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2025.11.28

紙巻き、電子、加熱式――たばこの健康リスクと世界の喫煙規制の動向

2007年以降生まれは「一生」喫煙禁止に/モルディブ▽「電子たばこなら大丈夫」は大間違い? 血管機能低下と酸素不足は紙巻き以上▽意外と知らない「喫煙」が肺がんを招くメカニズム▽親の喫煙が子どもに影響か 女性の関節リウマチリスクが75%増加

世界の医学誌や科学誌に掲載された論文、大手メディアや医療メディアが配信している医療・医学ニュースの中から「見逃し厳禁」のものを選び、医療ニュース編集部の記者のコラムを付けて毎週お届けします。今回は10月23日~11月20日に『サクッと1分!世界の医療ニュース』に掲載した記事の中から「喫煙が健康に及ぼす影響」についてのニュースを取り上げ、過去の関連記事3本を紹介します。なお、『What You Missed』は日本語版しか存在しません。【まとめ:医療ニュース編集部】
2025.11.06
インド洋の島国モルディブで11月1日、2007年1月1日以降に生まれた人の喫煙を禁止する法律が施行されました。特定の世代を対象として、たばこの禁止に踏み切った国は世界で初めてとのことです。米NBC NewsやCNN、英BBCなどが報じています。

報道によると、対象となる人は喫煙だけでなく、たばこ製品の売買も禁止されます。今回の措置は紙巻きたばこに限らず、あらゆる形態のたばこ製品に適用され、小売業者は販売前に年齢確認を行う必要があります。この法律は、モルディブを訪れる観光客にも適用されるとのことです。

モルディブではすでに、全世代に対し、加熱式たばこや電子たばこを全面的に禁止する法律が施行されています。WHO(世界保健機関)によると、たばこは世界中で年間約700万人の死因となっており、たばこのまん延は公衆衛生上の最大の脅威の一つと位置付けられています。

また、WHOの調査によると、21年時点でモルディブの15~69歳の約4分の1喫煙しており、13~15歳の半数近くが何らかの形でたばこを消費していることが明らかになっています。

ニュージーランドでは、09年1月1日以降に生まれた人に対してたばこの販売を禁止する法案が22年に可決されました。しかし施行前の23年、新政権がこの法律を財源確保などを理由に撤回し、公衆衛生の専門家から批判が集まりました。英国でも現在、同様の法案が審議されています。

記者から

大学時代に、軽音楽サークルに所属していました。その時に感じていたのが、バンドマン(女性を含む)の喫煙率の高さです。サークル内だけでなく、バンド活動をしている人はプロアマ問わず、喫煙者が多い印象があります。

バンドマンの喫煙の習慣の一端を担うのは「憧れ」でしょう。サークル仲間には「(好きなバンドの)〇〇さんと同じ銘柄を吸いたくてたばこを吸うようになった」という人がいました。有名な「バンド」のメンバーには、国内外問わず、その人を語る上でたばこが欠かせないような愛煙家が多く、彼らに影響を受けてたばこを吸っている人が多いように思います。

そうして、「たばこ」と「バンド」はセットでイメージが受け継がれ、いつの時代もどこの国でも、バンドマンは慣習的に喫煙をするのではないでしょうか。バンドマンの世界で、喫煙は習慣を超えて文化になっていると思います。

しかし、国内では喫煙に関して、2020年4月の改正健康増進法の全面施行に代表されるように、規制が強くなっています。海外でもつい先日、かなり厳格な喫煙の制限に踏み切った国がありました。インド洋の島国モルディブはで11月1日に、2007年1月1日以降に生まれた人の喫煙、たばこ製品の売買を禁止する法律が施行されました。特定の世代を対象にたばこを禁止する国は世界で初めてとのことです。

このことを報道する記事を読みながら、2年前にこの世を去った日本のロックスターのことを考えていました。彼はヘビースモーカーで知られており、死因は食道がんでした。国立がん研究センターによれば、食道がんの主な原因は喫煙や飲酒だそうです。彼の死も喫煙が原因だったのでしょうか。喫煙は確実に健康を害するということを改めて実感しました。

では、加熱式たばこや電子たばこはどうなのでしょう。私の周りには、それらの方が「健康的だから」と言って、紙巻きたばこから乗り換える友人がいます。厚生労働省によると、加熱式たばこに関しては、販売開始からの年月の浅さから、長期使用に伴う健康への影響が明らかになっていないため、注意が必要だといいます。モルディブでは、紙たばこに限らず、加熱式たばこや電子たばこも規制の対象になっています。

世界的に見ても、明確に喫煙は「害悪」として認識されています。WHO(世界保健機関)は「たばこは世界中で年間約700万人の死因となっており、たばこのまん延は公衆衛生上の最大の脅威の一つ」と位置付けています。今後はより一層、「禁煙」が世界のスタンダードになっていくでしょう。

