中国の研究チームは、遺伝子改変したブタの肝臓を生きている患者に移植することに世界で初めて成功し、患者が171日間生存したと発表しました。詳細な経緯が医学誌
Journal of Hepatologyに掲載されました。
ブタの腎臓や心臓をヒトに移植する試みは、初期の成功例が報告されています。しかし、肝臓は機能が複雑で異種移植のハードルが高く、これまで脳死患者への移植例しか行われていませんでした。
研究チームは2024年5月、感染や拒絶反応が起きないよう10カ所の遺伝子を改変したクローンブタの肝臓を、B型肝炎関連肝硬変と肝臓右葉の肝細胞がんを患う71歳の男性に移植しました。ブタ肝臓は初日から機能し始め、術後10日目でも急性拒絶反応の兆候は見られませんでした。また、一部残されていた患者自身の肝臓の働きも手術前より改善したことが確認されました。
しかし術後25日目までに、患者の心臓に徐々に進行性のストレス兆候が現れ始め、28日目と33日目の検査では、移植に関連する炎症性変化が見られました。そこで、免疫抑制剤の一部を変更したものの、異種移植関連血栓性微小血管障害の兆候が現れました。
術後37日目に血圧が急低下し、心拍数が上昇。この時点で、残っていた患者自身の肝臓が生命維持に十分な機能を果たせると判断され、38日目にブタの肝臓は摘出されました。その後も男性自身の肝臓は機能し続けましたが、135日目に上部消化管出血が発生。移植から171日後に、この出血が原因で男性は死亡したと報告されています。
研究チームは「ブタ肝臓がヒトで長期間機能する可能性を示した重要な一歩であると同時に、凝固異常や免疫合併症に関する克服すべき課題が残されている」としています。