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2025.12.05

妊娠中のストレス、妊娠時季、親の運動習慣、母乳育児の長さが赤ちゃんに与える影響

赤ちゃんの乳歯が早く生えた? それ妊娠中のストレスの影響かも▽受精の季節が肥満リスクに影響か 寒い時期に宿った人が太りにくい理由▽父親がスポーツマンだと生まれる子の持久力と代謝機能が向上▽母乳育児が長いと学業成績が良い傾向に

世界の医学誌や科学誌に掲載された論文、大手メディアや医療メディアが配信している医療・医学ニュースの中から「見逃し厳禁」のものを選び、医療ニュース編集部の記者のコラムを付けて毎週お届けします。今回は10月30日~11月27日に『サクッと1分!世界の医療ニュース』に掲載した記事の中から「親が赤ちゃんに与える予想外の影響」についてのニュースを取り上げ、過去の関連記事3本を紹介します。なお、『What You Missed』は日本語版しか存在しません。【まとめ:医療ニュース編集部】
2025.11.21
妊娠中の強いストレスが、赤ちゃんの歯の生え方に影響するかもしれません。米国の研究チームが、妊娠後期にストレスホルモン「コルチゾール」が高い母親の子どもは、乳歯が早く生える傾向があることを明らかにしたと、学術誌Frontiers in Oral Healthに論文を発表しました。

研究では、社会経済的に恵まれない環境にある142人の妊婦を対象に、妊娠後期に唾液を採取し、コルチゾールを含む6種類のホルモンを測定しました。その後、生まれた子どもの歯の生え方を、生後1カ月から2歳まで定期的に観察しました。

その結果、生後6カ月時点で15.2%の子どもが少なくとも1本の乳歯を生えており、24カ月までには25%が20本すべての乳歯が生えていることが分かりました。さらに、コルチゾールの値が高い母親の子どもは、生後6カ月の時点で平均して約4本多く歯が生えていることが分かりました。

コルチゾールは、骨芽細胞(骨や歯を作る細胞)の働きを促したり、カルシウムやビタミンDの代謝に影響したりするため、歯の成長が早くなる可能性があります。

また、コルチゾールほどではないものの、性ホルモン(エストラジオール、プロゲステロン、テストステロン)や甲状腺ホルモン(トリヨードサイロニン)も歯の本数と弱い関連が見られました。

研究チームは「乳歯が早く生えることは、子どもの体の発達や健康に関する重要なサインになる可能性がある」と指摘。今後、各ホルモンがどのように影響するのか、そして乳歯の成長が子どもの全身的健康にどう関連するかをさらに調べる必要があるとしています。

記者から

「妊娠中の母親がストレスを強く感じていると赤ちゃんは歯が早く生える」。米国の研究チームが明らかにしたその研究結果に、強く興味を持ちました。数カ月前に、息子の乳歯が生え始めたばかりだからです。

前のめりで、この研究をまとめた記事を読み進めました。「へぇ~面白い研究だな」とのん気に読んでいたわけではありません。「何カ月で何本生えていると母親は“強い”ストレスを感じていたことになるんだ!?」という疑問が頭の中で渦を巻いていたのです。

妻は妊娠中、不安な気持ちも大きく、常にハッピーな気分で過ごしたわけではないでしょう。ただ、私としてはできるだけリラックスして過ごしてほしいという気持ちを持って一緒に生活していました。

果たして強いストレスを感じていたのか――。ほほ笑ましく眺めていた息子の可愛らしい乳歯が、その“答え合わせ”になるなんて。

気になる研究結果はというと……。

「妊娠後期にストレスホルモンであるコルチゾールの濃度が高かった母親の子どもは、生後6カ月までに歯が生えていることが多い。また、生後6カ月の時点で(最もコルチゾールの濃度の高かった女性たちの子どもは、最も低かった女性たちの子どもに比べて)平均4本多く歯が生えていた」

息子の乳歯の生え始めは6カ月後半で、2本同時でした。研究結果に照らし合わせると、妻は妊娠後期に強いストレスを感じていなかったということになるのでしょうか。だいぶ存在感が増してきた2本の歯を思い、独りうなずきました。

でも、実際のところどう感じていたのかは怖くて聞けません。【金子省吾】

Nature Metabolism:Pre-fertilization-origin preservation of brown fat-mediated energy expenditure in humans
2025.04.18
妊娠(受精)した季節が寒い時期だった人は、エネルギー消費量が高いことを発見したと、東北大学などの日本の研究チームが科学誌Nature Metabolismに論文を発表しました。科学メディアScience Alertがこの研究成果を紹介しています。

脂肪組織は、エネルギーを貯蔵する白色脂肪組織とエネルギーを消費して熱を作る褐色脂肪組織の2種類があります。これまでの研究で、褐色脂肪の活性が高い人ほど肥満になりにくく糖尿病などのリスクが低いことが分かっているといいます。

