2025.07.03
犬が、子どものアトピー性皮膚炎のリスクを下げてくれる?▽ワンちゃんと暮らす高齢者は認知症になりづらい!▽人の心を「治療」する精神科の介助犬▽家の中で犬や猫を飼うと子どもは食物アレルギーになりにくい
世界の医学誌や科学誌に掲載された論文、大手メディアや医療メディアが配信している医療・医学ニュースの中から「見逃し厳禁」のものを選び、医療ニュース編集部の記者のコラムを付けて毎週お届けします。今回は5月28日~6月25日にマイナビDOCTORの『サクッと1分!世界の医療ニュース』に掲載した記事の中から「犬を飼うことのメリット」についてのニュースを取り上げ、過去の関連記事3本を紹介します。なお、『What You Missed』は日本語版しか存在しません。
まとめ:医療ニュース編集部
Allergy:Gene–Environment Interaction Affects Risk of Atopic Eczema: Population and In Vitro Studies

2025-06-17
幼少期に犬と触れ合うことで、アトピー性皮膚炎(湿疹)の発症に関与する遺伝的リスクの影響を軽減することができるそうです。英国の研究チームが医学誌Allergyに研究成果を発表しました。
チームはヨーロッパで実施された16件(2万5399人分)の研究のデータを用いて、18の幼少期の環境要因と24の湿疹関連遺伝子変異との相互作用を調査しました。
その結果、抗菌薬の使用、猫の飼育、犬の飼育、母乳育児、兄や姉の存在、喫煙、洗濯習慣の七つの環境要因が、少なくとも一つの遺伝子変異と相互作用していることが判明しました。
さらに、25万4532人を対象に追加分析を行ったところ、犬の飼育と相互作用のある遺伝子変異が特定されました。この変異は皮膚細胞において、免疫細胞の機能に関与するタンパク質「インターロイキン7受容体」の発現に影響を及ぼすとされています。
この遺伝子変異による湿疹発症のリスクは、幼少期に犬と接触することによって修正され、皮膚の炎症を抑える効果がある可能性が示されたとのことです。
生まれてからずっと、犬がそばにいる生活を送ってきました。この記事を読んでくれているのは、犬好きか、犬を飼うことに関心を持っている人でしょう。そういう人たちは、どんな話題でもある程度許してくれると思うので、私がこれまでに飼ってきた犬の思い出を好き勝手に語ります。
私が生まれた時、実家にはジャーマンシェパード(雌)がいたそうです。極めて賢く、家族に深い愛情を注ぐ犬だったとのことですが、私には記憶がありません。その後、保育園児の時にセントバーナード(雌)が家族に加わりました。巨体といかつい顔に似合わず、性格は穏やかで、私が何をしても怒ることはありませんでした。中学生の時にその犬が死に、次に飼ったのがグレートピレニーズ(雄)です。普段は優しいのですが、やや意固地で我慢がきかないところがありました。雷を怖がり、近くにあった私の父の自動車に怒りをぶつけて、後輪の上のカバーをかみ壊してしまったことを覚えています。
大学生になって家を出て、グレートピレニーズが死んだ後、父の同僚が家庭の事情で飼えなくなったというシェットランドシープドッグ(雌)と、母の知人が同様の理由で手放さざるを得なくなったラブラドルレトリバー(雄)が実家にもらわれて来ました。年に数回しか会わない私にもよく懐き、実家に帰るときに2匹と遊ぶことが何よりも楽しみでした。その2匹の後、両親はラブラドルレトリバー(雌)を飼いました。穏やかな甘えん坊で、たまに実家に行くと、大歓迎してくれました。
一番記憶に残っているのは、私が社会人になって初めて自分で飼った雄のコーギー(ウェルシュ・コーギー・ペンブローグ)です。人間顔負けの頭の良さで、こんなことまで犬が理解するのかと驚かされることが多々ありました。そして非常に高いプライドを持っており、失敗が大嫌いでした。最期の数週間は下半身が動かなくなってしまい、トイレまで脚を引きずって行っていました。間に合わずに途中で排泄してしまって、ひどく落ち込んでいた姿が忘れられません。
今は、琉球犬のミックス犬とトイプードルを飼っています。どちらも雌です。ミックス犬の方は沖縄県で多頭飼育崩壊の家から保護されました。引き取った時点で推定10歳を超えていたので、完全に人間に慣れるのは難しいようです。ただ、「妹」で元気いっぱいのトイプードルのことは、とてもかわいがっています。
犬と触れ合うことが人間の健康に及ぼす好影響について、さまざまな研究成果が報告されています。長年、犬と生活をしてきた私にとって、特に精神面での効果については納得のいくことばかりです。さらに、今回の研究で明らかになったアトピー性皮膚炎の発症リスクを抑える効果のほか、食物アレルギーや認知症のリスク低減、痛みの緩和などの効果も報告されています。犬と暮らすことがいかに素晴らしいかが分かります。
一方で、犬の飼育は思っている以上に大変です。お金もかかります。そして、失ったときの傷は深く、癒えることは永遠にないかもしれません。
それを理解した上で、犬との生活を選んでみてください。想像以上に素敵な日々が訪れるはずです。おそらく私は、これからもずっと犬と共に生きていくと思います。【藤野基文】
Asian Scientist Magazine:Dog Ownership Can Cut Dementia Risk By 40% In Older People

