icon-sns-youtube icon-sns-facebook icon-sns-twitter icon-sns-instagram icon-sns-line icon-sns-tiktok icon-sns-etc
SEARCH

2025.01.16

正しく知ってる? 中国で感染拡大で話題のヒトメタニューモウイルス

中国で患者急増のヒトメタニューモウイルス(HMPV)の基本情報▽散歩の効果を高める5つのコツ▽鳥インフル患者が死亡 ヒトに感染しやすくなる変異がウイルスから見つかる…▽脳機能の向上のために大切なのは、やっぱり運動と睡眠

世界の医学誌や科学誌に掲載された論文、大手メディアや医療メディアが配信している医療・医学ニュースから「見逃し厳禁」の数本を選び、ランキング形式で毎週紹介します。トップ2は医療ニュース編集部の記者のコラム付き。なお、『What You Missed』は日本語版しか存在しません。今回は1月2日~8日にマイナビDOCTORの『サクッと1分!世界の医療ニュース』に掲載した記事の中から最も注目の集まったニュース4本を紹介します。

まとめ:医療ニュース編集部

①正しく恐れよう! 中国での急増が報じられたヒトメタニューモウイルスとは?

米CBS News:What is the HMPV virus in China? The human metapneumovirus and its symptoms, explained.

2025-01-08
中国でヒトメタニューモウイルス(HMPV)の感染者が急増していると報じられています。HMPVとはどのようなものなのでしょうか。

日本ウイルス学会や日本小児感染症学会によると、HMPVは2001年にオランダの研究チームが発見したありふれたウイルスで、今回新たに発生したものではありません。ウイルス性の呼吸器感染症では小児の5~10%、成人の2~4%がHMPVによるものと考えられているそうです。

RSウイルス(RSV)と同じ仲間に属し、主な症状は咳、発熱、鼻づまり、息切れです。乳幼児や高齢者、免疫力が低下している人に感染すると気管支炎や肺炎に進行し、重症化する恐れがあります。ワクチンや治療薬はありません。

米CBS News によると、HMPVは新たなウイルスではないため、専門家は新型コロナウイルスのような脅威になる可能性は低いと考えているそうです。感染を予防するには、他の呼吸器感染症と同様、手洗いや感染者との接触を避けるなどの対策が有効とのことです。 なお、2023年春には米国で患者の報告数が急増しニュースになりました。

記者から

「中国発」「新しい感染症」「アジアへ拡大」……。ヒトメタニューモウイルス(HMPV)について、誤った認識を基にした情報がインターネットやX(旧ツイッター)にあふれました。

美容系で有名なある医師は、新型コロナウイルスの流行拡大と重ねて、「過ちを繰り返す」と中国を非難するような内容をXに投稿。それを引用して、「最近になって認知されたばかりで治療法や特効薬もまだないとされる同(HMPV)感染症の拡大」と不安をあおるような記事を配信したスポーツ紙もあります。中国人観光客向けの査証(ビザ)発給に関する緩和措置の実施を表明した岩屋毅外相に対するあらぬ非難も、Xでは少なからず上がっていました。

私は、HMPV感染症患者が中国で急増しているということを、産経新聞が配信した共同通信の記事で知りました。その時は、むやみにパニックを起こして騒ぎ立てる人が、まさかここまで出てくるとは思いませんでした。ですから、「ありふれた感染症が隣の国で流行しているんだな。日本ではインフルエンザの報告が急増しているし、きちんと感染症対策を取ろう」と個人的なことを考えただけで、『サクッと1分!世界の医療ニュース』で取り上げるつもりは全くなかったのです。

しかし、瞬く間にでたらめな情報が広がっていったので、医療ニュースを扱う編集部としては正確な情報を出しておく必要があると判断して、この記事を配信しました。記事のタイトルに入れたように、何事も「正しく恐れる」ことが大切だと、強く訴えたいと思います。【藤野基文】

②毎日の散歩で、もっと健康になるための5ポイント

The Conversation:Natural soundscapes enhance mood recovery amid anthropogenic noise pollution

025-01-03
歩くことは、さまざまな病気のリスクを下げるなど健康上多くのメリットがあることが知られています。より多くの効果を得るには、どのような点に気を付けて歩けばいいのでしょうか。英国の臨床運動生理学者が五つのポイントをThe Conversationで紹介しています。

<ポイント①>まず、一定の速さで歩くよりも、速く歩いた後にゆっくり歩くというように数分おきに「歩く速さを変える」と心血管の健康がより向上するそうです。

<ポイント②>また、時速5km以上の速さで歩くと、心血管疾患やがんを含め全ての死亡リスクが低下することが5万人以上のデータを分析した研究で明らかになっているといいます。息が少し弾む程度に「速く歩く」と、心臓の健康が改善するだけでなく、体重の管理にも効果的とのことです。

