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2025.11.21

どうか、重い腰を上げて歯科へ…! 口腔ケアが守るのは歯の健康のみならず

口腔ケアが脳卒中予防になる可能性 歯周病・虫歯が疾患リスクに▽歯磨きを怠ると頭頚部がんのリスクが上昇?▽口腔内の常在菌「緑色レンサ球菌」が心臓発作に関係か▽大腸がん患者の便から多く検出された口腔細菌とは

世界の医学誌や科学誌に掲載された論文、大手メディアや医療メディアが配信している医療・医学ニュースの中から「見逃し厳禁」のものを選び、医療ニュース編集部の記者のコラムを付けて毎週お届けします。今回は10月16日~11月13日に『サクッと1分!世界の医療ニュース』に掲載した記事の中から「口腔内環境と健康」についてのニュースを取り上げ、過去の関連記事3本を紹介します。なお、『What You Missed』は日本語版しか存在しません。【まとめ:医療ニュース編集部】
2025.11.07
口の中の健康を保つことで、脳卒中のリスクを軽減できる可能性があるそうです。米国の研究チームが米国神経学会の医学誌Neurology Open Accessに研究成果を発表しました。

研究チームは、脳卒中の既往歴がない平均年齢63歳の成人5986人を対象に歯科検診を実施し、その後20年間にわたり追跡調査を行いました。その結果、脳の血管が閉塞して起こる虚血性脳卒中の発症率は、口腔内が健康なグループ(1640人)で4.1%、歯周病のみを持つグループ(3151人)で6.9%、歯周病と虫歯の両方を持つグループ(1195人)は10.0%でした。

年齢、体格指数(BMI)、喫煙状況などの要因を調整した結果、歯周病と虫歯の両方を持つグループは、口腔内が健康な群に比べて虚血性脳卒中を発症するリスクが86%高く、主要な心血管イベント(虚血性脳卒中、心筋梗塞<こうそく>、致死性冠動脈疾患)を発症するリスクも36%高くなることが明らかになりました。また、歯周病のみを持つグループは、虚血性脳卒中のリスクが44%上昇することが分かりました。

さらに、定期的に歯科を受診していると回答した人は、そうでない人に比べて、歯周病と虫歯の両方を持つ可能性が81%、歯周病のみを持つ可能性が29%低いことも判明しました。

研究チームは、「口腔ケアが脳卒中予防の一環として重要である可能性が示された」とし、歯と歯茎の健康が脳の健康にも影響を与える可能性があることを強調しています。

記者から

数年前、食事中に歯の被せ物が取れたため、慌てて歯科を受診しました。何年も検診に行っていなかったので「虫歯がたくさんできていて怒られるかも」とひやひやしながら診療台に……。

しかし、特に虫歯も見つからず、治療はスムーズに進み、ついでに歯のクリーニングまでしてもらえました。単に歯の状態が改善されただけでなく、朝起きてからの口の中の不快感が消え、とても気分良く過ごせるようになりました。

その状態を維持しようと4~6カ月に1回、定期検診に通うようになりました。口腔内の健康状態のチェックと歯垢(しこう)の除去だけなので気軽に通うことができます。

なんとその歯科検診は単なる口腔ケアにとどまらず、脳卒中や心臓疾患を予防するためにも重要なことが分かったそうです。米国の研究チームの発表によると、歯周病と虫歯の両方を持っていると、脳卒中や心血管イベントのリスクが跳ね上がり、歯周病を持っているだけでも、虚血性脳卒中のリスクが44%上昇するといいます。

また、定期的に歯科を受診している人は、そうでない人に比べて、歯周病と虫歯の両方を持つ可能性が81%、歯周病のみを持つ可能性が29%低いことも判明しています。

国内においても、日本臨床歯周病学会が、心臓疾患や脳血管疾患や、早産・低体重児出産の予防のための口腔ケアを呼びかけています。

さて、「歯科検診は気軽」と書きましたが、白状します。実はしばらく行けていません。ある日突然、かかりつけの歯科からはがきが届き、「次回の定期検診のお知らせかな?」と裏返すと、閉院のお知らせだったのです。それ以降、歯科への足は遠のき……。しかし、口腔ケアを怠って脳卒中や心臓疾患のリスクが高まるのは怖いので、改めて通い始めようと決心しました。

歯科へ行くのって腰が重いですよね。でも、“かかりつけができてしまえば”気軽に通えることは「実証済み」です。皆さんもこの機会にぜひ!【許田葉月】

JAMA Oncology:Oral Microbiome and Subsequent Risk of Head and Neck Squamous Cell Cancer
2024.10.15
歯磨きで口の中を清潔に保つことで、歯周病だけでなく「頭頸(けい)部扁平上皮がん(HNSCC)」の発症リスクも抑制できる可能性があるそうです。米国の研究チームが、医学誌JAMA Oncologyに研究成果を発表しました。

