世界の医学誌や科学誌に掲載された論文、大手メディアや医療メディアが配信している医療・医学ニュースの中から「見逃し厳禁」のものを選び、医療ニュース編集部の記者のコラムを付けて毎週お届けします。今回は7月30日~8月27日にマイナビDOCTORの『
サクッと1分!世界の医療ニュース』に掲載した記事の中から「子どものメンタルヘルス」についてのニュースを取り上げ、過去の関連記事3本を紹介します。なお、『What You Missed』は日本語版しか存在しません。【まとめ:医療ニュース編集部】
2025-08-22
子どもに対する虐待を防ぐための取り組みは、身体的なものに焦点が当たりがちです。しかし、言葉による虐待の危険性にも目を向ける必要があるようです。
英国の研究チームが、1950年代以降に生まれたイングランドとウェールズの成人2万687人のデータを含む七つの研究を分析し、医学誌BMJ Openに成果を発表しました。
チームは、成人後の精神的幸福度が低下する可能性について、子どもの頃に身体的虐待も言葉による虐待も受けたことがない人と、虐待を受けた人を比較。その結果、身体的虐待を経験した人は52%、言葉による虐待を経験した人は64%、両方の虐待を経験した人は115%、それぞれリスクが高くなることが明らかになりました。
身体的虐待の発生率は、1950~79年に生まれた人が約20%だったのに対し、2000年以降に生まれた人では約10%に半減したそうです。一方で、言葉による虐待の発生率は、1950年より前に生まれた人が約12%で、2000年以降に生まれた人では約20%に上昇したといいます。
チームは、体罰を減らすための措置を取っても、暴言など別の形の虐待に置き換わってしまうと、身体的虐待と同様の長期的な悪影響が及ぶ可能性があると指摘しています。
ScienceDaily:Harsh discipline increases risk of children developing lasting mental health problems
2023-04-10
厳しいしつけは子どもの心の健康に悪影響を及ぼすようです。英国の研究チームが、アイルランドの子ども7507人を調査した結果を発表しました。
頻繁に大声で怒鳴る、罰として部屋に閉じ込める、親の気分次第で対応が変わるなどは「非友好的な」育児スタイルとされます。そういった育児を3歳時点で受けていた子どもは、精神的な不調に関する評価スコアが9歳まで上昇し続ける「高リスク群」に分類される可能性が1.5倍高かったといいます。
ScienceDailyの記事です。
EurekAlert!:Strict parenting may hard-wire depression risk into a child’s DNA
2022-10-26
厳しすぎるしつけが、子どもの遺伝子の働きを変えてしまう可能性があるようです。
ベルギーの研究チームが、平均14歳の男女44人を調査。21人が望ましいしつけを受け、23人は厳しすぎるしつけを受けていたそうです。
厳しいしつけを受けた子どもは、多くがうつ病の初期兆候を示したうえ、遺伝子の読み取り方を変化させる「DNAメチル化」が多く認められたとのこと。メチル化の増加は、うつ病リスクに関連することで知られているといいます。
EurekAlert!の記事です。
医療ニュース編集部
藤野基文:記者・編集者。2004年から全国紙の記者として勤務し、主に医療・科学分野を担当した。18年にマイナビに移ってからは、グループ会社エクスメディオ社が運営するオンライン臨床支援サービス『ヒポクラ×マイナビ』の編集長を務め、現在は『マイナビRESIDENT』や『マイナビDOCTOR』などの各種コンテンツを制作している。
金子省吾:記者・編集者。2017年から地方紙に勤務し、主に社会部の記者として事件・事故や司法、市政、スポーツ、気象、地域活性化の取り組みなどを取材した。20年にマイナビに移って医療の取材をはじめ、グループ会社が運営するオンライン臨床支援サービス『ヒポクラ×マイナビ』編集部で医療ニュース作成に携わった。現在は『マイナビRESIDENT』や『マイナビDOCTOR』などの各種コンテンツを制作している。
許田葉月:記者・編集者。2021年からウェブメディアに勤務し、文学や音楽などのトレンド、社会課題などを取材した。23年にマイナビに転職して医療の取材を開始。『マイナビRESIDENT』や『マイナビDOCTOR』で各種コンテンツの制作を担当している。
阿部あすか:翻訳家、ライター。東京外国語大学(英語専攻)を卒業後、大手法律事務所の米国人弁護士などの秘書、英会話学校の講師、専門紙の英語版編集者として勤務した。2019年から編集部の一員として医療ニュースの記事を執筆している。