icon-sns-youtube icon-sns-facebook icon-sns-twitter icon-sns-instagram icon-sns-line icon-sns-tiktok icon-sns-etc
SEARCH

2026.05.21

脾臓由来の炎症を標的とすることで、脳卒中後の回復早まる可能性

腹部左側にある握りこぶし大の臓器「脾臓(ひぞう)」は免疫系が機能する上で重要な役割を果たします。脳卒中を発症した場合、脾臓に対して免疫細胞から送られる炎症シグナルを遮断することで回復が早まり、長期的な障害を抑制できる可能性があるといいます。オーストラリアの研究チームが医学誌Frontiers in Immunologyに発表しました。

  • 腹部左側にある握りこぶし大の臓器「脾臓(ひぞう)」は免疫系が機能する上で重要な役割を果たします。脳卒中を発症した場合、脾臓に対して免疫細胞から送られる炎症シグナルを遮断することで回復が早まり、長期的な障害を抑制できる可能性があるといいます。オーストラリアの研究チームが医学誌Frontiers in Immunologyに発表しました。

    脳卒中は世界の主要な死因および長期的な障害の原因の一つです。現在確立されている治療法は、脳への血流を回復することに焦点を当てており、初期の閉塞(へいそく)が解消された後も続く有害な炎症に対する働きかけは行われていません。

    そんな中で研究チームは、炎症時に免疫細胞から放出されるタンパク質「S100A8/A9」に着目しました。S100A8/A9は炎症反応を引き起こすシグナル分子として知られていますが、過剰に働くと病態を悪化させる可能性があります。研究では、このシグナル分子の作用によって脾臓で炎症性免疫細胞の産生が促進され、その結果、脳組織の腫れや損傷を悪化させる過剰な炎症応答につながる可能性が示されました。

    このような免疫の過剰応答が制御可能かどうかを検証するため、研究チームは動物モデルに対し、S100A8/A9の活性を阻害する薬剤を脳卒中の発症前後に投与しました。その結果、脾臓で産生が促進される炎症性免疫細胞が大幅に減少することが確認されました。

    さらに、血液中の炎症性免疫細胞の数も減少し、脳損傷の領域が約35%縮小。24時間以内に身体機能が向上しました。また、重度の脳卒中を経験した患者の脳組織を調査したところ、損傷部位で同じ炎症シグナルが見られたことから、ヒトの脳卒中においても同様の関連性が認められる可能性が示されました。

    研究チームは、「脳卒中後に炎症が体内に広がる理由が説明されるとともに、脾臓が新たな治療標的として重要である可能性が浮き彫りになった」と結論づけています。