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2025.12.12

鶏肉、まさか洗っていませんか? 身近に潜む「食」の危険

鶏肉を洗うとヤバいことに…! 食中毒リスクと正しい調理法▽原因は粉ミルク? 乳児ボツリヌス症疑いで13人が入院/米▽メタノール混入密造酒で失明、死亡…/ブラジル▽米マクドナルド集団食中毒、食品加工会社の不衛生が原因

世界の医学誌や科学誌に掲載された論文、大手メディアや医療メディアが配信している医療・医学ニュースの中から「見逃し厳禁」のものを選び、医療ニュース編集部の記者のコラムを付けて毎週お届けします。今回は11月6日~12月4日に『サクッと1分!世界の医療ニュース』に掲載した記事の中から「食と安全」についてのニュースを取り上げ、過去の関連記事3本を紹介します。なお、『What You Missed』は日本語版しか存在しません。【まとめ:医療ニュース編集部】
2025.11.12
調理前に生の鶏肉を洗わないで! 食品の安全情報の提供などを行うオーストラリアの慈善団体「食品安全情報協議会(Food Safety Information Council:FSIC)」が、11月8~15日のオーストラリア食品安全週間に合わせ、注意を呼びかけています。

FSICによると、「生の鶏肉を洗うとキッチン全体にカンピロバクターやサルモネラ属菌などの細菌が広がり、食中毒のリスクが高まるため、決して洗ってはいけない」としています。

鶏肉を安全に調理するには、きちんと手を洗う▽冷凍の鶏肉は肉汁が漏れないよう保存容器に入れ、冷蔵庫または電子レンジで中心までしっかり解凍する▽生の鶏肉や肉汁が他の食材に付かないように注意する▽食器や調理器具は清潔なものを使う▽中心部の温度が75℃以上になるまで加熱する――ことにも注意が必要だといいます。

なお、FSICの調査で、調理前に不必要に鶏肉を洗う人が増えていることが明らかになりました。2021年の調査では、丸鶏で49%、皮付き鶏肉で43%、皮なし鶏肉で40%でしたが、25年の調査ではそれぞれ51%、48%、44%に上昇しました。

オーストラリアでは毎年約467万件の食中毒が発生しており、4万7900人が入院、38人が死亡していると推計されています。

日本の農林水産省も鶏肉の扱いに関する同様の注意を呼びかけています。

記者から

息子が幼稚園児の頃、料理の手伝いに熱中している時期がありました。包丁や火を使わせることに内心冷や冷やしながらも、「料理男子も素敵!」とほほ笑ましい気持ちで、一緒にキッチンに立った時間を今も懐かしく思い出します。

ある時、チキンカレーを作ることになりました。息子にタマネギとジャガイモ、ニンジンを洗ってもらい、二人で協力してカット。鶏肉はあらかじめ角切りされたものを用意しました。

切った野菜と鶏肉を炒めようとしたその時、息子から「お肉は洗わなくていいの?」という思いもよらぬ質問を受けました。その時の私は深く考えず、「お肉は洗わなくて大丈夫だよ!」とさらっと流してしまったのですが……。

食品の安全情報の提供などを行うオーストラリアの慈善団体「食品安全情報協議会(Food Safety Information Council:FSIC)」が、「調理前に生の鶏肉を洗わないで!」と注意を呼びかけたそうです。生の鶏肉を洗うとキッチン全体にカンピロバクターやサルモネラ属菌などの細菌が広がり、食中毒のリスクが高まるといいます。

FSICの調査によると、調理前に不必要に鶏肉を洗う人が増えているそうです。2025年の調査では、丸鶏で51%、皮付き鶏肉で48%、皮なし鶏肉で44%だったとのこと。

鶏肉を洗わずに調理することが当たり前になっていた私は、鶏肉を洗う人の多さに大変驚きました。それと同時に、幼い息子が抱いた疑問は、私が思っていた以上に一般的なものだったと気づかされたのです。さらっと流さずに、「生の鶏肉を洗うとキッチン全体に細菌が広がるから、洗ってはいけない」と、理由も含めてきちんと説明するべきだったと反省したのでした。

師走を迎え、今年も残すところあとわずか。クリスマスや年末には、家庭で調理をする機会が増えるのではないでしょうか。身近に潜む食中毒の危険を避けるため、皆さんに正しい知識を持ってほしいと思います。私も、今は小学生になった息子に、鶏肉の安全な扱い方について、改めて話をするつもりです。【阿部あすか】

FDA:Outbreak Investigation of Infant Botulism: Infant Formula (November 2025)
CDC:Investigation Update: Infant Botulism Outbreak, November 2025
CDPH:California Alerted CDC of Multistate Infant Botulism Outbreak Linked to ByHeart Infant Formula
2025.11.12
米食品医薬品局(FDA)と米疾病対策センター(CDC)は11月8日、米国内で流通している乳児向け粉ミルクによって、10州で少なくとも13人の乳児がボツリヌス症による体調不良を起こした可能性があると発表しました。死者は報告されていません。

米国では8月中旬以降、生後2週~5カ月の乳児が米ByHeart社製の粉ミルクを飲んだ後に、ボツリヌス症の疑いで入院する事例が13件確認されています。因果関係は確定していませんが、米カリフォルニア州公衆衛生局(CDPH)は11月8日、予備的な検査で「ByHeart社の粉ミルクにボツリヌス毒素を産生する細菌の芽胞(がほう)が含まれていた可能性が示された」と公表しました。

ボツリヌス菌は酸素のある環境では増殖できない嫌気性菌で、固い殻を持った芽胞の状態で存在します。1歳未満の腸内環境はボツリヌス菌の増殖に適していると考えられており、芽胞を含む食品を乳児が食べてしまうと、腸内で芽胞が発芽して菌が増殖し、毒素を産生します。この毒素は神経伝達物質の放出を妨げ、乳児ボツリヌス症を引き起こします。

