「ゼロカロリー甘味料」として広く利用されているエリスリトールが、脳の血管を構成する細胞の機能に悪影響を及ぼす可能性があることが分かったそうです。米国の研究チームが、医学誌
Journal of Applied Physiologyに発表しました。
エリスリトールは、砂糖の約60~80%の甘さを持ちながら、ほぼカロリーがない糖アルコールの一種です。血糖値やインスリン値への影響が小さいことから、糖尿病や肥満の人向けの食品・飲料にも広く使用されています。
近年、血中エリスリトール濃度の上昇と心筋梗塞(こうそく)や脳卒中のリスク増加との関連が報告されていますが、その仕組みは十分に分かっていませんでした。そこで研究チームは、脳のバリア機能である血液脳関門(BBB)を構成するヒトの脳微小血管内皮細胞を培養し、市販の人工甘味料入り飲料1本に含まれる量に相当する濃度のエリスリトールで処理しました。
その結果、細胞内では酸化ストレスの原因物質である活性酸素種が増加していました。また、血管を拡張して血流を保つ働きを持つ一酸化窒素(NO)の産生が低下した一方で、血管を収縮させる作用を持つペプチドのエンドセリン-1(ET-1)の産生は増加していました。
さらに、血栓(けっせん)を溶かす働きに重要な組織プラスミノーゲン活性化因子(t-PA)の放出も抑制されていました。通常、血管内で血栓ができるとt-PAが放出されて血栓を分解しますが、エリスリトールで処理した後の細胞では、この反応が鈍くなっていたといいます。
研究チームは、エリスリトールが脳微小血管内皮細胞の機能を損ない、酸化ストレスの増加、血管拡張能の低下、血管収縮シグナルの増加、血栓溶解機能の低下を引き起こす可能性が示されたと結論づけています。また、こうした変化は、これまで報告されてきたエリスリトールと虚血性脳卒中(脳梗塞)のリスクとの関連を説明する一因になるかもしれないとしています。