2025.07.24
チャットで絵文字を使うと相手への「配慮」が伝わる▽うるさい環境で音を聞き取る秘訣は「指でトントン」!?▽日常的なハグやマッサージがうつ病予防に効果的▽「自閉症の人はコミュニケーションが困難」と勘違いされている原因
世界の医学誌や科学誌に掲載された論文、大手メディアや医療メディアが配信している医療・医学ニュースの中から「見逃し厳禁」のものを選び、医療ニュース編集部の記者のコラムを付けて毎週お届けします。今回は6月18日~7月16日にマイナビDOCTORの『サクッと1分!世界の医療ニュース』に掲載した記事の中から「コミュニケーションと生きやすさ」についてのニュースを取り上げ、過去の関連記事3本を紹介します。なお、『What You Missed』は日本語版しか存在しません。
まとめ:医療ニュース編集部
PLOS One:The impact of emojis on perceived responsiveness and relationship satisfaction in text messaging

2025-07-07
スマートフォンなどでメッセージを送る際、「絵文字」を添えることで相手への配慮が伝わり、関係性の満足度が高まる可能性がある――。そんな研究成果を、米国の研究チームが科学誌PLOS Oneに発表しました。
調査は、23~67歳の成人260人を対象に行われました。参加者は、自分が送ったメッセージに友人が返信したという仮定の下、15件のテキストベースの会話を読み、それぞれの印象を評価しました。
メッセージは、文字のみのものと絵文字を含むものがランダムに割り当てられました。分析の結果、絵文字入りのメッセージは、文字だけのものに比べて、相手が自分の気持ちをくんでくれていると感じる傾向が強く、会話の満足度が高まることが分かりました。
そしてこのことが、親密さや関係性の質にも影響を与えている可能性があることが示されました。
また、顔の絵文字とそれ以外の絵文字との間に有意な差はみられず、絵文字の種類は、これまで考えられていたほど重要ではないことも明らかになりました。
「絵文字、顔文字は使わない」「『(笑)』『笑』はNG」「文末には必ず句点を打つ」。「LINE(ライン)」でメッセージを送る際に、そんなポリシーを持っていた時期がありました。スマホを持つようになった大学1年生の頃から、社会人1~2年目までです。無理してそうしていたというよりは、当時はそれがしっくりきていたように思います。
今は、かしこまった文章を送るときを除いて、句点で終わることはありません。絵文字は、相手の温度感に合わせて積極的に使うようにしています。「(笑)」も「笑」も使います。ただ、いまだに、本当にごくわずかですが、使うときに若干、体になじんでいないような感覚を覚えます。
違和感を抱えながらも、テキストメッセージのスタイルを切り替えたのは、自分のフォームを変えることよりも、勝手に定めたポリシーに固執し、相手に不快感や誤解を与える方が「キツい」と思うようになったからです。
昨年、「マルハラ(マルハラスメント)」という言葉が話題になりました。LINEを含めたチャットのやりとりにおいて、文末に打つ句点が威圧的な印象を与えることを指します。ただ、私がLINEで意識的に句点を使わなくなったのは、もっと昔で、6~7年前のことだと思います。
友人や恋人とやりとりをする中で、相手から届く句点で終わる文章に、時に「冷たさ」や「怖さ」を覚えたり、絵文字が付いている方が「うれしい!」と感じたりすることに気づいたのです。
それからは徐々に、気持ちのいいやりとりのためであれば、絵文字でも「笑」でも積極的に使うようになりました。初めのうちは抵抗が大きく、絵文字を使うたびに、「相手のためにポリシーを破れるなんて大人!」と、自分を励ましていた時期もあります。そういった背景があるので、「絵文字を使うと配慮が伝わり、満足度が増す」という研究結果には、納得すると同時に、報われたような気持ちになりました。
少し補足すると、文末の句点の捉え方に関しては世代間で感覚が違うと思います。一方で絵文字は、多用すると「おじさん構文」「おばさん構文」などと揶揄(やゆ)されるようなケースもあります。だから、テキストコミュニケーションで大切なのは、表情や声色から情報を読み取ることができない分、相手に余計なストレスを与えないよう心がけることだと、身に染みて思います。それは、本当に塩梅が難しいことなのですが……(汗)。【金子省吾】
英国王立協会紀要(Proceedings of the Royal Society B):Moving rhythmically can facilitate naturalistic speech perception in a noisy environment

