自閉スペクトラム症(ASD)は、幼少期に診断される人と、小児期後半や青年期に診断される人がいます。オーストラリアなどの研究チームが、早期に診断されるASDと後年に診断されるASDは、遺伝的に別の形態の障害である可能性があることを明らかにしたとして、科学誌Natureに研究成果を発表しました。
これまで診断年齢には社会的・環境的要因が関係するとされており、遺伝的要因の影響は十分に研究されていませんでした。
研究チームは、89~188人で構成される四つの出生コホート(共通の特徴を持つ人の集団)のデータと、二つの大規模研究の遺伝データを分析しました。その結果、ASDの診断年齢の違いの約11%は、一般的な遺伝的変異によって説明できることが確認されました。
さらにチームは、遺伝要因と環境要因によって二つのグループがあることを特定しました。一つは、不安や過活動、対人関係などの社会的・コミュニケーション上の困難が早期に現れ、幼少期にASDと診断されるグループ。もう一つは、これらの困難が後年(思春期にかけて)に増加するグループです。後年に現れるグループは幼少期に診断されるグループに比べ、うつ病などの精神的な問題を経験する可能性が高いことが示されました。
ASDの診断年齢の違いが単にタイミングの問題ではないことが明らかになったことから、チームは「今後の研究や支援策の設計において、ASDの多様性の理解を深める重要な一歩だ」としています。