一方で、たばこは芸術やエンターテインメントの世界では大切なアイテムだとも思うのです。多くの映画や小説、曲の歌詞やミュージックビデオなどで、たばこはその世界観を構成する重要な要素を担ってきました。それが電子たばこに置き換わったり、全く登場しなくなったりすることはないような気がします。バンドマンの「喫煙文化」にも同様のことが言えると思います。

ふと思い立って、モルディブ出身のバンドを調べてみました。あるバンドのミュージックビデオに、やはりたばこが写っていました。たばこを禁止されたモルディブの若きバンドマンたちが、どんな文化を新たに築いていくのか、気になるところです。【足羽美香】

米CNN:Vaping immediately affects vascular health and oxygen levels, study shows, even without nicotine
2024.11.28
「電子たばこ」は血管の働きに即座に悪影響を及ぼす可能性があるそうです。米国の研究チームがイリノイ州シカゴで開かれた北米放射線学会で研究成果を発表し、米CNNが報じました。

電子たばこは液体(リキッド)を加熱させることで発生する蒸気(ベイパー)を楽しむ製品です。研究チームは、紙巻きたばこか電子たばこを吸う21~49歳の31人を対象に、たばこを吸う前後の血管の様子をMRIで調査し、たばこ類を吸わない10人のデータと比較したそうです。その結果、たばこ類を吸うたびに、下半身全体に酸素を含んだ血液を供給する大腿(だいたい)動脈の安静時の血流速度が低下することが分かったといいます。

また、血管の拡張・収縮などの血管機能は、非喫煙者や紙巻きたばこを吸う人に比べて電子たばこを吸う人の方が低下したそうです。最も血管機能を低下させるのはニコチン入りの電子たばこで、次にニコチンなしの電子たばこだったとのこと。さらに、ニコチンの有無にかかわらず、電子たばこを吸った人は酸素飽和度が低下することも明らかになったといいます。
Medical Xpress:Study shows that smoking 'stops' cancer-fighting proteins, causing cancer and making it harder to treat​​
2023.11.06
喫煙が肺がんを引き起こすメカニズムの一端が明らかになったようです。カナダの研究チームが、1万2000以上のがんゲノムを分析した結果です。

喫煙によって、特定のタンパク質の産生を止めるよう指示を出す「ストップゲイン変異」が起きてしまう可能性があるのだそうです。異常細胞(がん)の成長は、がん抑制遺伝子が作るタンパク質によって阻害されるといいます。

しかし、喫煙はがん抑制遺伝子でストップゲイン変異を引き起こしてしまい、がんが発生しやすくなるとのことです。

Medical Xpressの記事です。
Medical Xpress:Smoking exposure during childhood may increase risk of rheumatoid arthritis
2021.09.18
親の喫煙が子どもに与える悪影響が、また一つ明らかになりました。

子ども時代に親が喫煙していた女性は、成人後に血清陽性の関節リウマチ(RA)を発症するリスクが高くなるそうです。米国の研究チームが35~52歳の女性90,923人を中央値で27.7年間追跡。

子ども時代に親が喫煙者だった人は血清陽性のRA発症リスクが75%高かったといいます。また、後に本人が喫煙者になるとこのリスクはさらに上昇することも分かったそうです。

Medical Xpressの記事です。

PROFILE

医療ニュース編集部

足羽美香:記者・編集者。2025年4月に新卒でマイナビに入社。WEBマーケティングやWEBディレクション、コンテンツSEOなどの研修を受けた後、25年9月から医療ニュース編集部に所属し、『マイナビRESIDENT』『マイナビDOCTOR』『オーベン×ネーベン』の各種コンテンツの制作を担当している。

藤野基文:記者・編集者。2004年から全国紙の記者として勤務し、主に医療・科学分野を担当した。18年にマイナビに移ってからは、グループ会社エクスメディオ社が運営するオンライン臨床支援サービス『ヒポクラ×マイナビ』の編集長を務め、現在は『マイナビRESIDENT』や『マイナビDOCTOR』などの各種コンテンツを制作している。

金子省吾:記者・編集者。2017年から地方紙に勤務し、主に社会部の記者として事件・事故や司法、市政、スポーツ、気象、地域活性化の取り組みなどを取材した。20年にマイナビに移って医療の取材をはじめ、グループ会社が運営するオンライン臨床支援サービス『ヒポクラ×マイナビ』編集部で医療ニュース作成に携わった。現在は『マイナビRESIDENT』や『マイナビDOCTOR』などの各種コンテンツを制作している。

許田葉月:記者・編集者。2021年からウェブメディアに勤務し、文学や音楽などのトレンド、社会課題などを取材した。23年にマイナビに転職して医療の取材を開始。『マイナビRESIDENT』や『マイナビDOCTOR』で各種コンテンツの制作を担当している。

阿部あすか:翻訳家、ライター。東京外国語大学(英語専攻)を卒業後、大手法律事務所の米国人弁護士などの秘書、英会話学校の講師、専門紙の英語版編集者として勤務した。2019年から編集部の一員として医療ニュースの記事を執筆している。