発症までに数週間かかることがあり、症状は便秘、食欲不振、筋力低下、まぶたの垂れ下がり、無表情、嚥下(えんげ)障害、呼吸障害などが見られます。

米国では、成人の血漿(けっしょう)から作られた点滴薬「抗ボツリヌスヒト免疫グロブリン(BabyBIG)」が治療に用いられます。日本では通常、対症療法が中心です。
在ブラジル日本大使館:メタノール中毒に関する注意喚起
BBC:Third person dies from methanol poisoning in Brazil
CNN:‘My brother was murdered by greed’: Inside Brazil’s methanol poisoning crisis
2025.10.15
南米ブラジルで8月下旬以降、最大都市サンパウロ州を中心に、有害な「メタノール」が混入した酒を飲んで死亡したり失明したりする事例が相次いで報告されているそうです。在ブラジル日本大使館が10月8日付で注意喚起を発信しており、米CNNや英BBCなどがこの問題を報じています。

在ブラジル日本大使館によると、10月6日時点で、ブラジル国内13州で217件のメタノール中毒が疑われる事例が報告されています。事例の約8割がサンパウロ州での報告だといいます。また、2人の死亡が確認されており、十数件の死亡例の関連を調査しているとのことです。

一方CNNは、10月8日時点で259件の疑い例と5件の死亡例が報告されているとしています。製造コストを削減するため、安価な工業用メタノールを使用した密造酒がブラジル国内に流通している可能性があるそうです。捜査当局は大規模な闇取引サプライチェーンを特定し、数十万枚の偽ラベルを押収したといいます。また、サンパウロ州内では複数の密造工場が閉鎖され、41人が逮捕されたと報じられています。

メタノールは主に工業用に使用されるアルコールです。メタノール中毒の初期症状は一般的なアルコール中毒に似ており、摂取から12~24時間以内に視覚異常や呼吸困難、意識障害などが生じます。解毒剤の投与などの適切な治療が行われない場合、失明や臓器不全を引き起こし、死に至ることもあります。

CNNの報道に、9月下旬に死亡したサンパウロ州の45歳の男性の事例が紹介されています。男性は食料品店で購入したウオッカを自宅で飲んだ翌日、視覚異常を訴えて医療機関に搬送されました。5時間後に中毒症状に陥っていることが判明しましたが、その時点ですでに複数の臓器の機能が停止しており、男性は翌日死亡したといいます。後に、男性が飲んだウオッカに工業用メタノールが混入していたことが確認されたとのことです。
CBS News:FDA finds little handwashing, dirty equipment at McDonald's supplier linked to E. coli outbreak
2025.01.15
米マクドナルドで昨年、腸管出血性大腸菌O157による集団食中毒が発生した問題で、タマネギを供給した食品会社の不十分な衛生管理が明らかになったようです。米CBS Newsが米食品医薬品局(FDA)の査察報告書を入手し、その内容を報じました。

CBS Newsによると、タマネギを供給したTaylor Farms社のコロラド州の施設内の設備からは、清掃作業終了後にもかかわらず、微生物が形成するバイオフィルムや大量の食品かすが見つかったそうです。また、食品加工を担当する作業員が衛生管理に必要な手順を踏んでいないことも明らかになりました。

作業員が手洗いシンクを使用している様子は見られず、時々、手袋の上から手の消毒剤を使っていただけだといいます。さらに、消毒液に漬けた道具の乾燥作業もきちんと行われておらず、濡れたままになっていたとのことです。

Taylor Farms社は、FDAが査察終了後に発行した指摘事項通知に基づき速やかに是正措置を講じたとの声明を出しているそうです。マクドナルドはFDAの査察前にこの施設からの仕入れを中止しているとのことです。

PROFILE

医療ニュース編集部
阿部あすか:翻訳家、ライター。東京外国語大学(英語専攻)を卒業後、大手法律事務所の米国人弁護士などの秘書、英会話学校の講師、専門紙の英語版編集者として勤務した。2019年から編集部の一員として医療ニュースの記事を執筆している。

藤野基文:記者・編集者。2004年から全国紙の記者として勤務し、主に医療・科学分野を担当した。18年にマイナビに移ってからは、グループ会社エクスメディオ社が運営するオンライン臨床支援サービス『ヒポクラ×マイナビ』の編集長を務め、現在は『マイナビRESIDENT』や『マイナビDOCTOR』などの各種コンテンツを制作している。

金子省吾:記者・編集者。2017年から地方紙に勤務し、主に社会部の記者として事件・事故や司法、市政、スポーツ、気象、地域活性化の取り組みなどを取材した。20年にマイナビに移って医療の取材をはじめ、グループ会社が運営するオンライン臨床支援サービス『ヒポクラ×マイナビ』編集部で医療ニュース作成に携わった。現在は『マイナビRESIDENT』や『マイナビDOCTOR』などの各種コンテンツを制作している。

許田葉月:記者・編集者。2021年からウェブメディアに勤務し、文学や音楽などのトレンド、社会課題などを取材した。23年にマイナビに転職して医療の取材を開始。『マイナビRESIDENT』や『マイナビDOCTOR』で各種コンテンツの制作を担当している。

足羽美香:記者・編集者。2025年4月に新卒でマイナビに入社。WEBマーケティングやWEBディレクション、コンテンツSEOなどの研修を受けた後、25年9月から医療ニュース編集部に所属し、『マイナビRESIDENT』『マイナビDOCTOR』『オーベン×ネーベン』の各種コンテンツの制作を担当している。