2026.02.13
欧州の認知症患者数が1.64倍に? 2050年に2000万人の見込み▽脳における糖の分解が認知症治療の鍵に▽AI・ロボット技術を駆使した日本の認知症対策に世界が注目!▽アルツハイマー病の新治療につながる? 脳の炎症を抑える免疫細胞「ミクログリア」を発見
先日、初めて訪れる地域を小学生の息子と散策していたところ、古い駄菓子屋を見つけました。昭和にタイムスリップしたような店構えに引かれ、中に入ることにしました。もちろん、息子も大喜びです。
店内にはほかに客はおらず、腰の曲がった高齢の女性がテレビを見ながら、一人で店番をしています。息子が昔懐かしい駄菓子をあれこれ選ぶのを見守っていると、女性から「ちょっとお尋ねしますが、この辺りにいい八百屋さんや魚屋さんはありますか?」と声をかけられました。
「あれ? 地元の人じゃないのかな……」と違和感を覚えつつ、私もこの地域に詳しくないことを伝えました。その後、女性は自身の生い立ちなどを話してくれたのですが、どうもつじつまが合わないことが多いのです。どうやら女性は、50年以上前に故郷を離れてこの地域に住み始め、その頃の記憶に戻って話をしているようです。
そうしているうちに、息子の買い物が終わりました。会計は驚くほど正確で、内心ホッとして店を後にしました。すると息子が、「あのおばあちゃん、一人で大丈夫なのかな?」と心配そうにつぶやきました。私との会話を聞いて、何か女性の異変を感じ取ったようです。
欧州各国のアルツハイマー病協会で構成する「アルツハイマー・ヨーロッパ」が、欧州の認知症に関する最新データをまとめた報告書を公表しました。報告書によると、認知症患者数は2050年までに欧州全体で64%増加すると推計されています。
認知症患者の増加とそれに伴う社会問題の深刻化は、欧州だけでなく日本でも重大な懸案事項の一つです。あの駄菓子屋の女性が認知症を患っているのかを私が判断することはできません。しかし、息子が案じるような様子がうかがえたことは事実です。そして近年、認知症を疑う高齢者に日常生活で遭遇する機会が増えているように感じます。
アルツハイマー・ヨーロッパの事務局長は、「認知症が欧州にもたらす課題は重大であり、今回の最新データが、欧州および各国の政策決定者に認知症対策を優先させる契機となることを願う」と述べたそうです。日本でも、認知症患者やその家族が安心して暮らせる支援や対策がより一層進むことを願っています。【阿部あすか】