リチウムは双極性障害の治療薬として長年使われ、その神経保護作用にも注目が集まっています。米国の研究チームは、アルツハイマー病(AD)に関連する認知機能低下について、低用量リチウムがその進行を遅らせる可能性を示唆する結果を、医学誌
JAMA Neurologyに報告しました。
研究では、軽度認知障害(MCI)を持つ60歳以上の80人を2群に分け、低用量経口リチウムの効果を2年間にわたり検討しました。その結果、リチウム群ではAD初期に低下しやすい「言語記憶」の悪化がプラセボ群より緩やかになる傾向が示されました。統計学的に確定的ではないものの、有望な兆候として報告されています。
脳画像解析では、記憶に関与する「海馬」の萎縮は両群で同様でしたが、ADの病理学的特徴であるアミロイドβ(タンパク質)陽性の参加者では、リチウムの保護的効果がより大きい可能性が示唆されました。
また、低用量リチウムの安全性と忍容性は良好であることも確認されています。
研究チームは今後、アミロイドβの蓄積状況に応じて参加者を選別し、リチウムの効果をより厳密に検証する大規模試験を計画しています。