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2026.02.20

世界で感染拡大中の「はしか」は日本でも他人事ではない! ワクチン接種の徹底を

米国で過去35年で最大のはしか流行 ワクチン未接種のリスク浮き彫りに▽ロサンゼルスで子どもがはしか合併症で死亡▽テキサス州ではしかによる子どもの死亡続く▽WHOが世界のはしか感染急増を警告 死者減少もワクチン接種率の低下を問題視

世界の医学誌や科学誌に掲載された論文、大手メディアや医療メディアが配信している医療・医学ニュースの中から「見逃し厳禁」のものを選び、医療ニュース編集部の記者のコラムを付けて毎週お届けします。今回は1月15日~2月12日に『サクッと1分!世界の医療ニュース』に掲載した記事の中から「麻疹(はしか)の流行」についてのニュースを取り上げ、過去の関連記事3本を紹介します。なお、『What You Missed』は日本語版しか存在しません。【まとめ:医療ニュース編集部】
2026.02.02
米国で麻疹(はしか)の感染拡大が続いています。サウスカロライナ州で2025年9月下旬から始まった流行が急速に拡大し、26年1月27日時点で感染者は789人に達しました。これは25年にテキサス州で発生した流行(感染者762人)を上回る規模です。米NBC NewsやCNN、ABC Newsなど複数のメディアが報じています。

米疾病対策センター(CDC)によると、25年の全米のはしか感染者数は2255人で、1991年以降の最多を記録しました。26年は1月22日時点で既に416人の感染者が確認されています。報道によると、こうした状況が続いた場合、米国は今秋にもWHO(世界保健機関)から認定された「麻疹排除国」の地位を失う可能性があります。

サウスカロライナ州公衆衛生局によると、感染者の大半がスパータンバーグ郡に集中しており、そのほとんどがワクチン未接種または接種状況不明の人です。サウスカロライナ州では26年1月23日以降、89人の新規感染者が確認されており、流行が制御できていないことを示しています。入院者は18人、557人が隔離中で、死者は報告されていません。

感染は州境を越えて広がっており、ノースカロライナ州やワシントン州、カリフォルニア州でも関連症例が確認されています。クリスマス休暇の大移動で、各地に感染が広がったとみられています。

サウスカロライナ州と隣接するノースカロライナ州では、25年12月以降14人が感染。ユニオン郡にある学校(生後6週から通学可能)では170人以上が隔離中だといいます。この学校に通う子どもたちのワクチン接種率は60.1%と、はしかの流行を抑えるために必要とされる接種率95%以上を大きく下回っています。

報道では専門家が、今後さらに感染が広がる可能性を警告しており、ワクチン接種と隔離措置の徹底が不可欠だと強調しています。

記者から

東京都が1月30日、麻疹(はしか)の感染者が発生したと発表しました。いつもなら「そうか。感染が広がらなければいいな」と思う程度で終わっていたかもしれません。しかしその注意喚起には、感染者が東京宝塚劇場(千代田区)で観劇していたと記されていました。それを見た瞬間、「これは他人事じゃないぞ」と冷や汗が流れました。

私は韓国のあるアイドルグループの大ファンで、年に4〜5回ほどライブに通っています。人気グループなので、東京ドームや京セラドーム大阪といった巨大会場で開催されることも多く、観客は4〜5万人規模になります。もちろんライブ中は、大声で「掛け声」を叫びます。

はしかは麻疹ウイルスによる感染症で、飛沫感染・接触感染に加えて、空気中に漂うウイルスによる空気感染でも広がります。感染力は極めて強く、厚生労働省によると患者1人から12〜18人に感染させる可能性があるとされています。つまり、あのライブ会場に感染者がたった1人いたとしても、相当数の人が感染する恐れがあるということです。

ただし、はしかはワクチンで予防できます。1回の接種で約93%、2回の接種で約97%の予防効果があるとされ、流行を抑えるためには2回接種率を95%以上に保つことが必要とされています。

しかし、厚労省のデータでは、2025年度の接種率は自治体によっては95%を下回っています。また、00年4月1日以前に生まれた人は、1回しか接種していない可能性があるといいます。つまり、条件がそろえば流行が再燃する可能性があるということです。

自分が予防接種を受けたかどうかは、「母子健康手帳」「予防接種証明書」「マイナポータル」などで確認できます。記録が残っていない場合は、抗体検査や追加接種が推奨されます。

私も「あくまでも、念のため」と思い立ち、マイナポータルで接種歴を確認してみました。なんと……1回しか受けていませんでした。

これは急いで追加接種を受けないといけません。「推し」に迷惑をかけるわけにはいきませんから。いや、これは「推し活」だけの問題ではありません。自分自身と、大切な人たちを守るためにも、できるだけ早く行動しようと思います。【許田葉月】

ロサンゼルス郡公衆衛生局:Public Health Reminds Residents About the Importance of Measles Vaccination Following the Death of a Child from a Measles-Related Complication
米NBC News:Los Angeles child dies from rare measles complication years after recovery
2025.09.17
米カリフォルニア州ロサンゼルス郡で、麻疹(はしか)に関連するまれな合併症により、学齢期の子どもが死亡しました。地元保健当局は9月11日、ワクチン接種の重要性を住民に呼びかける目的でこの事例を公表しました。

死亡した子どもは、MMR(麻疹・おたふくかぜ・風疹)ワクチンを受けられる月齢に達する前の乳児期にはしかにかかりました。一度は回復したものの、数年後に「亜急性硬化性全脳炎(SSPE)」を発症し、亡くなりました。SSPEは、はしか感染から2~10年後に発症する進行性の脳疾患です。有効な治療法はなく、神経機能が徐々に悪化し、ほとんどの患者が診断から1~3年以内に死亡します。

