自閉症者は非自閉症者に比べて自殺のリスクが3~5倍高いことが知られています。自閉症者の自殺を予防するためには、どのような措置を講じるべきなのでしょうか。英国などの研究チームが、その答えを導き出すための研究結果を医学誌
EClinicalMedicineに発表しました。
研究チームは、自閉症者2463人と自閉症者の支援者や協力者として認定された非自閉症者315人を対象に、自殺に関するオンラインアンケートを実施しました。非自閉症者の中には、自殺で自閉症者を亡くした人も含まれていたといいます。
調査の結果、参加者の多くが、学校に通う子ども時代がその後の問題の根源だと強調したとのこと。診断の見落としや、特別支援教育が必要な子どものサポートに欠けた教育制度などが、自閉症者の自殺の原因になっていることが示されたといいます。
さらに参加者は、学生から社会人へ移行する時期の支援が不十分であること、福祉や雇用、医療制度が不適切であることなどを指摘しました。自殺の種は、自閉症者が「自分たちは歓迎されていない/必要とされていないと感じる文化」の中で育っていくといいます。
自閉症者の雇用率に関しては、さまざまな障害者グループの中で最も低く30%で、就労の困難さとそれに伴う貧困が、希死念慮を強めることが明らかになったといいます。自殺を止めるには、政府による長期的なビジョンが不可欠であり、適切な投資のもと、各方面による協調的な戦略を求める声が多かったそうです。
こうした結果から、研究チームは、自閉症者の自殺を個人の精神病理ではなく、社会にまん延する体系的な不公平に起因する問題として捉えるべきだと結論づけています。