2025.11.28
2007年以降生まれは「一生」喫煙禁止に/モルディブ▽「電子たばこなら大丈夫」は大間違い? 血管機能低下と酸素不足は紙巻き以上▽意外と知らない「喫煙」が肺がんを招くメカニズム▽親の喫煙が子どもに影響か 女性の関節リウマチリスクが75%増加
大学時代に、軽音楽サークルに所属していました。その時に感じていたのが、バンドマン(女性を含む)の喫煙率の高さです。サークル内だけでなく、バンド活動をしている人はプロアマ問わず、喫煙者が多い印象があります。
バンドマンの喫煙の習慣の一端を担うのは「憧れ」でしょう。サークル仲間には「(好きなバンドの)〇〇さんと同じ銘柄を吸いたくてたばこを吸うようになった」という人がいました。有名な「バンド」のメンバーには、国内外問わず、その人を語る上でたばこが欠かせないような愛煙家が多く、彼らに影響を受けてたばこを吸っている人が多いように思います。
そうして、「たばこ」と「バンド」はセットでイメージが受け継がれ、いつの時代もどこの国でも、バンドマンは慣習的に喫煙をするのではないでしょうか。バンドマンの世界で、喫煙は習慣を超えて文化になっていると思います。
しかし、国内では喫煙に関して、2020年4月の改正健康増進法の全面施行に代表されるように、規制が強くなっています。海外でもつい先日、かなり厳格な喫煙の制限に踏み切った国がありました。インド洋の島国モルディブはで11月1日に、2007年1月1日以降に生まれた人の喫煙、たばこ製品の売買を禁止する法律が施行されました。特定の世代を対象にたばこを禁止する国は世界で初めてとのことです。
このことを報道する記事を読みながら、2年前にこの世を去った日本のロックスターのことを考えていました。彼はヘビースモーカーで知られており、死因は食道がんでした。国立がん研究センターによれば、食道がんの主な原因は喫煙や飲酒だそうです。彼の死も喫煙が原因だったのでしょうか。喫煙は確実に健康を害するということを改めて実感しました。
では、加熱式たばこや電子たばこはどうなのでしょう。私の周りには、それらの方が「健康的だから」と言って、紙巻きたばこから乗り換える友人がいます。厚生労働省によると、加熱式たばこに関しては、販売開始からの年月の浅さから、長期使用に伴う健康への影響が明らかになっていないため、注意が必要だといいます。モルディブでは、紙たばこに限らず、加熱式たばこや電子たばこも規制の対象になっています。
世界的に見ても、明確に喫煙は「害悪」として認識されています。WHO(世界保健機関)は「たばこは世界中で年間約700万人の死因となっており、たばこのまん延は公衆衛生上の最大の脅威の一つ」と位置付けています。今後はより一層、「禁煙」が世界のスタンダードになっていくでしょう。
一方で、たばこは芸術やエンターテインメントの世界では大切なアイテムだとも思うのです。多くの映画や小説、曲の歌詞やミュージックビデオなどで、たばこはその世界観を構成する重要な要素を担ってきました。それが電子たばこに置き換わったり、全く登場しなくなったりすることはないような気がします。バンドマンの「喫煙文化」にも同様のことが言えると思います。
ふと思い立って、モルディブ出身のバンドを調べてみました。あるバンドのミュージックビデオに、やはりたばこが写っていました。たばこを禁止されたモルディブの若きバンドマンたちが、どんな文化を新たに築いていくのか、気になるところです。【足羽美香】