SSPEは麻疹患者の約1万人に1人が発症するとされますが、乳幼児期に麻疹に感染した場合は、約600人に1人の割合で発症する可能性があると報告されています。

米国では近年、MMRワクチンの接種率が低下しており、2023~24年には、推奨されている2回のワクチン接種をした園児の割合は93%未満でした。25年は、米国で00年の麻疹撲滅宣言以来、最悪の流行が発生しており、これまでに1454件の症例が報告されています。

米NBC Newsによると、公衆衛生の専門家は、米保健福祉省(HHS)のケネディ長官が、科学的根拠の乏しい治療法を紹介したり、ビタミンAの効果を過度に強調したりするなど、麻疹に関する誤情報を広めたことが、流行の抑制を困難にしていると指摘しています。
米テキサス州保健局:Texas announces second death in measles outbreak
2025.04.09
米テキサス州保健局は6日、麻疹(はしか)に感染した子どもが3日に死亡したと発表しました。死亡したのは学齢期の女児で、はしかの合併症で入院し、治療を受けていたといいます。女児はワクチン未接種で、基礎疾患は確認されていないとのことです。テキサス州では2月に、はしかの感染で6歳の子どもが死亡しており、死者は今年2人目です。

今年1月以降、テキサス州ではしかの感染が急速に広がっており、4月4日時点で州内の感染者は計481人に達したそうです。隣のニューメキシコ州でも、はしかが原因で死亡したとみられる成人の症例が1件確認されています。米国では過去10年、はしかによる死者は報告されていませんでした。

米保健福祉省(HHS)長官のロバート・ケネディ・ジュニア氏はワクチン懐疑派で知られますが、2人目の子どもの死亡を受け、ソーシャルメディアX(旧Twitter)に「はしかの広がりを防ぐために最も有効な方法はワクチンだ」と投稿したそうです。

はしかはワクチンの2回接種で97%の効果が得られます。一方でワクチン未接種の場合、命に関わる病気を引き起こすことがあります。子どもの患者の5人に1人が入院し、20人に1人が肺炎を発症、まれに脳の腫れが起こるとのことです。
WHO(世界保健機関):Weekly epidemiological record Relevé épidémiologique hebdomadaire
2025.12.02
WHO(世界保健機関)は11月28日、麻疹(はしか)に関する新たな報告書を発表しました。ワクチンの接種率低下で感染者が世界的に急増しており、世界からはしかを排除するという目標達成は依然として遠い道のりだとしています。

報告書によると、世界的なワクチン接種の取り組みによって、2000年から24年の間にはしかによる死者数は88%減少し、約5900万人の命が救われました。しかし、24年にはまだ9万5千人が死亡したと推計されており、そのほとんどが5歳未満の子どもです。

死亡者数は減少したものの、感染者数は増加傾向にあります。24年には推定1100万件の感染者が報告され、新型コロナウイルス流行前の19年より約80万人増加しました。

はしかの流行を予防するためには、ワクチンの2回の接種率が95%を超える必要があります。しかし、24年の接種率は1回目が84%、2回目は76%でした。24年には計59カ国ではしかの流行が報告されています。

近年、一度排除された高所得国における再流行が報告されており、その理由はワクチン接種率が基準の95%を下回っていることにあるといいます。25年には米国やカナダでも流行が確認され、カナダは25年11月、「排除国」の地位を取り消されました。

WHOが予防接種に関する世界的ビジョンを示した「予防接種アジェンダ2030(IA2023)」には、世界からのはしか排除という目標が掲げられています。しかし、排除国と認定されたのは、24年末時点で81カ国(42%)にとどまります。25年11月時点で96カ国に増加したものの、目標達成の見込みは立っていません。

WHOは、はしかの排除を達成するためには、すべての子どもへの2回のワクチン接種、流行の迅速な検知のための監視システムの構築、強い政治的関与、継続的な投資が必要だと強調しています。

PROFILE

医療ニュース編集部
許田葉月:記者・編集者。2021年からウェブメディアに勤務し、文学や音楽などのトレンド、社会課題などを取材した。23年にマイナビに転職して医療の取材を開始。『マイナビRESIDENT』や『マイナビDOCTOR』で各種コンテンツの制作を担当している。

藤野基文:記者・編集者。2004年から全国紙の記者として勤務し、主に医療・科学分野を担当した。18年にマイナビに移ってからは、グループ会社エクスメディオ社が運営するオンライン臨床支援サービス『ヒポクラ×マイナビ』の編集長を務め、現在は『マイナビRESIDENT』や『マイナビDOCTOR』などの各種コンテンツを制作している。

金子省吾:記者・編集者。2017年から地方紙に勤務し、主に社会部の記者として事件・事故や司法、市政、スポーツ、気象、地域活性化の取り組みなどを取材した。20年にマイナビに移って医療の取材をはじめ、グループ会社が運営するオンライン臨床支援サービス『ヒポクラ×マイナビ』編集部で医療ニュース作成に携わった。現在は『マイナビRESIDENT』や『マイナビDOCTOR』などの各種コンテンツを制作している。

足羽美香:記者・編集者。2025年4月に新卒でマイナビに入社。WEBマーケティングやWEBディレクション、コンテンツSEOなどの研修を受けた後、25年9月から医療ニュース編集部に所属し、『マイナビRESIDENT』『マイナビDOCTOR』『オーベン×ネーベン』の各種コンテンツの制作を担当している。

阿部あすか:翻訳家、ライター。東京外国語大学(英語専攻)を卒業後、大手法律事務所の米国人弁護士などの秘書、英会話学校の講師、専門紙の英語版編集者として勤務した。2019年から編集部の一員として医療ニュースの記事を執筆している。