男子を接種対象にしない場合、必要な女子の接種率は99%とのことです。

研究チームは、女子に加えて12~17歳の男子と、ワクチン接種の機会を逃した中高年女性もワクチンを接種するべきだと指摘しています。

世界的に接種率を高め、子宮頸がん検診を拡大することができれば、今世紀末までに181カ国中149カ国で子宮頸がんを根絶できるとする報告もあるとのことです。
Microorganisms:ine Specimens from Women with Cervical Intraepithelial Neoplasia
2024.07.11
がんになる前の状態(前がん状態)の子宮頸がんを尿から診断する検査法が実現するかもしれません。早稲田大学などの研究チームが、子宮頸がんの原因となる「ヒトパピローマウイルス(HPV)」の極微量のタンパク質を検出する「超高感度タンパク質測定法」を開発したと、学術誌Microorganismsに発表しました。

チームは、感染するとがん発症のリスクが高いHPV16型について、がん発症に関わるE7タンパク質を患者の尿から検出することに成功したそうです。子宮頸がんの前段階にある患者45人のうちHPV16かその関連型が陽性だった人の尿を使ってこの検査を試したところ、軽度異形成(CIN1)患者の80%、中等度異形成(CIN2)患者の71%、高度異形成(CIN3)患者の38%――でそれぞれE7タンパク質が検出されました。

この検査が実用化されれば、検診のハードルが大きく下がり、子宮頸がん撲滅への道が開かれます。

PROFILE

医療ニュース編集部
足羽美香:記者・編集者。2025年4月に新卒でマイナビに入社。WEBマーケティングやWEBディレクション、コンテンツSEOなどの研修を受けた後、25年9月から医療ニュース編集部に所属し、『マイナビRESIDENT』『マイナビDOCTOR』『オーベン×ネーベン』の各種コンテンツの制作を担当している。

藤野基文:記者・編集者。2004年から全国紙の記者として勤務し、主に医療・科学分野を担当した。18年にマイナビに移ってからは、グループ会社エクスメディオ社が運営するオンライン臨床支援サービス『ヒポクラ×マイナビ』の編集長を務め、現在は『マイナビRESIDENT』や『マイナビDOCTOR』などの各種コンテンツを制作している。

金子省吾:記者・編集者。2017年から地方紙に勤務し、主に社会部の記者として事件・事故や司法、市政、スポーツ、気象、地域活性化の取り組みなどを取材した。20年にマイナビに移って医療の取材をはじめ、グループ会社が運営するオンライン臨床支援サービス『ヒポクラ×マイナビ』編集部で医療ニュース作成に携わった。現在は『マイナビRESIDENT』や『マイナビDOCTOR』などの各種コンテンツを制作している。

許田葉月:記者・編集者。2021年からウェブメディアに勤務し、文学や音楽などのトレンド、社会課題などを取材した。23年にマイナビに転職して医療の取材を開始。『マイナビRESIDENT』や『マイナビDOCTOR』で各種コンテンツの制作を担当している。

阿部あすか:翻訳家、ライター。東京外国語大学(英語専攻)を卒業後、大手法律事務所の米国人弁護士などの秘書、英会話学校の講師、専門紙の英語版編集者として勤務した。2019年から編集部の一員として医療ニュースの記事を執筆している。