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2025.08.21

たかが「歩き」されど「歩き」 意識すれば病気の予防に効果大

1日7千歩が死亡・認知症・糖尿病・がんリスクを下げる▽「歩こう歩こう私は元気」ウォーキングがうつ病予防に!▽1日4千歩でも死亡リスク低下に効果あり▽速度、負荷、呼吸 「歩く」効果を最大化するための5つの秘訣

世界の医学誌や科学誌に掲載された論文、大手メディアや医療メディアが配信している医療・医学ニュースの中から「見逃し厳禁」のものを選び、医療ニュース編集部の記者のコラムを付けて毎週お届けします。今回は7月9日~8月6日に『サクッと1分!世界の医療ニュース』に掲載した記事の中から「ウオーキングと健康」についてのニュースを取り上げ、過去の関連記事3本を紹介します。なお、『What You Missed』は日本語版しか存在しません。【まとめ:医療ニュース編集部】
2025-07-25
たとえ少しの運動でも、何もしないよりははるかに体に良い――。オーストラリアの研究チームが、そんな研究成果を医学誌British Journal of Sports Medicineに発表しました。

チームは、身体活動と死亡率に関する85件の既存研究を分析しました。対象は世界中の800万人以上に及ぶといいます。

その結果、生涯を通じて一貫して身体活動レベルが高い人は、全死因死亡率が最大40%低下することが分かりました。また、身体活動レベルが低かった人が、後年になってから運動を始めた場合でも、死亡リスクは20~25%低下することも確認されました。さらに、運動を行う人は、心血管疾患による死亡率が30~40%抑制されたといいます。

WHO(世界保健機関)は、中強度の身体活動を週に2.5~5時間または高強度の身体活動を週に1.25~2.5時間行うことを推奨しています。しかし今回の研究では、このガイドラインを下回る運動量であっても、死亡率が低くなることが明らかになりました。

チームはこうした結果から、「定期的な運動の重要性が改めて示されるとともに、いくつになっても運動を始めるのに遅すぎることはない」と強調しています。

記者から

今年の初め、健康のために「1日1万歩歩くこと」を1年の目標に設定しました。

8月を迎え、スマートフォンの万歩計アプリを分析したところ、1万歩を超えたのは平均で週3回でした。昨年の平均が週2回だったので、進歩はしているものの、毎日目標を達成するには程遠い結果です。「特に最近は暑さに負けて、すぐに電車やタクシーに乗っていたからな……」と反省するとともに、1万歩は私にはハードルが高すぎると感じ、やる気を失ってしまいました。

ただ、つい先日、オーストラリアなどの研究チームが、「1日7千歩」でさまざまな健康リスクを下げることができるとの研究結果を発表したことを思い出しました。読み返してみると、歩くことによる健康上のメリットは、7千歩までは千歩ごとに増加するものの、7千歩を超えると効果はほぼ横ばいになったといいます。

「なるほど、7千歩で十分だな!」と思った私は、早速、万歩計アプリの目標値を7千歩に設定し直しました。すると、今年は平均で週5回目標を達成したことになり、毎日達成できた週も数回あることが分かったのです。1万歩は難しくても、7千歩なら毎日達成することも無理ではなさそうです。一気にやる気がみなぎってきました。

健康維持のための運動は、細く長く続けられることが何より大切だと感じています。プレッシャーになりすぎることなく、自分にとって程よく楽しめるものでないと、長続きは難しいのではないでしょうか。私も目標を1日7千歩に再設定し、気持ちを新たに、無理なく楽しく続けられるウォーキング生活を目指したいと思います。【阿部あすか】

British Journal of Sports Medicine:Associations of the ‘weekend warrior’ physical activity pattern with mild dementia: findings from the Mexico City Prospective Study
2024-11-08
忙しくて時間がない人は、週末だけでも運動をすると脳の健康を維持できるそうです。コロンビアなどの研究チームが、メキシコの首都メキシコシティに住む平均年齢51歳の成人1万33人を16年にわたって追跡して研究し、その成果を医学誌British Journal of Sports Medicineに発表しました。