2024-01-31
ペットは高齢者の認知症リスクにどのように影響するのでしょうか。東京都健康長寿医療センターが、 国内の65~84歳(平均年齢74.2歳)の男女1万1194人を対象に4年間にわたる調査を実施したそうです。
犬を飼っている人は、そうでない人に比べて認知症を発症するリスクが40%低いことが分かったといいます。犬の散歩で身体活動や社会的交流が増えることが、高齢者に好影響を及ぼす可能性があるとのこと。
そのためか、猫を飼っている人については、認知症リスクが低くなるとの結果は示されなかったといいます。Asian Scientist Magazineの記事です。

2024-06-12
精神科の介助犬を知っていますか? 精神障害のある人に対し、不安を和らげる癒し行動を取るように訓練された犬です。
米国の研究チームが、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を患う軍人や退役軍人にとって、QOL(生活の質)を改善する大きな助けになることを確認したそうです。チームは、介助犬とのマッチングを希望するPTSD治療中の軍人経験者156人を調査。81人のマッチングが成立し、介助犬と共に3カ月間生活したところ、介助犬待ちの71人に比べてPTSDの症状が軽く、うつや不安の症状も少なくなることが分かったそうです。
また、PTSDと診断される確率も66%低くなることが明らかになったといいます。医学誌JAMA Network Openに発表した研究成果です。
EurekAlert!:Living with pet cats or dogs is associated with fewer food allergies in young children

2023-03-30
ペットの有無が子どもの食物アレルギーリスクに関連しているようです。
日本の研究チームが、国内の子ども6万6215人のデータを分析。子どもが胎児期や乳児期のうちに屋内で犬や猫を飼っていた家庭では、子どもの食物アレルギー発症リスクが有意に低かったそうです。
屋外犬の飼育では、こうした有意差は見られなかったといいます。屋内で犬を飼う家庭の子どもは、特に卵や牛乳、ナッツへのアレルギーを発症する可能性が低かったとのこと。EurekAlert!の記事です。
藤野基文:記者・編集者。2004年から全国紙の記者として勤務し、主に医療・科学分野を担当した。18年にマイナビに移ってからは、グループ会社エクスメディオ社が運営するオンライン臨床支援サービス『ヒポクラ×マイナビ』の編集長を務め、現在は『マイナビRESIDENT』や『マイナビDOCTOR』などの各種コンテンツを制作している。
金子省吾:記者・編集者。2017年から地方紙に勤務し、主に社会部の記者として事件・事故や司法、市政、スポーツ、気象、地域活性化の取り組みなどを取材した。20年にマイナビに移って医療の取材をはじめ、グループ会社が運営するオンライン臨床支援サービス『ヒポクラ×マイナビ』編集部で医療ニュース作成に携わった。現在は『マイナビRESIDENT』や『マイナビDOCTOR』などの各種コンテンツを制作している。
許田葉月:記者・編集者。2021年からウェブメディアに勤務し、文学や音楽などのトレンド、社会課題などを取材した。23年にマイナビに転職して医療の取材を開始。『マイナビRESIDENT』や『マイナビDOCTOR』で各種コンテンツの制作を担当している。
阿部あすか:翻訳家、ライター。東京外国語大学(英語専攻)を卒業後、大手法律事務所の米国人弁護士などの秘書、英会話学校の講師、専門紙の英語版編集者として勤務した。2019年から編集部の一員として医療ニュースの記事を執筆している。