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2025.11.07

日本が渡航警告の対象に! 英外務省がメタノール中毒のリスク国に8カ国を追加

ブラジルで密造酒が原因の大規模なメタノール中毒被害▽2024年に発生した飲食物による健康被害:ラオスでメタノール中毒、6人の旅行者が死亡/大手ファストフード店で腸管出血性大腸菌O157の集団食中毒/ベトナムの伝統的なサンドイッチ「バインミー」による食中毒

世界の医学誌や科学誌に掲載された論文、大手メディアや医療メディアが配信している医療・医学ニュースの中から「見逃し厳禁」のものを選び、医療ニュース編集部の記者のコラムを付けて毎週お届けします。今回は10月2日~10月30日に『サクッと1分!世界の医療ニュース』に掲載した記事の中から「飲食物による健康被害」についてのニュースを取り上げ、過去の関連記事3本を紹介します。なお、『What You Missed』は日本語版しか存在しません。【まとめ:医療ニュース編集部】
2025-10-15
南米ブラジルで8月下旬以降、最大都市サンパウロ州を中心に、有害な「メタノール」が混入した酒を飲んで死亡したり失明したりする事例が相次いで報告されているそうです。在ブラジル日本大使館が10月8日付で注意喚起を発信しており、米CNNや英BBCなどがこの問題を報じています。

在ブラジル日本大使館によると、10月6日時点で、ブラジル国内13州で217件のメタノール中毒が疑われる事例が報告されています。事例の約8割がサンパウロ州での報告だといいます。また、2人の死亡が確認されており、十数件の死亡例の関連を調査しているとのことです。

一方CNNは、10月8日時点で259件の疑い例と5件の死亡例が報告されているとしています。製造コストを削減するため、安価な工業用メタノールを使用した密造酒がブラジル国内に流通している可能性があるそうです。捜査当局は大規模な闇取引サプライチェーンを特定し、数十万枚の偽ラベルを押収したといいます。また、サンパウロ州内では複数の密造工場が閉鎖され、41人が逮捕されたと報じられています。

メタノールは主に工業用に使用されるアルコールです。メタノール中毒の初期症状は一般的なアルコール中毒に似ており、摂取から12~24時間以内に視覚異常や呼吸困難、意識障害などが生じます。解毒剤の投与などの適切な治療が行われない場合、失明や臓器不全を引き起こし、死に至ることもあります。

CNNの報道に、9月下旬に死亡したサンパウロ州の45歳の男性の事例が紹介されています。男性は食料品店で購入したウオッカを自宅で飲んだ翌日、視覚異常を訴えて医療機関に搬送されました。5時間後に中毒症状に陥っていることが判明しましたが、その時点ですでに複数の臓器の機能が停止しており、男性は翌日死亡したといいます。後に、男性が飲んだウオッカに工業用メタノールが混入していたことが確認されたとのことです。

記者から

バーやホテルで出されたお酒を飲んでメタノール中毒になる――。「そんなことは海外で起こることで、日本にいる限り関係ない」と思っていませんか? でも、外国からはそうは見られていないようです。

2025年10月21日、英外務省はメタノール中毒のリスクに関する渡航警告の対象国を新たに8カ国追加しました。驚くべきことに、その中に日本が含まれているのです。

英外務省はこれまで、英国人旅行者がメタノール中毒にかかった事例のある8カ国(カンボジア、インドネシア、トルコ、コスタリカ、タイ、ベトナム、ラオス、フィジー)を警告対象としていました。今回新たに追加されたのは、日本、エクアドル、ケニア、メキシコ、ナイジェリア、ペルー、ウガンダ、ロシアの8カ国です(ちなみに、ブラジルは含まれていません)。

この情報は、英BBCの報道で知りました。英外務省のホームページも確認しましたが、なぜそれらの国々が対象になったのか、理由は明記されていません。

BBCの記事には、最近日本を訪れた英国人女性の体験談が紹介されています。彼女はバーで「一緒に無料のショットを飲もう。テキーラもウォッカもあるよ」と誘われたそうです。その場には他にも多くの旅行者がいて、誰もボトルの出所を気にせずにショットを飲んでいたとのことです。

仮にボトルのラベルを確認して原料や製造元が分かっても、中身が安全とは限りません。理由がはっきりしない以上、英外務省の対応には納得しづらい部分もあります。ただ私自身、日本にいると「どんな店で出されたお酒でも安全」と思い込んでいたのは事実です。

「安全ボケ」で痛い目を見ることが絶対にないとは言い切れません。お酒を飲む際は、信頼できる店を選ぶ、見知らぬ人からの勧めには慎重になるなど、最低限の注意は必要だと改めて感じました。【藤野基文】