2025-04-23
騒がしい環境の中で必要な情報を聞き取るのに苦労した時は、指でトントンとリズムを取るといいそうです。フランスの研究チームが、学術誌「英国王立協会紀要(Proceedings of the Royal Society B)」に研究成果を発表しました。
チームは、周囲に雑音がある状態で40個の文章を読み上げた音声を聞いてもらい、聞き取りの正確性とスピードを評価する実験を行いました。
録音を聞き始める前に、自分のペースまたは指定された拍子でトントンと指でリズムを取った場合▽拍子を刻む音を聞いた場合▽静かな環境でただ待っていた場合――を比べたそうです。
その結果、録音を聞き始める前に自分のペースまたは指定された拍子でトントンと指でリズムを取った場合に、音声をうまく聞き取れることが明らかになったといいます。リズミカルな運動刺激によって、騒音下における音声処理能力が向上する可能性が示されました。
Science Alert:Science Confirms Hugs Can Ease Pain, Anxiety, And Depression

2024-04-18
ハグなどの身体的接触は、心身の健康によい影響を及ぼすようです。
ドイツとオランダの研究チームが、計1万2966人を対象とした212の先行研究を分析したそうです。その結果、身体的接触が痛みやうつ、不安の軽減に役立つことが示されたとのことです。こうしたプラスの影響は、大人でも子どもでも確認されたといいます。
身体的接触の種類については、ハグでもマッサージでも大きな違いは見られませんでしたが、頭や顔への接触がもっとも効果的だったそうです。また、短時間の接触を頻繁に行うと、より効果が高まることも明らかになったとのことです。Science Alertの記事です。
Nature Human Behaviour:Information transfer within and between autistic and non-autistic people

2025-05-27
自閉症の人はコミュニケーションを取るのが苦手との固定観念が覆されるかもしれません。英ノッティンガム大学などの研究チームが科学誌Nature Human Behaviourに論文を発表しました。
チームは、自閉症の人と非自閉症の人の計311人を対象に、情報伝達がどれだけ効果的に行われるかを調査するために、「伝言ゲーム」の実験を行いました。自閉症の人のみのグループ、非自閉症の人のみのグループ、自閉症の人と非自閉症の人が混在するグループを比較しました。
その結果、いずれのグループの間にも、情報伝達の精度について有意差は認められなかったそうです。
しかし、伝言ゲーム終了後、他の参加者との交流についてどのくらい楽しかったかを評価してもらったところ、自閉症の人は自閉症の人同士、非自閉症の人は非自閉症の人同士のやり取りを心地よく感じる傾向があることが分かりました。
これらのことからチームは、自閉症の人はコミュニケーションが苦手なのではなく、非自閉症の人とはコミュニケーションの取り方が異なり、そのために誤解やすれ違いが生じやすくなると結論付けています。
藤野基文:記者・編集者。2004年から全国紙の記者として勤務し、主に医療・科学分野を担当した。18年にマイナビに移ってからは、グループ会社エクスメディオ社が運営するオンライン臨床支援サービス『ヒポクラ×マイナビ』の編集長を務め、現在は『マイナビRESIDENT』や『マイナビDOCTOR』などの各種コンテンツを制作している。
金子省吾:記者・編集者。2017年から地方紙に勤務し、主に社会部の記者として事件・事故や司法、市政、スポーツ、気象、地域活性化の取り組みなどを取材した。20年にマイナビに移って医療の取材をはじめ、グループ会社が運営するオンライン臨床支援サービス『ヒポクラ×マイナビ』編集部で医療ニュース作成に携わった。現在は『マイナビRESIDENT』や『マイナビDOCTOR』などの各種コンテンツを制作している。
許田葉月:記者・編集者。2021年からウェブメディアに勤務し、文学や音楽などのトレンド、社会課題などを取材した。23年にマイナビに転職して医療の取材を開始。『マイナビRESIDENT』や『マイナビDOCTOR』で各種コンテンツの制作を担当している。
阿部あすか:翻訳家、ライター。東京外国語大学(英語専攻)を卒業後、大手法律事務所の米国人弁護士などの秘書、英会話学校の講師、専門紙の英語版編集者として勤務した。2019年から編集部の一員として医療ニュースの記事を執筆している。