チームは、健康な男女15万9840人を10~15年にわたり追跡調査しました。このうち、HNSCCを発症した236人と、対照群として無作為に選んだHNSCCではない485人の唾液のサンプルを比較しました。その結果、数百種類ある一般的な口腔内細菌のうち13種類がHNSCC発症リスクの上昇や低下に関連することが明らかになったそうです。

総合すると、こうした細菌はHNSCC発症リスクを30%高める可能性があるといいます。さらに、これらの細菌に9種類の歯周病菌を加えて、合計22種類の細菌に着目したところ、HNSCCリスクを50%上昇させることが明らかになったそうです。

また、チームは口腔内の真菌についても調査を行っています。真菌とHNSCCリスクとの関連性は認められないことが分かったとのことです。
Journal of the American Heart Association:Viridans Streptococcal Biofilm Evades Immune Detection and Contributes to Inflammation and Rupture of Atherosclerotic Plaques​​
2025.10.08
口腔内に通常存在する細菌が、心臓発作の引き金となる可能性があるそうです。フィンランドの研究チームが、医学誌Journal of the American Heart Associationに論文を発表しました。

研究では、心臓発作の主な原因の一つである「アテローム性動脈硬化症」に焦点を当てました。この疾患は、コレステロールなどが動脈壁に蓄積して「アテローム」ができ、進行して「プラーク」が形成されることで血流が阻害されるために発症します。チームは、冠動脈疾患などが原因で突然死した患者121人と、動脈手術を受けた患者96人から採取した動脈内のプラークや手術検体に含まれる遺伝物質を解析しました。

その結果、口腔内に常在する「緑色レンサ球菌」が、突然死患者の42.1%、手術を受けた患者の42.9%から検出されました。この細菌の存在は、重度のアテローム性動脈硬化症、冠動脈性心疾患による死亡、心筋梗塞(こうそく)による死亡と強く相関していることが確認されました。

さらに、緑色レンサ球菌はバイオフィルム(細菌が集まって自らを保護する膜)の形態で、主にアテロームの中心部にコロニーを形成し、免疫系による検知を回避することも分かりました。

感染や偏った食生活などのストレスが加わると、この細菌バイオフィルムが炎症を引き起こし、プラークが破裂することで心臓発作の引き金になる可能性があるとのことです。
Medical Xpress:Bacteria subtype linked to growth in up to 50% of human colorectal cancers, researchers report
2024.03.23
口の中に常在する細菌「フソバクテリウム・ヌクレアタム」の特定のサブタイプが、大腸がんの進行を促進することが分かったそうです。

米国の研究チームが、大腸がん患者200人の腫瘍を分析したところ、約半数でサブタイプの「FnaC2」が増殖していることを発見。FnaC2は口から胃を通過して腸に移動し、そこで増殖する特異な形質を持つことも明らかになったそうです。

また、腫瘍と健康な組織の比較から、FnaC2が大腸がんの増殖に関与することも示されたとのこと。大腸がん患者は、健康な人に比べて便からFnaC2が多く検出されたといいます。Medical Xpressの記事です。

PROFILE

医療ニュース編集部

許田葉月:記者・編集者。2021年からウェブメディアに勤務し、文学や音楽などのトレンド、社会課題などを取材した。23年にマイナビに転職して医療の取材を開始。『マイナビRESIDENT』や『マイナビDOCTOR』で各種コンテンツの制作を担当している。

阿部あすか:翻訳家、ライター。東京外国語大学(英語専攻)を卒業後、大手法律事務所の米国人弁護士などの秘書、英会話学校の講師、専門紙の英語版編集者として勤務した。2019年から編集部の一員として医療ニュースの記事を執筆している。

藤野基文:記者・編集者。2004年から全国紙の記者として勤務し、主に医療・科学分野を担当した。18年にマイナビに移ってからは、グループ会社エクスメディオ社が運営するオンライン臨床支援サービス『ヒポクラ×マイナビ』の編集長を務め、現在は『マイナビRESIDENT』や『マイナビDOCTOR』などの各種コンテンツを制作している。

金子省吾:記者・編集者。2017年から地方紙に勤務し、主に社会部の記者として事件・事故や司法、市政、スポーツ、気象、地域活性化の取り組みなどを取材した。20年にマイナビに移って医療の取材をはじめ、グループ会社が運営するオンライン臨床支援サービス『ヒポクラ×マイナビ』編集部で医療ニュース作成に携わった。現在は『マイナビRESIDENT』や『マイナビDOCTOR』などの各種コンテンツを制作している。

足羽美香:記者・編集者。2025年4月に新卒でマイナビに入社。WEBマーケティングやWEBディレクション、コンテンツSEOなどの研修を受けた後、25年9月から医療ニュース編集部に所属し、『マイナビRESIDENT』『マイナビDOCTOR』『オーベン×ネーベン』の各種コンテンツの制作を担当している。