NPR:Alcohol poisoning deaths in Laos renew concerns about methanol. Here's what to know
AP通信:Second Australian teen dies in tainted alcohol case in Laos that has killed 6 tourists
2024-11-26
バックパッカーに人気のラオス中部の観光地バンビエンで、メタノール中毒の疑いで外国人観光客6人が相次いで死亡したそうです。複数の海外メディアが報じています。米公共ラジオNPRやAP通信によると、死亡したのはオーストラリア人2人、デンマーク人2人、英国人1人、米国人1人で、被害者の多くは19~20歳の若者です。メタノールの混入した飲み物を飲んで、中毒を起こしたとみられています。

メタノールは工業用に使われるアルコールの一種です。税金がかかるエタノール比べてコストが低いため、安価なアルコール飲料の材料として違法に使われることがあるそうです。観光客は知らないうちにこうした密造酒を口にする可能性があり、米国務省はラオスへの観光客に対し、認可を受けた酒屋やバーなどでのみ酒類を購入し、ラベルなどを調べて偽造されていないか調べるよう注意を呼びかけたといいます。

メタノールはわずか25ml摂取するだけで、適切な治療を受けないと死に至る可能性があるそうです。メタノール中毒の初期は典型的なアルコール中毒に似ていますが、12~24時間後には呼吸困難、腹痛、さらには昏睡などのより深刻な症状が現れるとのことです。
米疾病対策センター(CDC):E. coli Outbreak Linked to Onions Served at McDonald’s
2024-10-25
米疾病対策センター(CDC)は22日、米ファストフード大手マクドナルドが販売したハンバーガー「クォーターパウンダー」に関係する腸管出血性大腸菌O157で集団食中毒が発生したと発表しました。

西部コロラド州や中西部ネブラスカ州など10州で少なくとも49人が症状を訴え、子ども1人を含む10人が入院したといいます。コロラド州では高齢者1人が死亡しました。

CDCの聞き取り調査では、これまでのところ12人が発症前にクォーターパウンダーを食べたと答えているそうです。マクドナルドは、この商品に使われていた「スライスタマネギ」が原因で食中毒が起きた可能性があるとして、一部の州で関連商品の販売を見合わせています。

O157に感染すると、3~4日で高熱、胃けいれん、下痢、嘔吐などの症状が現れます。ほとんどの人は5~7日で回復しますが、中には溶血性尿毒症症候群(HUS)と呼ばれる重篤な腎障害に陥る患者もいるとのことです。
BBC:Hundreds ill after eating bánh mì in Vietnam
2024-05-09
ベトナム南部ドンナイ省で、伝統的なサンドイッチ「バインミー」を食べた560人が体調不良を訴えて病院に搬送されたそうです。このうち、6~7歳の男児2人を含む12人が重体だといいます。

患者は下痢や嘔吐、発熱、激しい腹痛といった症状があり、重体患者の血液からは食中毒を引き起こす大腸菌が検出されたとのことです。バインミーはフランス風のバゲットに冷たい肉やパテ、野菜を入れたものです。患者らは、省内のベーカリーで販売されていたバインミーを4月30日に食べた後に体調を崩したそうです。

当局は、このところの熱波でバインミーが腐った可能性があるとして、詳しい原因を調べています。BBCの記事です。

PROFILE

医療ニュース編集部

藤野基文:記者・編集者。2004年から全国紙の記者として勤務し、主に医療・科学分野を担当した。18年にマイナビに移ってからは、グループ会社エクスメディオ社が運営するオンライン臨床支援サービス『ヒポクラ×マイナビ』の編集長を務め、現在は『マイナビRESIDENT』や『マイナビDOCTOR』などの各種コンテンツを制作している。

金子省吾:記者・編集者。2017年から地方紙に勤務し、主に社会部の記者として事件・事故や司法、市政、スポーツ、気象、地域活性化の取り組みなどを取材した。20年にマイナビに移って医療の取材をはじめ、グループ会社が運営するオンライン臨床支援サービス『ヒポクラ×マイナビ』編集部で医療ニュース作成に携わった。現在は『マイナビRESIDENT』や『マイナビDOCTOR』などの各種コンテンツを制作している。

許田葉月:記者・編集者。2021年からウェブメディアに勤務し、文学や音楽などのトレンド、社会課題などを取材した。23年にマイナビに転職して医療の取材を開始。『マイナビRESIDENT』や『マイナビDOCTOR』で各種コンテンツの制作を担当している。

足羽美香:記者・編集者。2025年4月に新卒でマイナビに入社。WEBマーケティングやWEBディレクション、コンテンツSEOなどの研修を受けた後、25年9月から医療ニュース編集部に所属し、『マイナビRESIDENT』『マイナビDOCTOR』『オーベン×ネーベン』の各種コンテンツの制作を担当している。

阿部あすか:翻訳家、ライター。東京外国語大学(英語専攻)を卒業後、大手法律事務所の米国人弁護士などの秘書、英会話学校の講師、専門紙の英語版編集者として勤務した。2019年から編集部の一員として医療ニュースの記事を執筆している。