腸内細菌叢(腸内フローラ)の乱れが、軽度認知障害(MCI)やアルツハイマー病(AD)の発症・進行に重要な役割を果たしている可能性があるそうです。米国の研究チームが、この研究成果を医学誌
Alzheimer’s & Dementia: The Journal of the Alzheimer’s Associationに発表しました。
研究チームは、2023年2月までに世界各国で発表されたヒトを対象とした58件の研究を分析しました。その結果、MCIやADの患者は、認知機能の低下がみられない高齢者と比べ、腸内細菌叢の構成が明らかに異なることが確認されました。
特にAD患者では、シュードモナドータ門(Pseudomonadota)やアクチノマイセトータ門(Actinomycetota)に属する細菌群が増加する傾向があることが分かりました。また、一部のAD患者では、通常よりも腸内細菌の種類が少なく、腸内細菌叢の多様性の低下も認められました。
さらに、健康な高齢者、MCI患者、AD患者の間で、腸内細菌の種類や量はそれぞれ異なり、認知機能の低下段階に応じて腸内細菌叢の特徴が変化する可能性が示唆されました。
加えて、AD患者の腸内細菌には、エネルギー産生や免疫機能に関連する代謝経路の活性が低下しているなど、細菌の「機能面での変化」も観察されました。
研究チームは、「これらの知見は、腸の健康が神経炎症や認知機能低下に与える影響を理解するための重要な出発点となる」としています。