2025.09.19
腸内細菌叢の形成には、主に食生活が影響を及ぼすと考えられてきました。しかし、宿主の遺伝子が構成に大きな影響を与えていることが明らかになったそうです。オーストラリアの研究チームが発表しました。
腸内細菌叢の形成には、主に食生活が影響を及ぼすと考えられてきました。しかし、宿主の遺伝子が構成に大きな影響を与えていることが明らかになったそうです。オーストラリアの研究チームが、科学誌The EMBO Journalに研究成果を発表しました。
チームが、2型糖尿病などを引き起こす「インスリン抵抗性」に対する遺伝的影響について調査する中で、「αディフェンシン」と呼ばれる天然ペプチド(小さなタンパク質)を産生する特定の遺伝子を持つマウスが、インスリン抵抗性を発症しにくいことを発見しました。
αディフェンシンは、腸内細菌が宿主にとって有益か有害かを判断し、共生か排除かを選別する役割を持つといいます。チームは、αディフェンシンを多く産生するマウスが、そうでないマウスに比べて健康であることを確認しました。
そこで、αディフェンシン産生遺伝子を持たないマウスに対し、人工的に合成したαディフェンシンを投与する実験を実施。マウスの腸内環境が改善し、慢性疾患の予防に効果があることが明らかになりました。
ただし、遺伝的系統が異なるマウスでは、合成αディフェンシンの投与によって健康状態が悪化するケースもありました。これについてチームは、「個々の遺伝子や腸内環境に合わせて治療法を最適化する『個別化医療』の重要性を示している」と指摘しています。
また、αディフェンシンはヒトにも存在するため、腸内細菌が関与すると考えられる多くの慢性疾患との関連性を探る方針です。