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2025.10.31

ちょっと待った! 「かわいい」だけじゃ犬は飼えない

予想以上に難しい犬との生活、英調査で実態判明▽不安、痛み、うつが改善 セラピー犬がER患者にもたらす効果▽精神科の介助犬を知っていますか?▽犬と飼い主、シンクロする心拍変動

世界の医学誌や科学誌に掲載された論文、大手メディアや医療メディアが配信している医療・医学ニュースの中から「見逃し厳禁」のものを選び、医療ニュース編集部の記者のコラムを付けて毎週お届けします。今回は9月24日~10月22日に『サクッと1分!世界の医療ニュース』に掲載した記事の中から「犬と人間のメンタルヘルス」についてのニュースを取り上げ、過去の関連記事3本を紹介します。なお、『What You Missed』は日本語版しか存在しません。【まとめ:医療ニュース編集部】
2025-10-01
精神的な効果を期待して犬を飼おうとすることには、慎重になった方がいいかもしれません。英国の研究チームが科学誌PLOS Oneに論文を発表しました。

チームは、子犬を飼っている英国家庭の成人382人と8~17歳の子ども216人から集めたデータを分析しました。その結果、犬を飼うことが、多くの親や子どもに喜びをもたらすことが明らかになりました。一方で、犬の世話を主に担っている成人飼育者の37.3%が、「犬との生活は予想以上に難しい」と感じていることも分かりました。

特に、初めて犬を飼った家庭では、子どもと犬の関わりに困難を抱える可能性が高く、犬の世話に関する役割分担も課題だといいます。一部の子どもたちは犬の気を引こうとする行動に不満を抱えており、逆にほぼ全ての子どもたちがかまれるリスクの高い過度な接触(抱きしめる、顔を近づける)をしていることが分かりました。

また、主要な成人飼育者の95%が女性で、多くの母親たちが犬の世話に関する責任を負担に感じていることも示されました。

チームは犬を飼うことを検討している家庭に対し、役割分担について子どもとよく話し合うことや、安全な接し方を学ぶことができる犬のしつけ教室への参加を推奨しています。

記者から

幼い頃、夏になると弟がカブトムシを育てていました。カブトムシ自体はもちろん、飼育に必要な餌、育成用の土などを購入するために、我が家では休日によくペットショップに出かけていました。

私は虫には興味がなく、同級生の家で飼われていたダックスフンドや、毛並みの美しい猫に憧れていたので、虫コーナーには立ち寄らず、いつも母の手を引いて動物コーナーへ向かっていました。ガラス越しに犬や猫を見つめながら、「うちでも飼いたい!」と何度もねだったことを、今でもよく覚えています。

しかし母は、「誰が毎日散歩するの。ウンチのお掃除は? やりたくないでしょ。最初は頑張ってもどうせすぐに飽きて、お母さんしか面倒見なくなるんだから。絶対イヤ」と、かたくなに反対しました。そのため、我が家では寿命の長い動物を飼うことはありませんでした。

当時の私は納得できず、何度も反論しては駄々をこねていました。でも、最近発表された研究結果を見て、母の判断は正しかったのだと痛感しました。

英国の研究チームによると、子犬を飼っている家庭のうち、主に世話をしている成人の37.3%が「犬との生活は予想以上に難しい」と感じているそうです。特に初めて犬を飼う家庭では、子どもとの関わり方や世話の分担が課題になるとのこと。また、主要な飼育者の95%が女性であるという点も示されています。

大人になった今でも、ペットを飼いたいという気持ちはあります。しかし、犬や猫を飼っている同僚の話を聞くたびに、その思いはすぐに現実に引き戻されます。

ある同僚は、ペットの体調不良などで早退する際、「ごめんね……」と申し訳なさそうに職場を後にします。自宅ではペットが快適に過ごせるよう、エアコンを24時間稼働させているそうです。動物病院の診療費については、「高くても、ためらう余地はないよね」と話していました。また、長期休暇があっても、「慣れない場所に預けるのはかわいそう」と、旅行を控えているとも言っています。

ペットとの暮らしには、毎日の世話だけでなく、時間と手間とお金、そして忍耐が必要です。一人暮らしの社会人である私に、それが果たしてできるでしょうか。……それは、無理な話です。【許田葉月】

