icon-sns-youtube icon-sns-facebook icon-sns-twitter icon-sns-instagram icon-sns-line icon-sns-tiktok icon-sns-etc
SEARCH

2025.06.12

「面白い」とSNSで動画が話題の「口閉じテープ」、笑えないことにならないように…

いびきや睡眠時無呼吸防止の「口閉じテープ」「チンストラップ」は注意が必要▽「『サル痘(現エムポックス)』、研究室から流出」のデマがネット上で拡散▽立ったままPCで作業「スタンディングデスク」が心臓病や脳卒中のリスク軽減は誤り▽TikTokで人気の睡眠の質を上げるヒント動画はエビデンスあり

世界の医学誌や科学誌に掲載された論文、大手メディアや医療メディアが配信している医療・医学ニュースの中から「見逃し厳禁」のものを選び、医療ニュース編集部の記者のコラムを付けて毎週お届けします。今回は5月7日~6月4日にマイナビDOCTORの『サクッと1分!世界の医療ニュース』に掲載した記事の中から「SNSで話題の治療法」についてのニュースを取り上げ、過去の関連記事3本を紹介します。なお、『What You Missed』は日本語版しか存在しません。

まとめ:医療ニュース編集部

①窒息リスクも!? SNSで話題の睡眠時の「口閉じテープ」に注意

PLOS ONE:Breaking social media fads and uncovering the safety and efficacy of mouth taping in patients with mouth breathing, sleep disordered breathing, or obstructive sleep apnea: A systematic review

2025-06-02
睡眠中の口呼吸を防ぐための「口閉じテープ」がソーシャルメディアで流行しているそうです。こうした製品の効果について、カナダの研究チームが調査したところ、多くの人に明確なメリットはなく、場合によっては深刻な健康被害につながる可能性があることが分かりました。研究成果は科学誌PLOS ONEに発表されました。

口呼吸は、いびきや閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)など、さまざまな睡眠障害と関連しています。

チームは、睡眠中の呼吸障害を改善するために使われる「口閉じテープ」や顎を抑えて口を閉じた状態に保つ「チンストラップ」などに関する、計213人の患者を対象とした10件の既存研究を分析しました。

このうち2件の研究では、軽度のOSA患者の一部において、口閉じテープが睡眠時無呼吸の重症度をわずかに改善する可能性が示唆されていたそうです。しかし残りの8件の研究では、口呼吸や睡眠呼吸障害、OSAの治療に有効であるとの明確な証拠は得られませんでした。

さらに4件の研究で、鼻づまりによって口呼吸を余儀なくされる人が口閉じテープを使用した場合、深刻な窒息リスクに直面する可能性があると指摘されていたといいます。

チームは、OSAを含む睡眠障害の治療手段として、口閉じテープの使用は支持できないと結論づけています。多くの人にとってこうした製品に明確なメリットはなく、むしろ健康被害のリスクがあるとしています。

記者から

親類の男性が重度の閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)を患っています。数年前からいびきがひどくなり、同居する家族から睡眠中に呼吸が数秒間止まっていることがあると指摘されるようになったそうです。さらにその頃から、頭痛や日中の眠気に悩まされるようになったといいます。

重い腰を上げて専門の医療機関を受診したところ、重度のOSAと診断されたそうです。医師からは「あと数年遅ければ、心不全や脳卒中を起こしていた可能性が高い」と言われたとのこと。そしてすぐに、睡眠中に鼻に装着したマスクから空気を送り込む「CPAP(シーパップ:持続陽圧呼吸療法)」を始めることになったといいます。

CPAPは、機械で圧力をかけた空気を鼻から送り込み、気道を広げて睡眠中の無呼吸を防止する中等から重症のOSAに対する標準治療です。彼によると、慣れるまではわずらわしさがあったものの、起床後の頭痛や日中の眠気が大幅に改善され、今ではCPAPなしで眠ることは考えられないそうです。医師からも、思春期レベルの質の良い睡眠が取れていると太鼓判を押されたとうれしそうに教えてくれました。

今となってはCPAPに大満足の彼ですが、実は医療機関を訪れる前、インターネットで調べたいくつかの方法で、いびきの改善を試みたそうです。その一つが、今回の研究で取り上げられている「口閉じテープ」だったといいます。しかし、彼は口閉じテープに息苦しさを感じ、すぐに使用を中止したそうです。

研究成果を発表したカナダのチームは、睡眠中の口呼吸を防ぐための口閉じテープの使用は多くの人に明確なメリットはなく、場合によっては窒息などの深刻な健康被害につながる可能性があるとしています。この研究を知って、「もし、彼が口閉じテープを使い続けていたら、どうなっていただろう……」と怖くなってしまいました。

