一般的に処方される抗菌薬「ドキシサイクリン」が、メンタルヘルスに不調を抱える青少年において、後に統合失調症を発症するリスクを抑制できる可能性があるそうです。英スコットランドのエディンバラ大学などの研究チームが、医学誌
American Journal of Psychiatryに研究成果を発表しました。
研究チームは、フィンランドの医療データを用いて、13~18歳の間に児童精神科を受診し、かつ何らかの抗菌薬を使用した1987~97年生まれの子どもを対象に最大30歳まで追跡しました。対象者は5万6395人で、そのうち、さまざまな感染症やニキビの治療に使われるドキシサイクリンを処方されたのは1万6189人 (28.7%)でした。
追跡の結果、ドキシサイクリンを処方された人の統合失調症発症リスクは低・中・高累積投与群で1.4~1.5%と、その他の抗菌薬を処方された人の2.1%に比べて約30%低いことが判明しました。
統合失調症は成人期初期に発症することが多い重度の精神疾患で、幻覚や妄想などを伴います。発症には不要なシナプス結合を除去する「シナプス刈り込み」の過剰が関与すると考えられています。過去の研究では、ドキシサイクリンが脳細胞の炎症を抑え、シナプス刈り込みに影響を及ぼすことが示されています。
研究チームは、ドキシサイクリンの神経保護作用が、重度精神疾患の予防に寄与する可能性があるとしています。