Medical Xpress:Study finds dog therapy can reduce ER patients' pain and anxiety
2022-03-15
患者の痛みや不安を和らげるセラピー犬を知っていますか。このセラピー犬が、緊急救命室(ER)でも役に立つ可能性があるそうです。

カナダの研究チームが、セラピー犬を大学病院の救急部門に10分間滞在させ、患者への影響を対照群と比較。セラピー犬の介入を受けた患者の48%が、不安が軽減したと報告したそうです。

さらに「痛みが軽減した人が43%」「うつが軽減した人が46%」「健康状態が改善した人が41%」いたことも分かったといいます。Medical Xpressの記事です。
JAMA Network Open:Service Dogs for Veterans and Military Members With Posttraumatic Stress Disorder
2024-06-12
精神科の介助犬を知っていますか? 精神障害のある人に対し、不安を和らげる癒し行動を取るように訓練された犬です。米国の研究チームが、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を患う軍人や退役軍人にとって、QOL(生活の質)を改善する大きな助けになることを確認したそうです。

チームは、介助犬とのマッチングを希望するPTSD治療中の軍人経験者156人を調査。81人のマッチングが成立し、介助犬と共に3カ月間生活したところ、介助犬待ちの71人に比べてPTSDの症状が軽く、うつや不安の症状も少なくなることが分かったそうです。

また、PTSDと診断される確率も66%低くなることが明らかになったといいます。医学誌JAMA Network Openに発表した研究成果です。
Scientific Reports:Behavioral and emotional co-modulation during dog–owner interaction measured by heart rate variability and activity
2024-11-20
犬と飼い主の間に作られる愛着には、心拍の間隔の変化である「心拍変動」の同調が関連している可能性があるそうです。フィンランドの研究チームが科学誌Scientific Reportsに論文を発表しました。

心拍変動は自律神経系の状態を反映しており、変動が高いとリラックスした状態、低いとストレスを受けているなどの緊張状態を示します。チームは、犬と飼い主のペア30組を対象に調査を実施。犬は牧羊犬や狩猟犬など人間と協力することができる種類だったといいます。調査の結果、自由な休憩時間を過ごしている間に、飼い主の心拍変動の高まりが犬の心拍変動の高まりにつながることが分かったそうです。

これは、飼い主がリラックスしている時に、犬もリラックスした状態になることを示しています。遊びなどのタスクを実行している時ではなく、休息時に心拍変動の同調が確認されたことで、精神的な状態の同調を反映している可能性が示されました。

PROFILE

医療ニュース編集部

許田葉月:記者・編集者。2021年からウェブメディアに勤務し、文学や音楽などのトレンド、社会課題などを取材した。23年にマイナビに転職して医療の取材を開始。『マイナビRESIDENT』や『マイナビDOCTOR』で各種コンテンツの制作を担当している。

藤野基文:記者・編集者。2004年から全国紙の記者として勤務し、主に医療・科学分野を担当した。18年にマイナビに移ってからは、グループ会社エクスメディオ社が運営するオンライン臨床支援サービス『ヒポクラ×マイナビ』の編集長を務め、現在は『マイナビRESIDENT』や『マイナビDOCTOR』などの各種コンテンツを制作している。

金子省吾:記者・編集者。2017年から地方紙に勤務し、主に社会部の記者として事件・事故や司法、市政、スポーツ、気象、地域活性化の取り組みなどを取材した。20年にマイナビに移って医療の取材をはじめ、グループ会社が運営するオンライン臨床支援サービス『ヒポクラ×マイナビ』編集部で医療ニュース作成に携わった。現在は『マイナビRESIDENT』や『マイナビDOCTOR』などの各種コンテンツを制作している。

足羽美香:記者・編集者。2025年4月に新卒でマイナビに入社。WEBマーケティングやWEBディレクション、コンテンツSEOなどの研修を受けた後、25年9月から医療ニュース編集部に所属し、『マイナビRESIDENT』『マイナビDOCTOR』『オーベン×ネーベン』の各種コンテンツの制作を担当している。

阿部あすか:翻訳家、ライター。東京外国語大学(英語専攻)を卒業後、大手法律事務所の米国人弁護士などの秘書、英会話学校の講師、専門紙の英語版編集者として勤務した。2019年から編集部の一員として医療ニュースの記事を執筆している。