<ポイント③④>歩く時に「重いベストやリュックで負荷をかける」ことや「坂や階段を取り入れる」ことは、筋肉によい効果をもたらすそうです。

<ポイント⑤>そして、自分の動きや呼吸、周囲の環境に意識を向けて歩く「マインドフル散歩」を行うと、メンタルヘルスの向上につながるといいます。

記者から

新年を迎え、今年1年の目標を立てた人も多いのではないでしょうか。私の目標の一つは「1日1万歩歩くこと」です。これまで健康維持や体重管理のためにさまざまな方法を試してきましたが、「たくさん歩くこと」が最も手軽で効果があるように感じています。

しかし、日常生活の中で1万歩を超えるのはなかなか高いハードルです。スマートフォンに搭載されている万歩計アプリの昨年の記録を調べたところ、1万歩を超えたのは平均で週2回でした。そして、1駅分電車に乗らずに歩いたり、少し遠いスーパーにあえて徒歩で行ったりした日は、1万歩を超えることが多いと分かりました。おっくうがらずにちょっとした移動距離を徒歩に変えることが、目標達成のカギのようです。

こうした分析結果を基に、今年はたくさん歩くぞ!と気合十分の私にとって、今回紹介されている「より多くの効果が得られる五つのポイント」はまさに役立つ情報です。特に、「歩く速さを変える」や「マインドフル散歩」はこれまで意識したことがなかったので、実践してみたいと思います。

道具なしで、いつでもどこでも簡単に取り組むことができるウォーキング。皆さんも心と体の健康のために、五つのポイントを念頭に置きつつ、試してみませんか。【阿部あすか】

③鳥インフル重症患者が死亡 ウイルスからヒトに感染しやすい変異を検出

米ルイジアナ州保健当局:LDH reports first U.S. H5N1-related human death

米疾病対策センター(CDC):Genetic Sequences of Highly Pathogenic Avian Influenza A(H5N1) Viruses Identified in a Person in Louisiana

米NBC News:Bird flu samples show mutations that may make it easier to spread to people, CDC reports

2025-1-8
米ルイジアナ州保健当局は6日、鳥インフルエンザウイルス(H5N1型)が感染し重篤な呼吸器症状で入院していた州内の患者が死亡したと発表しました。死亡したのは基礎疾患を持つ65歳以上の患者です。

米疾病対策センター(CDC)は昨年12月26日、この患者から採取したウイルスから、ヒトの上気道細胞に付着しやすくなる遺伝子変異が発見されたというのです。患者に感染したのは家禽や野鳥の間でまん延しているD1.1と呼ばれる株で、米国内の乳牛の間で流行しているものとは別のものです。

米NBC Newsによると、今回見つかった変異は鳥のサンプルからは検出されていないため、患者の体内で起きた可能性が高いそうです。

④脳機能は、前日の運動と睡眠が大きく影響する!

International Journal of Behavioral Nutrition and Physical Activity:Associations of accelerometer-measured physical activity, sedentary behaviour, and sleep with next-day cognitive performance in older adults: a micro-longitudinal study

2025-1-7
認知機能に問題のない中高年(平均64.6歳)を調査した結果です。中~強度の運動を行うと、その後24時間、脳機能が向上するそうです。運動をしなくても、睡眠時間を長く取ると、考えたり作業したりする速度が上がるとのことです。

PROFILE

医療ニュース編集部

藤野基文:記者・編集者。2004年から全国紙の記者として勤務し、主に医療・科学分野を担当した。18年にマイナビに移ってからは、グループ会社エクスメディオ社が運営するオンライン臨床支援サービス『ヒポクラ×マイナビ』の編集長を務め、現在は『マイナビRESIDENT』や『マイナビDOCTOR』などの各種コンテンツを制作している。

金子省吾:記者・編集者。2017年から地方紙に勤務し、主に社会部の記者として事件・事故や司法、市政、スポーツ、気象、地域活性化の取り組みなどを取材した。20年にマイナビに移って医療の取材をはじめ、グループ会社が運営するオンライン臨床支援サービス『ヒポクラ×マイナビ』編集部で医療ニュース作成に携わった。現在は『マイナビRESIDENT』や『マイナビDOCTOR』などの各種コンテンツを制作している。

許田葉月:記者・編集者。2021年からウェブメディアに勤務し、文学や音楽などのトレンド、社会課題などを取材した。23年にマイナビに転職して医療の取材を開始。『マイナビRESIDENT』や『マイナビDOCTOR』で各種コンテンツの制作を担当している。

阿部あすか:翻訳家、ライター。東京外国語大学(英語専攻)を卒業後、大手法律事務所の米国人弁護士などの秘書、英会話学校の講師、専門紙の英語版編集者として勤務した。2019年から編集部の一員として医療ニュースの記事を執筆している。