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2025.01.23

酒ラベルに「発がんリスク」が書かれていたら、飲酒をためらいますか?

米国で酒のラベルに発がんリスク明記へ▽歩くだけでうつ病のリスクが下がる▽まだ間に合う! 禁煙で喫煙経験のない人と同じ寿命に▽子宮内膜症の診断が格段に楽に? 世界初の血液検査、開発

世界の医学誌や科学誌に掲載された論文、大手メディアや医療メディアが配信している医療・医学ニュースから「見逃し厳禁」の数本を選び、ランキング形式で毎週紹介します。トップ2は医療ニュース編集部の記者のコラム付き。なお、『What You Missed』は日本語版しか存在しません。今回は1月9日~15日にマイナビDOCTORの『サクッと1分!世界の医療ニュース』に掲載した記事の中から最も注目の集まったニュース4本を紹介します。

まとめ:医療ニュース編集部

①飲酒に適量はない?! 酒のラベルに「発がんリスク」明記を 米公衆衛生の責任者が勧告

NBC News:Alcohol labels should carry cancer risk warning, U.S. surgeon general urges

米CNN:US surgeon general sounds alarm about link between alcohol and cancer

報告書:Alcohol and Cancer Risk

2025-01-09
米国の公衆衛生政策を指揮するビベック・マーシー医務総監は3日、アルコール飲料のラベルに「がんリスクが高まる」との警告を表示するよう勧告しました。米NBC Newsや米CNNなどの各メディアが報じています。

公表された報告書によると、飲酒は乳がん、大腸がん、肝臓がん、口腔がん、咽頭がん、喉頭がん、食道がんの少なくとも7種類のがんに直接的に関連することが分かったそうです。また、乳がん症例の16.4%が飲酒に関連すると推計されるといいます。

米国では毎年、飲酒関連のがん症例が10万件、飲酒関連のがんによる死亡が2万件発生しているそうです。そして、がんの原因として、飲酒がたばこと肥満に次ぐ3番目に挙げられるといいます。マーシー氏は、「国民の多くが飲酒によるがんリスクを認識していない」と指摘しています。

今回公表された報告書は、がんリスクを高める1日当たりの飲酒量の基準も見直すよう求めています。現行の基準では、男性は1日2杯、女性は1日1杯が適量とされていますが、この程度の飲酒であってもがんリスクが高まることが示されたといいます。

記者から

先日、海外旅行に行ってきました。帰りの空港で免税店をうろうろしていると、小学生の息子が「なんか怖い写真がある!」と青ざめた顔で駆け寄ってきました。見ると、たばこのパッケージの警告表示でした。

海外では、たばこによる健康リスクを知らせるため、生々しい画像付きの警告を導入している国があるのです。「真っ黒になった肺」や「ボロボロになった歯」の写真に衝撃を受けた息子は、「大人になっても絶対にたばこは吸わないと決めた」と言って、逃げていきました。

米国の公衆衛生責任者が、アルコール飲料のラベルに「発がんリスク」を明記するよう勧告したといいます。こうした提言が実際に実現するか、また実現した場合もどの程度の警告が表示されるかは現時点では不透明です。

ただ、空港での息子の様子から察するに、もし実際にたばこ並みの警告が表示された場合、少なくとも子どもたちに飲酒による健康リスクを認識してもらうには十分な効果がありそうだと感じています。【阿部あすか】

②毎日よく歩く人は、うつ病のリスクが低い

JAMA Network Open:Daily Step Count and Depression in Adults

2025-01-14
たくさん歩くことは、うつ病リスクの抑制につながるようです。スペインの研究チームが、日々の歩数とメンタルヘルスに関する33の研究を分析した結果を医学誌JAMA Network Openに発表しました。

対象者は世界13カ国の18歳以上の男女で、合計9万6173人に上ったといいます。分析の結果、1日の歩数が5千歩以上の人は、5千歩未満の人に比べてうつ症状が少ないことが分かりました。また、1日の歩数が7千歩以上の人は、7千歩未満の人に比べてうつ病発症リスクが31%低くなることも示されたそうです。1日7500歩以上歩く人は、うつ病リスクが42%低下することも示されました。

