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2024.12.31

2024年を振り返る! 医療・医学の重大ニュース<後編>

世界各国で進む「コロナ後遺症」の研究▽いつまで続く…! 韓国研修医スト問題▽回避は困難? 各国で健康被害をもたらした食品を巡るトラブル▽2024年初実施 ブタの腎臓移植は3例に▽マイクロRNAの発見がノーベル生理学・医学賞に 有力候補の遠藤章さんは死去

医療ニュース編集部は今年も、世界の医学誌や科学誌に掲載された論文、大手メディアや医療メディアが配信している医療・医学ニュースを紹介してきました。今年も残りわずかです。今回も2024年の重大ニュースを振り返ります。

まとめ:医療ニュース編集部

1.世界各国で「コロナ後遺症」の研究進む

新型コロナウイルス感染症の流行が始まってから5年がたちます。人々の中ではありふれた感染症になりつつありますが、長引く「後遺症」に苦しむ人は多いようです。世界各国で後遺症に関する研究が進められています。

■「コロナ後遺症」と「慢性疲労症候群」に強い関連性(1月)
ニュージーランドの研究チームが、新型コロナ後遺症は激しい倦怠(けんたい)感などに襲われる「筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)」の一つとして捉えることができるとの研究成果を発表しました。研究者は、免疫反応や炎症経路を標的にした治療が有効な可能性があるとしています。

■コロナ後遺症、治療の標的は「炎症」か 患者の血中に関連タンパク質(4月)
英国の研究チームが、コロナ後遺症患者の血液中には、通常はウイルス感染直後にのみ認められる炎症関連タンパク質が継続的に存在していることを突き止めました。「炎症」が治療の鍵になる可能性があるそうです。

■子どものコロナ後遺症に特徴的な症状とは?(8月)
米国の研究チームが発見したのは、子どものコロナ後遺症に年齢によって主に見られる症状が異なるという事実です。6~11歳の子どもではコロナ後遺症として、頭痛、記憶力や集中力の低下、睡眠障害、腹痛が最も一般的だといいます。12~17歳は、大人と同様に倦怠感や頭にもやがかかったようになるブレインフォグなどの症状が多く見られるそうです。

■「コロナ後遺症」に抗ウイルス薬が有効か 持続感染が一因の可能性(10月)
ウイルスが体内から完全には除去されず感染状態が続く「持続感染」が原因の一つかもしれない――。研究成果を発表した米国の研究チームによると、後遺症がある人の43%からウイルスのタンパク質が検出されたそうです。チームは、抗ウイルス薬で症状を緩和できる可能性があるとしています。

■「コロナ後遺症」は脳幹の炎症が一因の可能性(10月)
新型コロナで死亡した人の脳幹は、感染による免疫応答によって炎症などの変化が生じていることが確認されています。これに着目した英国の研究チームが、コロナ後遺症の一因も脳幹の炎症にある可能性があることを見つけました。脳幹の一部(延髄、橋、中脳)に炎症反応と思われる異常が認められ、うつ症状や不安もこれによって生じていると考えられるとのことです。

2.韓国で研修医がスト

医師不足を解消するため韓国政府が発表した医学部の増員計画に、研修医らが反発し、1万人以上の若手医師らがストライキを行っています。今年2月に始まり、いまだに解決の糸口は見つかっていないようです。病院に受け入れられなかった患者が亡くなるなどの影響が出ています。

■韓国の研修医が一斉に退職届 政府の医学部増員方針に反発(2月)
韓国政府が2月、医師不足の対応策として、来年度以降の医学部入学定員を2千人増やすという方針を示しました。これに医師側が「医療の質の低下につながる」として大反発。研修医らが一斉に退職届を出し、職場を離れました。

■韓国研修医スト 政府が職場離脱続ける医師の免停手続きを開始(3月)
韓国政府はストライキを行っている研修医らに対し、ストライキ終了を求める命令を出しました。そして、それに従わなかった数千人の医師免許を停止する手続きに入ったと発表しました。