たとえソーシャルメディアで人気の方法であっても、自己判断はせず、気になることがあれば、まずは医療機関に相談することが大切だと、皆さんにも改めて知ってほしいと思います。【阿部あすか】

②「サル痘(現エムポックス)」に関するデマ、ネット上で拡散

BBC:Monkeypox wasn’t created in a lab – and other claims debunked

2022-06-01
英BBCによると、「サル痘(厚生労働省が2023年5月26日に『エムポックス』に名称変更)」感染が拡大してから、新型コロナウイルスの情報を再利用しているとみられるデマが多く拡散しているようです。

インターネット上には、今回のサル痘(エムポックス)が研究室から流出したものだとする情報が存在。しかし遺伝子配列を調べると、それはありえないことが分かっています。

「ロックダウンが近い」「感染拡大は意図的に計画された」「コロナワクチンが関連している」などの憶測が流れていますが、どれも全く根拠がないといいます。

※写真はエムポックスウイルスの電子顕微鏡画像=CDC提供

③スタンディングデスクは「健康に良い」は間違い?

International Journal of Epidemiology:Device-measured stationary behaviour and cardiovascular and orthostatic circulatory disease incidence

2024-11-05
座りっぱなしによる健康リスクを軽減できるとして近年人気が高まっている「スタンディングデスク」は、本当に体に良いのでしょうか。オーストラリアの研究チームが、長時間立ちっぱなしでいることは心臓病や脳卒中のリスク減少につながらないことを確認したと、医学誌International Journal of Epidemiologyに発表しました。

チームは平均61歳の成人8万3千人以上を対象に調査を実施しました。参加者は数年にわたり、立ったり座ったりといった身体活動を記録する装置をつけて生活したそうです。こうして得られたデータを分析したところ、1日10時間以上座っていることが心臓病や脳卒中のリスク上昇に関連することが分かったといいます。

一方で、立っている時間を増やすだけでは、それらのリスクは低下しないことも分かりました。実際、立っている時間が長いと脚に血が溜まり、静脈瘤などの循環器系疾患のリスクが高まるそうです。健康のためには、短いウォーキングやストレッチなどの軽い運動を取り入れることが有効だといいます。

④TikTok上にある健康情報 「快眠のヒント」には科学的根拠あり

SLEEP:1093 TikTok Made Me Do It: An Analysis of the Scientific Evidence Supporting TikTok’s Recommendations for Better Sleep

2024-06-05
動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」に投稿された健康情報は信頼してもいいのでしょうか。

米国の研究チームが、2023年11月15~16日にTikTokで視聴され、#sleephacks、 #sleephygiene、#sleeptipsのタグが付いた睡眠に関する人気の動画58本を調査したそうです。その結果、寝つきを良くしたり、睡眠の満足度を上げたり、日中の眠気を軽減させたりといった快眠につながる独自の35個のヒントが見つかったといいます。

そして詳細な分析の結果、このうち33個が科学的に立証された根拠に基づいていることが明らかになったそうです。睡眠分野に関しては、コンテンツの制作者が医学的に適切な情報を提供している可能性が高いことが示されました。医学誌SLEEPに発表した論文です。

PROFILE

医療ニュース編集部

藤野基文:記者・編集者。2004年から全国紙の記者として勤務し、主に医療・科学分野を担当した。18年にマイナビに移ってからは、グループ会社エクスメディオ社が運営するオンライン臨床支援サービス『ヒポクラ×マイナビ』の編集長を務め、現在は『マイナビRESIDENT』や『マイナビDOCTOR』などの各種コンテンツを制作している。

金子省吾:記者・編集者。2017年から地方紙に勤務し、主に社会部の記者として事件・事故や司法、市政、スポーツ、気象、地域活性化の取り組みなどを取材した。20年にマイナビに移って医療の取材をはじめ、グループ会社が運営するオンライン臨床支援サービス『ヒポクラ×マイナビ』編集部で医療ニュース作成に携わった。現在は『マイナビRESIDENT』や『マイナビDOCTOR』などの各種コンテンツを制作している。

許田葉月:記者・編集者。2021年からウェブメディアに勤務し、文学や音楽などのトレンド、社会課題などを取材した。23年にマイナビに転職して医療の取材を開始。『マイナビRESIDENT』や『マイナビDOCTOR』で各種コンテンツの制作を担当している。

阿部あすか:翻訳家、ライター。東京外国語大学(英語専攻)を卒業後、大手法律事務所の米国人弁護士などの秘書、英会話学校の講師、専門紙の英語版編集者として勤務した。2019年から編集部の一員として医療ニュースの記事を執筆している。