歩数が増えるにつれてうつ病リスクは低下する傾向にありましたが、1日1万歩を超えるとこうしたメンタルヘルスへの恩恵は横ばいになったといいます。

これまでの研究で、ヨガやウェートトレーニング、太極拳などがうつ病リスクを抑制することが分かっていました。今回の研究で、身体活動レベルのより低い「歩くこと」もリスク抑制の効果があることが明らかになりました。

記者から

日頃、自分はどれくらい歩いているのだろう――。このニュースを知ったある日の午後3時ごろ、ふと気になり、スマートフォンに標準搭載されているアプリの歩数計を確認してみました。その時点で5千歩。就寝前に改めて確認すると、9千歩近い数字になっていました。

その日は、通勤のために自宅から駅まで徒歩10分程度の道のりを往復したのと、ランチ調達のために職場近くのコンビニへ行ったくらいで、いつもより多く歩いたわけではありません。それより前の記録を確認してみると、出勤や外出をした日はいずれも8千歩を超えていました。また、在宅勤務の日にスーパーマーケットで買い物をしただけでも6千歩以上歩いていることも分かりました。

スペインの研究チームの分析結果によると、1日7500歩歩くとうつ病リスクが抑制されるとのこと。無理に長距離を歩こうとしなくても届きそうなので、出不精な私はまず、毎日外出するように意識しようと思います。

ところで、厚生労働省がまとめた2023年の「国民健康・栄養調査」によると、20~64 歳の1日の歩数の平均値は、男性が 7506 歩、女性が 6494 歩だそうです。皆さんも、ちょっと意識して1日7500歩を達成しませんか。【許田葉月】

③たばこを1本吸うと寿命が20分縮む!

Addiction:The price of a cigarette: 20 minutes of life?

2025-1-9
英国の研究チームが国内の男女の死亡率に関する大規模な追跡調査のデータを分析したそうです。その結果、たばこを1本吸うごとに男性は17分、女性は22分寿命が短くなると推計されたといいます。

ただ、30代前半までに禁煙することができれば、喫煙経験がない人と同程度の寿命になる傾向が認められたとそうです。 年を取るにつれて、喫煙によって失われた寿命を取り戻すことは難しくなるとのことです。

④世界初! 子宮内膜症を診断する血液検査を開発

Human Reproduction:Identification of plasma protein biomarkers for endometriosis and the development of statistical models for disease diagnosis

Science Alert:World’s First Blood Test For Endometriosis Step Closer Following Trial Success

2025-1-14
オーストラリアの医療技術企業が、メルボルン大学などと研究を行い、子宮内膜症を診断する血液検査を開発したそうです。これらのバイオマーカーを用いると、「重症の子宮内膜症患者」と「子宮内膜症ではないが同様の症状がある患者」を99.7%の割合で識別できたとのことです。

現在、子宮内膜症の診断は腹腔鏡による侵襲的な方法で行われるため、非侵襲的な診断ツールが求められているといいます。この血液検査は「PromarkerEndo」という名前で、同社は今年6月までにこの血液検査を実用化することを目指しているそうです。

PROFILE

医療ニュース編集部

藤野基文:記者・編集者。2004年から全国紙の記者として勤務し、主に医療・科学分野を担当した。18年にマイナビに移ってからは、グループ会社エクスメディオ社が運営するオンライン臨床支援サービス『ヒポクラ×マイナビ』の編集長を務め、現在は『マイナビRESIDENT』や『マイナビDOCTOR』などの各種コンテンツを制作している。

金子省吾:記者・編集者。2017年から地方紙に勤務し、主に社会部の記者として事件・事故や司法、市政、スポーツ、気象、地域活性化の取り組みなどを取材した。20年にマイナビに移って医療の取材をはじめ、グループ会社が運営するオンライン臨床支援サービス『ヒポクラ×マイナビ』編集部で医療ニュース作成に携わった。現在は『マイナビRESIDENT』や『マイナビDOCTOR』などの各種コンテンツを制作している。

許田葉月:記者・編集者。2021年からウェブメディアに勤務し、文学や音楽などのトレンド、社会課題などを取材した。23年にマイナビに転職して医療の取材を開始。『マイナビRESIDENT』や『マイナビDOCTOR』で各種コンテンツの制作を担当している。

阿部あすか:翻訳家、ライター。東京外国語大学(英語専攻)を卒業後、大手法律事務所の米国人弁護士などの秘書、英会話学校の講師、専門紙の英語版編集者として勤務した。2019年から編集部の一員として医療ニュースの記事を執筆している。