EU(欧州連合)諸国では、女性の肺がん死亡率が25年以上にわたって増加傾向が続き、深刻な問題となってきたそうです。しかし、イタリアなどの研究チームによる最新の予測では、2026年にはスペインを除く主要国で女性の肺がん死亡率が横ばいになる可能性が示されました。この研究成果は医学誌
Annals of Oncologyに掲載されています。
研究チームは、EU加盟27カ国と英国におけるがん死亡率を予測するため、WHO(世界保健機関)および国連(国際連合)のデータベースから取得した1970年〜2022年の死亡データを分析しました。
分析の結果、がん死亡の主要因である肺がんについて、スペインを除くEU諸国全体の女性の年齢調整死亡率(ASR)は、2026年に10万人あたり平均12.5人で安定すると見込まれ、これは2020〜22年比で5.2%の減少に相当します。
英国では、女性の肺がんASRが10万人あたり14.85人と予測され、20〜22年比で13.4%の減少となる見込みです。ただし、こうした改善が見られるのは64歳以下の女性に限られ、高齢女性では今後も死亡率が上昇するとされています。男性の肺がん死亡率は全体として低下が続いている一方、26年時点でも女性の約2倍の高い水準が続くと予測されます。
また、EUでは26年の全がん死亡者数が約123万人に達すると見込まれ、年齢調整死亡率は男性10万人あたり114人(2020〜2022年比7.8%減)、女性 74.7人(同5.9%減)と予測されています。英国では全がん死亡者数が 約17万2千人、ASRは男性 10万人あたり98人(同11.25%減)、女性80人(同7.25%減) と推計されました。
多くの国でがん死亡率は減少傾向にありますが、例外もあります。EUでは 膵臓(すいぞう)がんによる女性の死亡率が1%増加、また英国では大腸がんによる女性死亡率が3.7%増加すると予測されています。
さらに、1988年以降、がんによる死亡はEUで約730万件、英国で約150万件回避されたと推定されています。