■韓国研修医スト 医学部教授も集団で辞表提出 深まる政府との対立(3月)
3月下旬には韓国の主要な大学病院の教授らが、一斉に辞表を提出しました。

■医学部増員巡り、韓国政府と医師の対立続く 診療所が一斉休診で抗議(6月)
事態は混迷を極め、6月になっても政府と医師の対立は続きました。国内の診療所が抗議行動の一環で一斉に休診。韓国当局は、一斉休診への参加を当局に通知した医師らに「職場復帰命令」を出しました。命令に従わなかった医師は免許停止などの処分を受ける可能性がありますが、ほとんど何の効果もなかったようです。

■7カ月以上も続く韓国の医療スト 患者は置き去り(10月)
10月の時点で、国も医師側も、相手が譲歩しない限り対話をするつもりはないとの立場を取っていました。がん手術の減少や救急搬送の拒否など、患者に多大な影響が出ており、米公共ラジオNPRは、「韓国の医療制度が崩壊する兆しが見えている」と報じました。

3.世界各国で食品を巡る問題が発生

ベトナム、デンマーク、韓国、米国、ラオス……世界中から、食品による健康被害が報告されました。

■ベトナムで「バインミー」食べた500人超が食中毒か 12人が重体(5月)
ベトナムで、伝統的なサンドイッチ「バインミー」を食べた560人が体調不良を訴えて病院に搬送されたとのニュースが入りました。この時、6~7歳の男児2人を含む12人が重体だと報じられました。

■デンマーク政府が韓国製「激辛即席麺」の回収を指示 健康被害を懸念(6月)
デンマーク食品当局が、韓国から輸入された激辛即席麺について急性中毒のリスクがあるとして回収を指示しました。子どもや若者がSNS上で激辛麺のスープを飲んで競い合っていることを問題視したためです。2023年9月には、先天性心疾患などを持っていた米国の14歳の少年が、激辛チップスを食べるSNSの企画に参加して死亡しています。

■韓国で給食のキムチからノロウイルス検出 1000人超が食中毒(7月)
韓国で、給食のキムチが原因とみられる集団食中毒が発生。当時、患者の数は1024人に達したと報じられました。

■リステリア感染で2人死亡 デリの加工肉が原因か/米(7月)
米国でリステリア菌による集団食中毒が発生しました。7月19日時点で、12州の28人が入院し、2人が死亡したと報じられました。患者の多くはスーパーでスライスされた加工肉を食べていたといいます。

■ラオスで外国人観光客6人が死亡 飲料にメタノール混入か(11月)
バックパッカーに人気のラオスの観光地で、メタノール中毒の疑いで外国人観光客6人が相次いで死亡したそうです。死亡したのはオーストラリア人2人、デンマーク人2人、英国人1人、米国人1人で、被害者の多くは19~20歳の若者です。メタノールの混入した飲み物を飲んで、中毒を起こしたとみられています。

■米マクドナルドの集団食中毒、患者は104人に(11月)
大手ハンバーガーチェーンのマクドナルドが販売した「クォーターパウンダー」に関係する集団食中毒が発生しました。使用されたスライスタマネギが食中毒の原因とみられます。10月22日に調査が始まって以来、14の州で104人の患者が報告されました。このうち34人が入院し、4人が重篤な腎障害を発症、高齢者1人が死亡しました。米疾病対策センター(CDC)が12月3日に流行の終息を宣言しています。

4.ブタの腎臓移植、今年初実施ですでに3例

2022年と23年に、米国でブタの心臓をヒトに移植する手術が1件ずつ行われました。今年は3件のブタの腎臓の移植手術が実施されています。心臓移植を受けた2人の患者、腎臓移植を受けた初めの2人の患者は全員死亡しています。

■ブタの腎臓を62歳の男性患者に移植 米病院で世界初(3月)
米マサチューセッツ州ボストンのマサチューセッツ総合病院は、重い腎臓病の62歳の男性患者にブタの腎臓を3月16日に移植したと発表しました。ブタの腎臓が治療目的で患者に移植されるのは世界初です。

■世界で初めてブタの腎臓移植を受けた男性、術後2カ月で死亡(5月)
ブタの腎臓の移植手術を受けた1例目の男性が、約2か月後に死亡しました。移植手術をした米マサチューセッツ総合病院は、移植が原因で男性が死亡した兆候は認められないとしているそうです。

