脳をトレーニングするゲーム(脳トレゲーム)をプレイすることで、長期間にわたって認知症の発症を予防できる可能性があることが分かったそうです。米国の研究チームが、「処理速度」を鍛えるトレーニングによって約20年後の認知症発症率が低下することを確認したと、医学誌
Alzheimer’s & Dementia: Translational Research and Clinical Interventionsに発表しました。
研究対象となったのは、著しい認知障害のない65歳以上の高齢者2802人です。参加者は、「記憶」「推理」「処理速度」のいずれかを鍛える認知トレーニングを受ける三つの群と、特別なトレーニングを行わない対照群に分けられました。
認知トレーニングは、1回60〜75分のセッションを5〜6週間にわたって最大10回実施。さらに参加者の半数には、初回トレーニング後11カ月と35カ月のタイミングで、追加のトレーニング(ブースター)がそれぞれ最大4回ずつ行われました。
20年間の追跡調査の結果、処理速度トレーニングとブースターの両方を受けた264人のうち105人(40%)が認知症を発症しました。これは、対照群の発症率49%(491人中239人)と比べて25%低いことになります。
一方、ブースターを受けなかった群や、記憶・推理のトレーニングを行った群では、対照群と比べて認知症発症率に有意な差は見られませんでした。
参加者が受けた処理速度トレーニングは、コンピューター画面に一瞬表示される車や道路標識を同時に識別し、その種類や位置を素早く答えるというものです。視覚処理能力や注意力を鍛える効果があるとされています。
研究チームは、処理速度トレーニングが効果を示した理由として、参加者の能力に応じて難度が自動調整される「適応型プログラム」だった点を挙げています。対照的に、記憶や推理のトレーニングは全員が同じ内容を学ぶ形式でした。また、処理速度トレーニングは経験の積み重ねによって無意識的にスキルが身につく「暗黙学習」を促すことが、効果に影響した可能性があるとしています。