チームは参加者を、週1~2回(30分以上)運動する人の群▽週3回以上運動する人の群▽週1~2回運動する人と週3回以上運動する人を混ぜた群▽全く運動をしない人の群――の4群に分けて調査。その結果、週1~2回運動する群は全く運動しない群に比べて、軽度認知症を発症するリスクが13%低いことが分かったといいます。また、週3回以上運動をする人、週1~2回運動する人と週3回以上運動する人を混ぜた群は、全く運動をしない群と比べてリスクが12%低かったといいます。<br><br>このことから、軽度認知症の発症抑制には、週1~2回の運動で十分である可能性が示されました。なお、男女間で結果に違いは生じなかったとのことです。
Frontiers in Psychology:Personality traits can predict which exercise intensities we enjoy most, and the magnitude of stress reduction experienced following a training program
2024-11-06
30分間の有酸素運動をたった1回行うだけで、2型糖尿病の予防に重要な糖代謝とインスリン感受性が改善するそうです。イタリアの研究チームが医学誌Journal of Endocrinological Investigationに研究成果を発表しました。

チームは、競技スポーツの経験がなく糖尿病ではない20~35歳の健康な32人を対象に調査を実施。参加者に30分間の軽いジョギングをしてもらい、その「1週間前」と「24時間後」にブドウ糖を含んだ液体を飲んで血糖値の変動を見る「経口ブドウ糖負荷試験」を実施したそうです。

その結果、運動後は、空腹時の血糖値の平均が82.8mg/dLから78.5mg/dLに、ブドウ糖を取った1時間後の血糖値の平均は122.8mg/dLから111.8mg/dLにそれぞれ低下したといいます。

ブドウ糖を取った1時間後のインスリン値の平均についても、57.4µUI/mlから43.5µUI/mlに下がったとのことです。さらに、インスリン感受性の指標(Matsuda indexとQUICKI index)やインスリン抵抗性の指標(HOMA-IR index)も改善したそうです。
Frontiers in Psychology:Personality traits can predict which exercise intensities we enjoy most, and the magnitude of stress reduction experienced following a training program
2025-07-15
運動を継続し、効果を得るためには、その運動を楽しめるかどうかがカギになります。イギリスの研究チームが、個人の性格が、「楽しさ」を感じる運動の種類に影響を与えることを明らかにしたと、科学誌Frontiers in Psychologyに論文を発表しました。

チームは、一般の参加者132人を対象に、サイクリングと筋力トレーニングを組み合わせた8週間の運動プログラムを行う群と、特別な運動をしない群に分けて調査を実施。運動の楽しさやストレスのレベル、性格の特性との関係について調査しました。

性格は、外向性、協調性、誠実性、神経症傾向、開放性の五つの特性で評価されました。

分析の結果、外向性が高い人は高強度の運動を好み、神経症傾向が強い人は、継続的な努力を必要とする運動や、心拍数の記録など他者の干渉を伴う活動を避ける傾向があることが分かりました。また、誠実性が高い人は全般的に体力に自信があり、身体活動量が多かったものの、運動を楽しむというよりは、健康に良いからという理由でプログラムを忠実に遂行していたといいます。

さらに、神経症傾向が強い人については、運動によってストレスレベルが有意に低下し、精神的健康にも良い影響があることが確認されました。

チームは、性格に合わせた運動を選択することで、より長く継続できる運動習慣が形成される可能性があるとしています。

PROFILE

医療ニュース編集部
藤野基文:記者・編集者。2004年から全国紙の記者として勤務し、主に医療・科学分野を担当した。18年にマイナビに移ってからは、グループ会社エクスメディオ社が運営するオンライン臨床支援サービス『ヒポクラ×マイナビ』の編集長を務め、現在は『マイナビRESIDENT』や『マイナビDOCTOR』などの各種コンテンツを制作している。

金子省吾:記者・編集者。2017年から地方紙に勤務し、主に社会部の記者として事件・事故や司法、市政、スポーツ、気象、地域活性化の取り組みなどを取材した。20年にマイナビに移って医療の取材をはじめ、グループ会社が運営するオンライン臨床支援サービス『ヒポクラ×マイナビ』編集部で医療ニュース作成に携わった。現在は『マイナビRESIDENT』や『マイナビDOCTOR』などの各種コンテンツを制作している。

許田葉月:記者・編集者。2021年からウェブメディアに勤務し、文学や音楽などのトレンド、社会課題などを取材した。23年にマイナビに転職して医療の取材を開始。『マイナビRESIDENT』や『マイナビDOCTOR』で各種コンテンツの制作を担当している。

阿部あすか:翻訳家、ライター。東京外国語大学(英語専攻)を卒業後、大手法律事務所の米国人弁護士などの秘書、英会話学校の講師、専門紙の英語版編集者として勤務した。2019年から編集部の一員として医療ニュースの記事を執筆している。