■米で、人工心臓を植え込んだ女性にブタの腎臓を移植(4月)
米ニューヨーク大学が、心不全と末期の腎臓病を患う54歳の女性に対して、補助人工心臓とブタの腎臓を移植したと発表しました。手術は4月12日に行われたそうです。使われたブタの腎臓は、拒絶反応の原因となる糖が作られないように、遺伝子を1カ所だけ改変してあるといいます。

■ブタの腎臓を移植した2例目の米国人女性が死亡(7月)
4月12日にブタの腎臓の移植手術を受けた2例目の女性が7月7日に死亡しました。血流の悪化でブタの腎臓が機能せず、5月29日に摘出手術を受けていました。

■米ニューヨーク大、ブタの腎臓を腎不全女性に移植 世界で3例目(12月)
米ニューヨーク大学ランゴーン医療センターで11月25日、遺伝子改変したブタの腎臓を53歳の女性に移植する手術が行われました。同センターが12月17日に発表しました。女性の経過は良好で、手術から11日後には退院したそうです。現在は毎日の診察に加えて、人工知能(AI)などを活用し、健康状態のモニタリングが行われているといいます。女性に移植されたブタの腎臓は、拒絶反応を防ぐために10個の遺伝子が改変されたとのことです。

5.ノーベル生理学・医学賞、2024年はマイクロRNAの発見に/有力候補者の遠藤章さん死去

2024年のノーベル生理学・医学賞は、遺伝子の働きを調節する「マイクロRNA」を発見した米国の研究者2人が受賞しました。発表の4カ月前の6月5日、血中のコレステロールを下げる物質「スタチン」を発見し、ノーベル賞の有力候補と言われていた東京農工大学栄誉教授の遠藤章さんが90歳で亡くなりました。

■ノーベル生理学・医学賞、マイクロRNA発見の米研究者2人に(10月)
スウェーデンのカロリンスカ研究所は10月7日、2024年のノーベル生理学・医学賞を遺伝子の働きを調節する「マイクロRNA」を発見した米マサチューセッツ大学のビクター・アンブロス教授とハーバード大学のゲイリー・ラブカン教授に授与すると発表しました。

■「スタチン」発見の遠藤章さんが90歳で死去 BBCが功績報じる(6月)
スタチンの発見者である東京農工大学栄誉教授の遠藤章さんが6月5日、90歳で亡くなりました。英BBCも遠藤さんの死を大きく報じ、「抗生物質ペニシリンと並ぶ発見で、数百万人の命を救った」と功績をたたえました。

※この記事はマイナビDOCTORの「サクッと1分!世界の医療ニュース」を再編集したものです

PROFILE

医療ニュース編集部

藤野基文:記者・編集者。2004年から全国紙の記者として勤務し、主に医療・科学分野を担当した。18年にマイナビに移ってからは、グループ会社エクスメディオ社が運営するオンライン臨床支援サービス『ヒポクラ×マイナビ』の編集長を務め、現在は『マイナビRESIDENT』や『マイナビDOCTOR』などの各種コンテンツを制作している。

金子省吾:記者・編集者。2017年から地方紙に勤務し、主に社会部の記者として事件・事故や司法、市政、スポーツ、気象、地域活性化の取り組みなどを取材した。20年にマイナビに移って医療の取材をはじめ、グループ会社が運営するオンライン臨床支援サービス『ヒポクラ×マイナビ』編集部で医療ニュース作成に携わった。現在は『マイナビRESIDENT』や『マイナビDOCTOR』などの各種コンテンツを制作している。

許田葉月:記者・編集者。2021年からウェブメディアに勤務し、文学や音楽などのトレンド、社会課題などを取材した。23年にマイナビに転職して医療の取材を開始。『マイナビRESIDENT』や『マイナビDOCTOR』で各種コンテンツの制作を担当している。

阿部あすか:翻訳家、ライター。東京外国語大学(英語専攻)を卒業後、大手法律事務所の米国人弁護士などの秘書、英会話学校の講師、専門紙の英語版編集者として勤務した。2019年から編集部の一員として医療ニュースの記事を執筆している。