幻覚作用を持つ化合物「ジメチルトリプタミン(DMT)」をたった1回投与するだけで、大うつ病性障害(うつ病)患者のうつ症状が急速に緩和する可能性が示されたそうです。英国などの研究チームが治験(第2相)の結果を
Nature Medicineに発表しました。
うつ病は既存の治療法では十分な効果が得られない患者が多くいるといわれています。DMTは、南米の伝統的な儀式で用いられる植物「アヤワスカ」の成分で、強い幻覚作用がありますが、作用時間が短いことが特徴です。
研究チームは、中等度から重度のうつ病を抱える34人の成人を対象に、2段階の試験を実施しました。
最初の段階は、参加者を2群に分け、21.5mgのDMTまたはプラセボを10分間にわたって静脈内投与し、変化を評価する試験を行いました。その結果、DMT群はプラセボ群に比べて1週間以内にうつ症状が改善し、2週間後には明確な改善が確認されました。
その後、全員がDMTを受けられる次の段階に進み、専門家による精神療法も併せて行われました。結果として、抗うつ効果は最大12週間続いたことが報告されています。
副作用としては、注射部位の痛み、吐き気、一時的な不安といった軽度から中等度の症状がみられましたが、深刻な有害事象は起こりませんでした。
研究チームは、DMTが短時間で効果を示し、治療として応用できる可能性があるとしながらも、効果の持続性や従来の治療との比較、安全性をより明確にするため、今後さらに大規模な研究が必要だと述べています。