チームが、健康な若い成人男性356人を調査したところ、寒い時期(1月1日~4月15日または10月17日~12月31日)に受精して生まれた人は、暖かい時期(4月16日~10月16日)に受精して生まれた人に比べて褐色脂肪の活性が高いことが分かりました。なお、生まれた時の季節は褐色脂肪に影響を及ぼさなかったといいます。20〜78歳の健康な男女286名を対象とした別の調査でも、寒い時期の受精と褐色脂肪の活性化の有意な関連性が示されたそうです。

また、褐色脂肪の活性化にともないエネルギー消費量が増加し、肥満度の指標となるBMI(体格指数)や内臓脂肪量が低下することも分かりました。さらに、気象データの分析から、受精時期の外気温の低さと日内寒暖差の大きさが、褐色脂肪活性の主な決定要因であることも示されたといいます。
​​Cell Metabolism:Paternal exercise confers endurance capacity to offspring through sperm microRNAs
2025.10.23
運動は個人の健康だけでなく、生まれてくる子どもにも良い影響を与えることが明らかになったそうです。中国の研究チームが、父親が運動を通じて獲得した身体的メリットは、精子の「マイクロRNA(miRNA)」を介して子どもに受け継がれる可能性があると、科学誌Cell Metabolismに論文を発表しました。

マウスを用いた調査では、運動をした父親から生まれた子どもは、高い持久力や代謝機能を持つことが確認されました。また、エネルギー産生に関与する「ミトコンドリア」の機能を高めるタンパク質「PGC-1α」が筋肉に過剰発現したマウスの子どもは、PGC-1α遺伝子を受け継いでいなくても、持久力や代謝機能が向上することも示されました。

さらに、運動で鍛えた父マウスの精子から採取したmiRNAを通常の受精卵に注入したところ、運動によって誘発される細胞の働き(表現型)が、行動・代謝・分子レベルで子どもに受け継がれることも確認されました。

運動やPGC-1αの過剰発現によって精子のmiRNAが変化した結果、筋肉の持久力や代謝を調節するタンパク質「NCoR1」の発現が初期胚で抑制され、その情報が子どもに伝達される仕組みです。

研究チームは「父親の身体活動が子どもの健康促進に重要な役割を果たすことが科学的に裏付けられた。健康戦略として父親のライフスタイルの改善が重要だ」としています。
CNN:How long you breastfeed may impact your child’s test scores later, study shows
2023.06.13
母乳育児の期間が、子どもの学業成績に影響を及ぼす可能性があるようです。

英国の研究チームが、同国の乳児5000人を追跡調査しました。そして、英国で義務教育終了時に受ける全国統一試験「GCSE」の数学と英語の成績を比べたそうです。その結果、乳児期に母乳を1年以上飲んだ子どもは、母乳をまったく飲まなかった子どもに比べて高得点で合格する可能性が39%高かったといいます。

また、英語で不合格になる可能性は25%低かったとのとこと。CNNの記事です。

PROFILE

医療ニュース編集部
金子省吾:記者・編集者。2017年から地方紙に勤務し、主に社会部の記者として事件・事故や司法、市政、スポーツ、気象、地域活性化の取り組みなどを取材した。20年にマイナビに移って医療の取材をはじめ、グループ会社が運営するオンライン臨床支援サービス『ヒポクラ×マイナビ』編集部で医療ニュース作成に携わった。現在は『マイナビRESIDENT』や『マイナビDOCTOR』などの各種コンテンツを制作している。

藤野基文:記者・編集者。2004年から全国紙の記者として勤務し、主に医療・科学分野を担当した。18年にマイナビに移ってからは、グループ会社エクスメディオ社が運営するオンライン臨床支援サービス『ヒポクラ×マイナビ』の編集長を務め、現在は『マイナビRESIDENT』や『マイナビDOCTOR』などの各種コンテンツを制作している。

許田葉月:記者・編集者。2021年からウェブメディアに勤務し、文学や音楽などのトレンド、社会課題などを取材した。23年にマイナビに転職して医療の取材を開始。『マイナビRESIDENT』や『マイナビDOCTOR』で各種コンテンツの制作を担当している。

足羽美香:記者・編集者。2025年4月に新卒でマイナビに入社。WEBマーケティングやWEBディレクション、コンテンツSEOなどの研修を受けた後、25年9月から医療ニュース編集部に所属し、『マイナビRESIDENT』『マイナビDOCTOR』『オーベン×ネーベン』の各種コンテンツの制作を担当している。

阿部あすか:翻訳家、ライター。東京外国語大学(英語専攻)を卒業後、大手法律事務所の米国人弁護士などの秘書、英会話学校の講師、専門紙の英語版編集者として勤務した。2019年から編集部の一員として医療ニュースの記事を執筆している。